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Azure仮想マシンの最新v3シリーズは、Broadwell世代でHyper-Vのネストにも対応Microsoft Azure最新機能フォローアップ(37)

Microsoft AzureのIaaSで、Azure仮想マシンの第三世代となるDv3およびEv3シリーズが利用可能になりました。Dv2に代表される第二世代はHaswellベースでしたが、第三世代はBroadwellベースです。また、新たにWindows Server 2016仮想マシンでは「入れ子構造の仮想化」がサポートされ、Hyper-V仮想マシンやHyper-Vコンテナの実行が可能になります。

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Broadwellベースの第三世代Dv3/Ev3はハイパースレッドで料金もお得

 Microsoft AzureのIaaS(Infrastructure as a Service)では、汎用コンピューティング向けのAzure仮想マシン「D」シリーズに、第三世代となる「Dv3(およびPremium Storage対応のDSv3)」が追加され、正式提供が始まりました。また、Dシリーズに比べ高いメモリコア比でメモリを最適化した、新しい「E」シリーズが「Ev3(およびPremium Storage対応のESv3)」としてAzure仮想マシンのラインアップに追加されました。Dv3が4GBメモリ/コアなのに対して、Ev3では8GBメモリ/コアの構成になっています。

 本稿執筆時点(2017年7月18日)では、Dv3/Ev3シリーズは「米国東部」「米国東部 2」「米国西部 2」「西ヨーロッパ」「東南アジア」で利用可能です。

 現在のAzure仮想マシンでは、Dv2やDSv2を中心とした、2.4GHz Intel Xeon E5-2673 v3(Haswell)プロセッサベースの第二世代(Av2、F、G、H、L、N)が主流です。第三世代のDv3、Ev3は、Intel Turbo Boost Technology 2.0が有効な2.3GHz Intel Xeon E5-2673 v4(Broadwell)プロセッサがベースとなります(画面1)。ハイパースレッド構成のコアにより、同一コア構成の第二世代よりも最大で28%単価が低く設定されています。

画面1
画面1 2.3GHz Intel Xeon E5-2673 v4プロセッサベースのDv3仮想マシン(この例はStandard D4v3)

 なお、Dv3シリーズの登場を見据え、Dv2シリーズでは2017年4月から最大28%オフのプロモーション料金が適用されるキャンペーンが行われていました。このプロモーション料金は、対象のリージョンでDv3/Ev3が利用できない場合に新規インスタンスのデプロイに引き続き適用されます。

 また、Dv3/Ev3が利用可能になってからも、少なくとも1カ月間は提供されます(ただし、2017年8月15日まで)。プロモーション料金で利用中のDv2仮想マシンについては、2018年6月30日までそのままの料金で利用可能ですが、その後はDv2の通常料金に戻る予定です。

Nested Virtualization on Azure――Azureで入れ子構造の仮想化が可能に!

 Dv3/Ev3で注目すべき点は、最新のXeonプロセッサが利用できることだけではありません。Dv3/Ev3は、「入れ子構造の仮想化(Nested Virtualization)」に初めて対応します。入れ子構造の仮想化は、Windows Server 2016と64ビット版Windows 10 Anniversary Update(バージョン1607)のHyper-Vの新機能として、オンプレミスのHyper-V環境でまず利用可能になりました。同様の機能がMicrosoft AzureのIaaSでもサポートされます。これにより、Dv3/Ev3のサイズでデプロイしたWindows Server 2016の仮想マシン上で、ゲストOSのWindows Server 2016の「Hyper-Vの役割」を有効化できるようになります(画面2画面3)。

画面2
画面2 Azure仮想マシンのWindows Server 2016でHyper-Vを有効化する。従来のシリーズ(Dv2)では、この方法でHyper-Vを有効化することはできないし、Hyper-Vが正常に稼働することもない
画面3
画面3 Azure仮想マシンで構築したWindows Server 2016のHyper-V環境。Azure仮想マシンの中にHyper-V仮想マシンを作成、実行できる

 MSDN(Microsoft Developer Network)サブスクライバーの場合は、開発/テスト用のWindows 10 Enterprise仮想マシンでも有効化できるはずです。入れ子構造の仮想化を構成するために、仮想マシンのサイズを選択すること以外、特別な設定は必要ありません(追加的なネットワークインタフェースの構成は検討した方がよいかもしれません)。

 Azure仮想マシン上でHyper-Vを有効化できるようになったことで、開発やテストのための評価環境をAzure上に準備する手段の幅が大きく広がるはずです。

 例えば、オンプレミスのHyper-Vベースのデータセンター環境を、ハードウェアを全く準備する必要なく、Azureのクラウド上だけで構築して評価できます。あるいは、先日、発表されたオンプレミスのための「Azure Stack」の評価環境(シングルサーバのコンセプト実証環境)を、Azureのクラウド上に展開できるかもしれません。Hyper-Vを必要とする開発環境を、Azureのクラウドだけで準備することもできるはずです。

Hyper-V Container on Azure――Windowsコンテナのフル装備もAzureで可能に!

 Windows Server 2016の新機能の1つである「Windowsコンテナ」は、「Windows Serverコンテナ」と「Hyper-Vコンテナ」の2つの隔離オプションが用意されています。

 Windows Serverコンテナは、ホストのカーネルからプロセスを隔離する方法であり、これまでもAzure仮想マシン(第二世代以前のシリーズ)に環境を構築してコンテナを作成、実行することができました。

 一方のHyper-Vコンテナは、ホストのHyper-Vを利用してコンテナ間を隔離するため、Hyper-Vを有効化できないAzure仮想マシンでは構築することはできませんでした。入れ子構造の仮想化がサポートされるDv3およびEv3では、Hyper-Vコンテナの作成と実行が可能です(画面4)。1台のAzure仮想マシンで、Windows ServerコンテナとHyper-Vコンテナの両方に対応したフル装備のWindowsコンテナ環境を準備することができます。

画面4
画面4 Azure仮想マシンにHyper-Vコンテナを作成、実行している様子(同じ仮想マシンに言語パッケージをインストールして日本語環境に切り替えています)

筆者紹介

山市 良(やまいち りょう)

岩手県花巻市在住。Microsoft MVP:Cloud and Datacenter Management(Oct 2008 - Sep 2016)。SIer、IT出版社、中堅企業のシステム管理者を経て、フリーのテクニカルライターに。マイクロソフト製品、テクノロジーを中心に、IT雑誌、Webサイトへの記事の寄稿、ドキュメント作成、事例取材などを手掛ける。個人ブログは『山市良のえぬなんとかわーるど』。


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