10日に8日は楽しめる「天職」を探せ――政治からテクノロジーへ転身した異色の社長が語る:Go AbekawaのGo Global!〜Chris Barbin編(1/3 ページ)
企業のクラウド導入をサポートする「Appirio」創業者兼CEOのChris Barbin氏。政界志望の学生からコンサルティング、ITへ異色の転身を遂げた同氏に、エンジニアのキャリアパスや、エンジニアが活躍するために必要なマインドを伺った。※Barbin氏から日本のエンジニアへのメッセージ動画付き
アップルやディズニーなどの外資系企業でマーケティングを担当し、グローバルでのビジネス展開に深い知見を持つ阿部川“Go”久広が、グローバルを股に掛けたキャリアを築いてきたIT業界の先輩にお話を伺うインタビューシリーズ。今回は「Appirio(アピリオ)」の創業者兼CEO、Chris Barbin(クリス・バービン)氏に登場いただく。
クラウド導入で企業の「働き方改革」を支援するAppirio
阿部川“Go”久広(以降、阿部川) Appirioの起業から今まで、ビジネスの内容は変わりましたか?
Chris Barbin(クリス・バービン:以降、バービン氏) 創業直後は、「とにかくクラウドに移行したい。助けて!」という要望がほとんどでしたが、この10年間で、「クラウド移行を考えているけれど、それで自社ビジネスにどのようなメリットがあるか教えて」に変わりました。
阿部川 仮に私がある企業の幹部だとして、あなたに「Salesforce」を使う前提でクラウドに移行する場合にどんなことができるか聞いたら、どうしますか?
バービン氏 「あなたは、クラウド移行によって何を得たいのですか」と、質問しますね。あなたが仮にその企業のCMO(Chief Marketing Officer、最高マーケティング責任者)だとしたら、答えは「リードを増やしたい」かもしれないし、「リードをセールスにつなげる仕組みを増やしたい」「案件のクローズ率を上げたい」かもしれません。
Chris Barbin(クリス・バービン)
「Appirio」創業者兼CEO
W.W.Grainger社のコンサルティング・サービス部門ディレクター在任中にテクノロジーに魅せられ、WebMethods社のグローバル・カスタマー・サービス部門、Borland社のCIOかつビジネス・オペレーション部門副社長を務めたのち、同僚3人と2006年にAppirio社を起業。
ベーツ大学で政治学を学び、文系学士号を取得。
顧客と会ったばかりの段階では、そのビジネスやニーズを深く把握し、クラウド導入で何を目指したいのか明確にしておきます。Salesforceに限らず、最適なツールを検討するのは、次の段階です。例えば、ある保険企業の場合、従来紙で行っていた業務をタブレットなどに移行するため、Salesforceのモバイルアプリを開発して情報を共有し、アップデートする仕組みを作っています。
社員にはどんどんテクノロジーを活用してもらう。「会社」にいる必要はない。
阿部川 具体的に、Appirioの企業文化とは?
バービン氏 多くの社員が、オンライン環境やビデオ会議、チャットなどを駆使して遠隔地から作業しています。「バーチャル」な企業文化ですね。「優れた能力を持つ人を雇う」ことの方が、「会社のある場所で能力を発揮できる人を雇う」ことよりも重要ですから。
阿部川 2017年で、CEO就任から10年ですが、ご自身の最も重要な役割は何ですか?
バービン氏 優れた人材を雇い、長期間働いてもらい、やる気を出してもらえる企業文化をつくり、次の5点を徹底することです。
1つ目は、「この会社にずっといたい。一緒に成長を見届けたい」と社員が思ってくれるような、意味のある「目的」を経営者が持つこと。
2つ目は、実際に社員が毎日どのような「働き方」や経験を重ねているのか、どのようなシステムやツールが実際の仕事を楽しいものに、もしくはその反対にしているのか、自分の目で見ること。
3つ目は、周りに見せられるような「成果」を定期的に上げられているかです。
4つ目は、社員や業界、チャリティ活動のコミュニティーと「つながり」を築くことです。
5つ目は、社員の個人的な「成長」ですね。それぞれの社員がどのようなキャリアパスを想定しているか、仕事を通してそれに見合った成長を遂げられているかどうかなどを見ます。
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