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最後に重大発表も飛び出したMA2017決勝戦まとめ――年末恒例「テクノロジーの異種格闘技イベント」2017年の覇者は?(3/3 ページ)

街に年末の喧噪が見え始めた2017年12月16日。東京・日の出桟橋に近い倉庫のようなたたずまいの会場で、開発者が互いにアイデアと技術力で覇を競う開発コンテスト「Mashup Awards 2017」ファイナルステージ(決勝戦)が開催された。全447作品の中から激戦を勝ち抜いた15作品が、賞金と誇りを懸けて挑んだ決勝戦の模様をお伝えする。

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for All最優秀賞は2年越しの悲願をかなえた「GROOVE v2.0」に

 以上で全作品の紹介が終了。別室での審査の後、各コースの最優秀賞が選出された。なお、ファイナルステージ進出の作品はいずれも、既に何らかの優秀賞、部門賞を受賞している。最終結果は以下の通りだ。

  • (「for Pro」コース)最優秀賞(賞金50万円)
    • 魔法の世界を”実装”する ext-broom
  • (「for Pro」コース)優秀賞(賞金各10万円)
    • 掃除機をどこまでかけたかわかるAR
    • スキー場での「会えない」を解決し「会いたい」を叶える 雪山BOT with LINE Beacon
  • (「for All」コース)最優秀賞(賞金100万円)
    • GROOVE v2.0
  • (「for All」コース)優秀賞(賞金各10万円)
    • 味憶
    • Draw Shop
    • Water Melon Sound
  • 部門賞(賞金各10万円)
    • ヒボたん 〜移動式植物栽培ロボット〜(MA部門賞)
    • Eyebrojector(おばかアプリ部門賞)
    • 人力で仮想通貨をマイニングする装置〜Garimpo〜(Internet of Awesome Things部門賞)
    • 4919 for Ikoma(CIVICTECH部門賞)
    • Yaba Coin System(学生部門賞)
    • 不可視彫像(Interactive Design部門賞)
    • Uchiwaction(Business Egg部門賞)

 for Allコースの最優秀賞を獲得した「GROOVE v2.0」の代表者は「時間をかけて完成度を上げてきた作品の姿を理解してもらえた。個人的に思い入れが深い作品なので、2年越しでの最優秀賞が非常にうれしい。今後についても期待されていると感じているので、より多くの方からのフィードバックを基に改善を続けていきたい」とコメントした。

 審査員の麻生氏は「ファイナルステージ進出の作品があまりに『異種格闘技』状態だったため、何を基準に最優秀賞を選ぶのか、審査員の中でも全く意見がまとまらず、ここ数年でも最もカオスな状態だった」と、混迷した審査の様子を振り返った。「GROOVE v2.0」については「今回の受賞で終わりではなく、賞金を今後の開発に生かしてくれそうだと感じた」ことが個人的な選定のポイントになった。また他の審査員からも、いずれの作品もレベルが高い中で、周囲の人々を巻き込み、コミュニティーのフィードバックを得ながら改善を続けていくというGROOVEの開発過程を高く評価するコメントが聞かれた。

広がり続ける「マッシュアップ」の概念――MAの運営体制もリニューアル

 麻生氏は、イベント全体の講評として「APIを使ったマッシュアップの開発コンテスト」だったMAが、約3年前を境にハードウェア、IoT開発などを取り込みつつ、急速に「開発」の裾野を広げている点を指摘。ジャンルについても、デザインやアート、エンターテインメントといった各領域の融合が進むと同時に、MA2017では「ビジネス色」を感じさせるものも増え、「開発コンテスト」としての幅が広がっていることを感じたとした。

 そうした中、次回以降のMAについては、これまでとは違う運営体制で開催されることが発表された。Mashup Awardsは第1回から、リクルートが幹事的な立場で運営を行ってきたが「10年以上にわたる盛り上がりと、近年の裾野の広がりを考慮すると、リクルートという一企業が主体であるよりも、より公共性のある形に運営方法を変えていくことがMashup Awardsにとってふさわしいと判断した」とする。具体的には、Mashup Awardsの実施を主事業の1つとする一般社団法人を新たに設立。その中に設けられる運営委員会を主体にイベント運営を行っていく予定。今後の詳細は、決まり次第順次発表される。

 新法人の代表理事に就任を予定しているMashup Awards事務局の鈴木まなみ氏は、最後にあいさつに立ち「2018年以降も、皆さんの期待を裏切らないものを作っていきたい」と力強く宣言した。「開発」の裾野が広がり「マッシュアップ」の意味も変容しつつあるこのタイミングで、運営体制をリニューアルする「Mashup Awards」が、どのように進化していくのか、引き続き注目したい。

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