数学ができると「数学ができないエンジニアはダメだ」の効果が計れる:「数学をもっと勉強しよう」と思った?(2/3 ページ)
数学ができるとエンジニアとして活躍できるのか、むしろ数学ができないとエンジニア失格なのか?――「エンジニアに数学の知識は必要か?」を、数学オタクが論理的に解説します。
A/Bテストをする
Facebookは毎日変わっています。
最近では、Facebook Messengerに期間制限付きのメッセージを送る機能ができたり、セルフィーが簡単に取れるUIに変わったりしたことが、話題になりました。PCの投稿フォームやアプリのユーザープロフィール画面などの目立たないところも、UIの微調整がされています。
なぜ毎日機能が変わっているのかというと、テストをしているからです。
Aという機能とBという機能の両方を半々のユーザーに表示して、どちらの機能が良いかを試しているのです。
テストは最小限で行います。ある機能を実験的に少ないユーザーに表示して、分かったことをたくさんのユーザーに公開して、サービスが良くなっています。
では、テストはどのように行われているのでしょうか。
1. テストする項目を決める
「記事のタイトルを変えると、効果がどのように替わるのか」を考える手順を説明します。
仮の話として、本記事のタイトルを「A エンジニアに数学は必用か」と「B 数学ができないエンジニアはダメだ」のどちらにした方が効果が高いのかを考えます。
2. 効果を判断する指標を決める
テストをするには、まず「判断するための数字」を決め、その後、判断に必要な「ユーザー」と「テスト実施期間」を決めます。
判断する数字を決めるには、サービスを理解した上で「指標」を決めます。本記事が「成功したと判断するための指標」は、以下のようなものが考えられます。
- 記事のPV(アクセス数)
- 記事を読んだ人のソーシャルでの反応(FacebookのLike数、Tweet数など)
- 記事を読む時間
- 数学をもっと勉強しようと思った人の数
3. 前提条件を設定する
次に「前提条件」を設定します。
目的の前提を、「PV」はたくさん欲しいが、達成したいことは「数学をもっと勉強しようと思った人の数」だとします。
細部の前提は、以下のように設定します
- @ITのTOPページなどで表示する本記事へのリンク回数は、AもBも5000回ずつとする
- リンクがクリックされた数と、クリックした人がシェアしてシェア経由で流入した数をPVとする
- 「数学をもっと勉強しようと思った人の数」は、Twitterで本記事を読んでポジティブに反応している人の数と定義する
4. 測定する
テストの結果、以下の数字が測定できたとします。
- A:PV「1000」、数学をもっと勉強しようと思った人の数「12人」
- B:PV「1500」、数学をもっと勉強しようと思った人の数「10人」
表にしてみましょう。
指標 | A | B | AとBの比較 |
---|---|---|---|
リンクの表示回数 | 5000 | 5000 | . |
PV | 1000 | 1500 | 66.67% |
数学をもっと勉強しようと思った人の数 | 12 | 10 | 120.00% |
PVはBの方が1.5倍多かったが、数学をもっと勉強しようと思った人の数はAの方が1.2倍多かった。最終的に達成したい目的が「数学をもっと勉強しようと思った人の数」なので、「Aの方が効果が高い」ことが分かりました。
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