「おじさんプログラマー」は「気に入られ力」を磨け!:仕事が「つまんない」ままでいいの?(38)(3/4 ページ)
プログラミングは若手だけのもの? 人生100年時代の「おじさんプログラマー」像とは――。
技術力以上に大切な、おじさんの「気に入られ力」
「でも、そういうのは限られた人だよね」と言いたくなる気持ち、分かります。そう、われわれおじさんはいつの時代も嫌われることが多いから。
プログラマーというと、何となく「技術力」ばかりが注目されがちですが、おじさんがプログラマーとして活躍するには、「技術力」以上に、「人間力」というか、「気に入られ力」みたいなものの方が大切なのではないかと、最近、思うようになりました。
私は今、NPO法人を運営する傍ら、IT企業で複業(メインとサブがあるダブルワークの「副業」ではなく、パラレルワークの「複業」)をして、私よりも若い仲間たちと一緒に働いています。その経験を通じて思うのは、「仲間として受け入れてもらう力も大事だよな」ということ。
この「仲間として受け入れてもらう力」は、一般的には「スキルを磨け」「人間力を磨け」「コミュニケーション力を発揮せよ」みたいになるのでしょうが、おじさんには正直しんどい(笑)。そこで、私はこれを「気に入られ力」と名付けました。
私が思う、おじさんの「気に入られ力」を5つ挙げます。
頭は柔らかく
おじさんはややもすると、今まで自分がやってきたやり方に固執してしまいがちです。けれども、進化しているのがITの世界。「オレはこういうふうにやってきたんだ!」ではなく、頭は柔らかくしておく必要があるでしょう。
経験が豊富であるが故に「そのやり方は違う」と言いたくなる気持ちも分かります。それならば、「今のやり方はそうなのかぁ」と、ある部分ではスルーし、若手に任せる器量も持ち合わせたいものです。
広い視野を生かす
若手になくて、おじさんにあるのは「経験値」です。その、最たるものは「広い視野」ではないでしょうか。
ガツガツコードを書くようなところは若手に任せて、おじさんは「例外があったとき、これで大丈夫?」のように、システム全体を広く、客観的な視点で捉えるような役割が似合っています。
若手のメンターになる
おじさんが「オレの方がスゲーんだぜ!」と若手と競り合うのもいいのですが、ガツガツし過ぎるのはちょっとダサい。そこは「成熟したおじさん」でありたいもの。
若手のプログラマーには、将来に向けた不安や悩みがあるはず。「よき相談相手」として、メンター的な役割を担いたいものです。
清潔であれ
加齢臭や見た目など、若い世代と比べると不利な条件が多いのが、われわれおじさんの弱点です。
自然現象ですから、ある意味「仕方がない」部分はありますが、清潔感は若いころよりも気を付けたいものです。
こういうところは、つい忘れがちだから。
適度におしゃれを
清潔にも通じますが、おじさんは一般的に服装が無頓着になりがちです。適度なおしゃれ感を保ちたいものです。
だからといって過度な若作りはイタイので気を付けましょう。
もちろん、自戒を込めて。
普通のおじさんは、おじさんプログラマーに戻れるのか?
ここまでは、どちらかというと現役のプログラマーに向けて書いてきました。しかし、私のように一度現場を離れた人間はどうなのでしょうか。「普通のおじさん」は「おじさんプログラマー」に戻れるのでしょうか。
自分で言うのも悔しいのですが、恐らくかなり難しいと思います。若いころに身に付けた技術は時代遅れだし、あのときほどの体力もないし……。
基礎は分かっているので、新たな技術を学習する時間があれば、戻れるかもしれません。でも、他に役割を担っている私たちが、1日の大半の時間をプログラミングに割くのは現実的に難しい。
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