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モデルは問題にはならない、SnowflakeとNTTデータが語る「AIで差がつく真の要因」データ基盤を進化させる3つのケースを考察

生成AIやAIエージェントの活用においては、全社的に成果を生み出すデータ基盤をいかに整備するかが重要になる。SnowflakeとNTTデータが、データ活用を加速させる取り組みを紹介した。

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 生成AIやAIエージェントの活用を巡る議論では、本格運用に向けてどのように業務に組み込めばいいのかがより重視され始めている。モデルの進化や、どのモデルを選ぶかといった視点から、AIに読み込ませるためのデータをどう整備してより良い結果を導き出せばいいのかという視点へと重心が移っている。

 AIの取り組みにおいては、組織内のデータをどううまくAIに供給すればいいのかが鍵になる――。こうした点が、クラウド型データ基盤を提供するSnowflakeが2026年7月2日に開催した記者説明会では強調された。

 AIエージェントが業務の中で当然のように使われる時代においては、4つのコンポーネントがその世界観を支えることになると、Snowflakeの社長執行役員である浮田竜路氏は説明した。「AIモデル」「データ&コンテキスト」「コントロールプレーン」「ソフトウェア&アプリケーション」の4つだ。

 同社が提供するデータのためのAIコーディングエージェント「Snowflake CoCo」(旧Cortex Code)や、ナレッジワーカー向けのAIエージェント「Snowflake CoWork」は、その基盤の上で動くとしている。

 こうしたAIエージェントは、実際に業務の中ではどのようにデータを取り込み、どういった成果につながっているのか。Snowflakeの国内展開初期から導入支援をしてきたNTTデータの渡辺麟太郎氏(AI事業本部 AIビジネス事業部長)は、データ整備とその成果について3つのケースを紹介した。

データ基盤を進化させる好循環をどう作るか

 1つ目は、AIのためのデータをいかに迅速に整備するかという点。生成AIやAIエージェントを業務活用するには、AIに適切なデータを与えられるかどうかが成果を左右する。中でも渡辺氏は、データの意味や関係性をAIが理解できるようにすることが特に重要だと説明する。

1.意味を与える「セマンティックレイヤー」を作り込む

Snowflakeの浮田竜路NTTデータの渡辺麟太郎氏 Snowflakeの浮田竜路氏(左)、NTTデータの渡辺麟太郎氏

 必要になるのが、データ項目の意味や背景情報、項目同士の関係性などを管理する「セマンティックレイヤー」の整備だ。AIがデータを正しく解釈するには、そうしたセマンティックレイヤーの土台となるメタデータを整備する必要があるが、このメタデータ整備は従来多くの時間と手間を要するもので、データエンジニアにとっては大変な作業となっていた。

 対象となるデータの意味をよく知るのは、各業務部門の担当者であり、データエンジニアはそうした人にヒアリングなどを通じて情報を収集し、メタデータを一つ一つ整備していかなければならないからだ。

 NTTデータの案件では、そうしたメタデータ整備の工程で、システムの設計書やコード定義書などの関連文書をSnowflake上に取り込み、AIエージェントがそれらを横断的に検索・参照しながら、メタデータの一次案を自動生成する。そうすることでデータエンジニアはその内容を確認・修正しながら、メタデータ整備の作業負荷を大幅に軽減できるようになる。

 さらにメタデータは一度整備すれば終わりではなく、システムや業務の変化に合わせて継続的に更新し続ける必要がある。そうした手間のかかる部分があると、データ整備の作業が続かないという状況にもなりかねないので、取り組みに継続性を持たせる意味でも、AIによってデータ整備の負担を軽減することには意義があると渡辺氏は話す。

2.データがデータを呼ぶ

 2つ目は、データからインサイト(洞察)を引き出せるようにするケースだ。例えばあるダッシュボードに表示された数値について、その業務に直接的に関わる担当者であれば、その数値が何を意味するのかをすぐに分かることもあるだろう。だが担当外の人にとっては、背景情報が何もなければ、数値が何を意味するのかを読み取るのは大抵の場合難しい。

 そこで同社が支援する案件では、議事録や業務文書、メールの履歴などの業務情報をSnowflake上に集約し、AIエージェントに参照させることで、数字の背景となる情報を踏まえたインサイトを得られる仕組みを構築。これにより、その業務に詳しくない担当者でも、エージェントとの対話を通じてより深いインサイトを得て、分析や判断ができるようにしている。

 こうした取り組みを進める中では「データがデータを呼ぶ」という現象が起きるという。データが活用されるようになると、新たな情報も蓄積・共有され、それがさらに次の分析や意思決定につながっていく。こうした循環によって、業務で得られるインサイトもより深まっていく。

3.データの民主化

 3つ目は、「データの民主化」とも呼べる取り組みだ。例えばダッシュボードは、何か特定の指標を継続的に確認するために作り込まれるものだ。最も確認しておきたい指標をチェックするには適しているが、「別の切り口で見たい」「もう少し詳しく分析したい」といったニーズがある場合はそうではない。

 そうした場合は、データを抽出し、新たなビューや分析画面を作成する必要がある。その作業は、データエンジニアリングには直接関わらない業務部門の担当者にとってはハードルが高いものだ。だが、AIエージェントを活用することで、対話形式で個別の要件を踏まえながら、ビューやアプリケーションを作成できるようになる。

 こうして現場主導でアプリケーションの改造や作成ができるようになれば、分析の視点が多様になったり、意思決定のスピードが速くなったりすることで、より迅速にビジネスを展開していける効果が見込めると、渡辺氏は話す。

日本のサポート部門でもSnowflake CoCoを活用

 Snowflake CoCoの活用は、Snowflake自身の業務でも進んでいるという。エンジニア部門でコードの原因分析などの工数削減につながっているだけでなく、営業やマーケティングの部門でも、Slackやメールなどと連携し、顧客に関するデータ分析からインサイトを引き出せるようにするなど、全社的に活用が進んでいる。

 日本のサポート業務でもログの解析や原因調査にSnowflake CoCoを利用し、案件の平均クローズ日数は14%短縮、長期化するサポート案件は約50%減少といった成果が表れ始めている。


 AI活用のためのデータ整備にAIを使い、データ分析から得られたインサイトがまた別のデータを呼ぶといった形で、AIとデータの取り組みにおいては知見や手法、ツールが蓄積されるほどに循環してさらに取り組みが進化していくものだと言えそうだ。そうした好循環を生み出すためにも、データ基盤を整備した上で、AIと人が継続的にデータを育てていく循環を組織的に育めるかということも欠かせない視点になるだろう。

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