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Windows 10、サポートが終了した古いバージョンのその後の“運命”その知識、ホントに正しい? Windowsにまつわる都市伝説(90)(2/2 ページ)

2017年5月9日(日本では10日)、2015年7月末にリリースされた「Windows 10の初期リリース(ビルド10240)」のサポートが終了しました。同一ビルドがベースのWindows 10 Enterprise 2015 LTSBのサポートは継続され、2025年10月14日(日本では15日)まで提供されます。サポート終了から3カ月以上が経過したWindows 10初期リリースの”いま”を追ってみました。

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2017年7月はセキュリティ更新の提供はなし(Windows Defenderの定義は除く)

 2017年6月の状況を踏まえると、品質更新プログラムやCB/CBBとLTSBを区別していないのではないかと想像できます。もしかしたら、このまま同じ方法でWindows 10初期リリースを最新状態で使い続けることができるのではないかと考えました。単に筆者の興味を引いただけであり、Windows Updateの“抜け道”を探しているわけではありません。

 2017年7月の第二火曜日(日本ではその翌日)に公開された品質更新プログラムについても、同じ方法で試してみました。すると、前出の画面2にあるように、Windows Defenderの定義の更新と悪意のあるソフトウェア削除ツールが検出され、インストールされましたが、それ以外の更新プログラムは検出されませんでした(8月のWindows Updateでも同様でした)。

 2017年7月には、累積更新プログラム「KB4025338」(ビルド10240.17488)とAdobe Flash Playerの更新プログラム「KB4025376」が公開されています。「Microsoft Updateカタログ」サイトから累積更新プログラム「KB4025338」をダウンロードして、手動でインストールしようとしてみましたが、「この更新プログラムはお使いのコンピュータには適用できません」と表示され、インストールが拒否されました(画面3)。どうやら2017年6月で、CBおよびCBBのWindows 10初期リリース向けの品質更新プログラムの提供は完全に終了したようです。

画面3
画面3 2017年7月の累積更新プログラムとAdobe Flash Playerの更新プログラムは自動検出されなかった。手動インストールも不可

 ちなみに、Windows 10 Enterprise 2015 LTSBは、これらの品質更新プログラムを自動検出し、インストールされて、ビルド番号は最新の「10240.17488」に更新されました(画面4)。

画面4
画面4 ビルド10240に対する品質更新プログラムの提供は、Windows 10 Enterprise 2015 LTSBのみになった

理由があってWindows 10のサポート対象から外れてしまったら……

 アプリケーションやハードウェアの互換性問題などの理由で、Windows 10の新しいバージョンにアップグレードできない場合、現在実行中のWindows 10のバージョンのサポートが終了すると、何らかの対応が必要になります。そのまま使い続けるのは、脆弱性を放置することになり危険だからです。

 例えば、Windows 10 Creators Update(バージョン1703、ビルド15063)は、2017年4月から機能更新プログラムとして配布が始まり、ハードウェアの対応が確認されたPCから、順次、配布対象が広がり、2017年7月末にSemi-Annual Channel(旧称、CBB)向けにリリースされました。しかし、Intel Atomプロセッサの一部(Clover Trailと呼ばれるZ2760、Z2520、Z2560、Z2580)を搭載したPCへの配布は停止されており、Windows 10 Anniversary Update(バージョン1607、ビルド14393)より新しいバージョンにアップグレードすることができません。

 Semi-Annual Channel向けのリリースによって、Windows 10 November Update(バージョン1511、ビルド10586)サポートが、「2017年10月10日」(おそらく11日のWindows Updateが最後)に終了することが発表されています。

 Windows 10 November Updateを実行している場合は、間もなくサポートが終了します。また、Windows 10 Anniversary Updateを実行している場合も、このままでは18カ月のサポートが終了する2018年初めにWindows 10 PCとしての寿命を終えることになります(一部の報道ではClover Trail搭載PCにプリインストールされていたWindows 8(8.1への更新が必要)と同じ2023年1月まで品質更新プログラムが提供されるという情報もありますが、公式な発表に基づくものなのかどうか、筆者は確認できていません)。

 まだまだ使えそうなPCなのに“新バージョンのWindows 10にアップグレードできない”という理由で寿命を迎えるのは残念です。もし、そのPCがWindows 7やWindows 8.1から意図せず無料アップグレードで半強制的にWindows 10になってしまった場合、最新のWindows 10になったことでPCの寿命が縮まってしまった悲運を嘆くことになるでしょう。Windows 7のままなら「2020年1月」まで、Windows 8.1のままなら「2023年1月」までOSのサポートが続いたわけですから。

 では、どう対応すればよいのでしょうか。幾つか考えてみました。

  • PCを買い替える……これは悔しいはず
  • Windows 7やWindows 8.1へのダウングレード……サポート期間を考えるとWindows 8.1がお勧め。でも、OSの新規インストールから最新状態に更新するまでに苦労すると思います
  • Windows 10 Enterprise 2015 LTSB(ビルド10240)を購入して入れ替え……Windows 10 November Update以降にアップグレードできないPC向け。ただし、ボリュームライセンスチャネルでのみ入手可能
  • Windows 10 Enterprise 2016 LTSB(ビルド14393)を購入して入れ替え……Windows 10 Creators Update以降にアップグレードできないPC向け。ただし、ボリュームライセンスチャネルでのみ入手可能

 わが家には最新のWindows 10 Creators Updateが動いているものの、超絶に遅いPCが1台あります。Windows 10 Fall Creators Updateにアップグレードできるかどうかの確認と、アップグレード後のパフォーマンスを評価し、Windows 8.1にダウングレードするかどうかを判断するつもりです。

筆者紹介

山市 良(やまいち りょう)

岩手県花巻市在住。Microsoft MVP:Cloud and Datacenter Management(Oct 2008 - Sep 2016)。SIer、IT出版社、中堅企業のシステム管理者を経て、フリーのテクニカルライターに。Microsoft製品、テクノロジーを中心に、IT雑誌、Webサイトへの記事の寄稿、ドキュメント作成、事例取材などを手掛ける。個人ブログは『山市良のえぬなんとかわーるど』。近著は『Windows Server 2016テクノロジ入門−完全版』(日経BP社)。


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