「特殊な正規形」を理解する:「データベーススペシャリスト試験」戦略的学習のススメ(10)(1/2 ページ)
あの“津崎さん”も保有する難関資格「データベーススペシャリスト」。本企画では、データベーススペシャリスト試験 午前/午後試験対策のための「基礎知識」を抜粋してお届けします。今回は、「特殊な正規形の基礎」を解説します。
書籍の中から有用な技術情報をピックアップして紹介する本シリーズ。今回は、秀和システム発行の書籍ポケットスタディ データベーススペシャリスト [第2版](2015年12月22日発行)』からの抜粋です。
ご注意:本稿は、著者及び出版社の許可を得て、そのまま転載したものです。このため用字用語の統一ルールなどは@ITのそれとは一致しません。あらかじめご了承ください。
※編集部注:前回記事「「正規化理論」を理解する」はこちら
特殊な正規形
出題頻度 午前II:●-- 午後I:●-- 午後II:---
●--:過去14年間での過去問出題数が1〜9回
●●-:過去14年間での過去問出題数が10〜19回
●●●:過去14年間での過去問出題数が20回以上
Key Word
●ボイス・コッド正規形、多値従属性、第4正規形、結合従属性、第5正規形
ボイス・コッド正規形
すべての関数従属の決定項がスーパーキー(候補キー)であるような第3正規形をボイス・コッド正規形と呼びます。ほとんどの第3正規形はボイス・コッド正規形を満たしますが、複数の属性からなる候補キーが複数存在する場合に満たさないことがあります。以下の例では、第3正規形の条件は満たしますが、非キーである「担当医師」に「診療科」が関数従属していることからボイス・コッド正規形の条件は満たしません。
この状態では「患者が来なければ、担当医師や診療科の情報を登録できない」という挿入時異状等の問題が発生しますが、次のようにボイス・コッド正規形を満たすように分解すればその問題は解決します。
多値従属性
第4正規形を説明する前に、その説明に必要となる多値従属性について説明します。多値従属性とは、Aが決まるとBの集合が決まるという関係のことであり、A→→Bと表記します。
第4正規形
多値従属性A→→Bが存在するとき、全ての属性がAに関数従属する場合、その関係を第4正規形と呼びます。左下の表では、部活→→部員、部活→→備品の両方の関係が同時に一つの表に表現されており、A→→Bが存在するとはいえないため、第4正規形は満たしません。この状態では「冗長性」「挿入時異状」等の問題がありますが、右下の表のように第4正規形にすることで解決できます。
結合従属性
第5正規形を説明する前に、その説明に必要となる結合従属性について説明します。結合従属性とは、分解によって得られる表が結合によって、もとの表に戻ることが可能である性質のことを指します。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 春期試験の押さえどころを総ざらい!
本連載では、テクニカルエンジニア(データベース)試験に対応できる知識を確認していきます。多岐にわたる知識が問われる試験ですので、受験する方はもちろん、日常業務ではあまり使うことのない技術知識の確認にも役立ててください。 - データベーススペシャリスト試験(Database Specialist Examination)
ITエンジニアに必要な各種資格情報を解説する「@IT自分戦略研究所 資格辞典」。今回は、IPAが実施する情報処理技術者試験の「高度試験」9区分のうちの一つ「データベーススペシャリスト試験」を紹介する。 - 真のデータベースエンジニアを目指そう!
本連載は、ITシステム開発の現場でプログラミングやSQLのコーディングを行っているエンジニア(データベース利用者)が、データ管理者(DA)やデータベース管理者(DBA)へステップアップするための第一歩として有効な基礎知識を紹介する(編集局) - 【Oracle Database】忘れていませんか? 「アラートログ調査」に必要な、たった3つのキホン
データベース管理システムの運用でトラブルが発生したらどうするか。データベースサポートスペシャリストが現場目線の解決Tipsをお届けします。今回は基本編として「アラートログの調査で押さえるべき3つのポイント」を解説します。【Oracle Database 12c対応版】