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オランダの企業が、サッカーのデータ化で選手の移籍に影響力を及ぼし始めているメッシとロナウド、どっちが上?(1/2 ページ)

サッカー選手に焦点を当てたアナリティクスを通じ、選手の移籍に影響力を与え始めている企業がある。また、同社はさらに試合をリアルタイムにデータ化するシステムを構築、サッカーに新たな世界をもたらそうとしている。

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 オランダの企業SciSportsが、サッカーへのアナリティクスの適用で、「データスカウティング」旋風を巻き起こし始めている。


SciSports創業者CEOのギールス・ブロウワー氏

 「サッカーは古い業界。『データは怖い存在ではない』ということを説得して回らなければならなかった」と創業者CEOのギールス・ブロウワー(Giels Brouwer)氏は話す。そのかいがあって、2017年の夏には約40の移籍に関わったという。

 オランダ出身のメンフィス・デパイ(Memphis Depay)選手が2017年1月、Manchester United Football ClubからOlympique Lyonnaisに移籍した際には、データに基づくSciSportsのアドバイスを受けたという。また、同社の情報サービスとアドバイスは、選手をスカウティングしたり、対戦相手チームを分析したりすることを目的に、サッカークラブに採用されている。少なくとも、FC Utrecht、Sparta、KRC Genkがプレスリリースに顧客として登場している。

 本記事では、2017年10月にSAS Instituteがオランダ・アムステルダムで開催した「Analytics Experience 2017」におけるブロウワー氏自身の話に基づき、SciSportsのユニークさを紹介する。

チームへの貢献度で選手を評価する「SciSkill Index」

 SciSportsは、個々のサッカー選手のスキルレベルを指数で評価するインデックス「SciSkill Index」の仕組みを構築。これを基に、選手の現在価値比較や、将来に向けたポテンシャルと市場価値の評価を自動的に行っている。世界中の210に上るリーグに属するプロサッカー選手35万人のデータが、各選手の試合終了後間もなくアップデートされる。SciSkill Indexは、全ポジションのプレイヤーに適用される。


SciSportsが2017年4月、同社のブログに掲載したクリスティアーノ・ロナウドとリオネル・メッシのSciSkill Index。このブログポストでは、SciSkill Index開始以来初めて、メッシがロナウドを超え、世界最高のSciSkill Indexホルダーになったとしている

 サッカー選手に関するパフォーマンスデータとしては、走行距離やパス成功率、デュエルなどがよく「スタッツ(統計)」として取り上げられる。だが、SciSkill Indexでは、チームに対する貢献度で選手を評価する。

 試合への出場回数、出場時間に始まり、各試合については、1人1人の選手が攻撃・守備の双方について貢献度を評価される。攻撃と守備の評価の比重は、ポジションによって異なる。攻撃では、当然ながらゴールを決めることがまず評価される。ただし、「スコアが1対0の状況で追加点を入れるのと、4対0の場面で追加点を入れるのとでは、評価が異なる」(ブロウワー氏)。1対0の場面の方が評価は高い。

 ゴール以外の攻撃への貢献については、単純なアシスト数ではなく、例えばボールを適切なスペースに送り込み、それが(得点に結び付かなくとも)ゴールチャンスにつながったかなどを評価する。

 各試合では、両チームの出場選手の攻撃・守備レーティングに基づいて両チームの予想得点数を算出。試合が終了すると、予想得点数と実際の得点数との差に基づき、各チームの攻撃・守備レーティングを修正。さらに各選手の攻撃・守備レーティングにも修正を入れる。こうしたフィードバックループを続けることで、精度を高めている(なお、両チームの想定得点数算出は、試合の勝敗予測でもある。その精度も高まってきているため、同社としてはサービス化の検討を始めたところだという)。


図上部の小さな楕円は選手を表している。出場選手のSciSkill Indexを総合して試合における両チームの予想得点数を算出、実際の得点数との差異を出場選手のSciSkill Index修正につなげる

 このように、各選手についてプロ出場試合全てのデータを積み重ねていくことで、所属チームへの貢献度とその内容が蓄積される。SciSportsでは、これを基に、各選手の今後のポテンシャルを予測する。「ポテンシャル」を、同社では(多くの選手がピークを迎えるとされる)28歳に向けたSciSports Indexの推移として表現する。

 また、所属チームのリーグ内での相対的強さ、および所属リーグの相対的強さが同時にデータとして得られるので、複数選手のリーグを超えた比較が可能になる。

 こうしたデータは、サッカークラブのスカウトが、現時点での所属リーグにかかわらず、将来有望な若手選手を見出すのに使える。SciSportsの提供するプロサッカー選手データベースサービス「Insight」では、年齢層、契約終了日などで選手を検索できる。複数選手のSciSkill Indexの推移およびポテンシャルを比較表示可能。特定リーグのレベルに照らして、選手が十分なスキルを持っているかも確認できるという。

 サッカー選手(およびそのエージェント)も、自らの相対的、絶対的価値を確認するために活用できるという。

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