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数学ができると「数学ができないエンジニアはダメだ」の効果が計れる「数学をもっと勉強しよう」と思った?(3/3 ページ)

数学ができるとエンジニアとして活躍できるのか、むしろ数学ができないとエンジニア失格なのか?――「エンジニアに数学の知識は必要か?」を、数学オタクが論理的に解説します。

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数学を使って、結果を統計的に評価する

 では「統計量」を考慮して、結果の数字を見てみましょう。

 今回は「R言語」を使って、二群の比率の差の検定を行います。

> prop.test(c(1000, 1500), c(5000, 5000))
        2-sample test for equality of proportions with continuity correction
data:  c(1000, 1500) out of c(5000, 5000)
X-squared = 132.8, df = 1, p-value < 2.2e-16
alternative hypothesis: two.sided
95 percent confidence interval:
 -0.11706025 -0.08293975
sample estimates:
prop 1 prop 2 
   0.2    0.3 
> prop.test(c(12, 10), c(5000, 5000))
        2-sample test for equality of proportions with continuity correction
data:  c(12, 10) out of c(5000, 5000)
X-squared = 0.045555, df = 1, p-value = 0.831
alternative hypothesis: two.sided
95 percent confidence interval:
 -0.001636569  0.002436569
sample estimates:
prop 1 prop 2 
0.0024 0.0020

 ここから分かったことを、先ほどの表に追加します。

指標 A B AとBの比較 p-value AとBの信頼度
リンクの表示回数 5000 5000 . . .
PV 1000 1500 66.67% 2.20E-16 信頼できる
数学をもっと勉強しようと思った人の数 12 10 120.00% 0.8 全く信頼できない

 先ほどの結果に加え、PVはBの方が高いが、数学をもっと勉強しようと思った人の数はAとBで差があるとはいえない。効果を判断するには、「もう少しテストを続ける必要」があり、「もっとたくさんのリンク表示回数が必要」ということが分かりました

 「数学をもっと勉強しようと思った人の数」は簡単には比較できない数字なので、KPIとして定めるのは正しくなかったことも分かりました。

数学ができれば、チャンスが増える

 インターネットを通じてサービスを提供すると、「データ量」が増えます。データ量が増えてもユーザーに気持ちよくサービスを使ってもらうためには、「速度」を意識しなければなりません。力を発揮するのが、数学です。

 本記事の命題「エンジニアに数学が必要なのか」についての私の解は、「数学の知識があれば、活躍できる機会が増える」です。「数学ができないと困る」というよりも、「できると仕事の幅が広がる」と思います。

 なお、私が考える「数学ができるかどうか」は、「方程式が分かるかどうか」ではなく、一緒に議論できるかどうかです。数字に基づいて自分の考えていることを説明できると、より仕事が面白くなるでしょう。

筆者プロフィール

Wantedly 執行役員 エンジニア 久保長 礼

ユーザグロースとiOSの開発をリードしたのち、現在はWantedly Visitの開発チームのリーダおよびプロダクトマネジメントを担当しています。

ブログでは、「技術」「ビジネス」「スタートアップ」をテーマに、「技術面接を受ける前に確認しておくといいこと」や「就活生に伝えたいスタートアップで働くということ」「サブスクリプション型のビジネスはさらに加速する」など、さまざまなことを書いています。


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