「無償ツール」と「非機能要件アセスメント」でサポート終了を迎えるOS/データベースの移行を支援する日本マイクロソフト:EoS対応をソフトウェア資産管理へのファーストステップへ
製品のサポート終了まで2年を切ったSQL Server 2008とWindows Server 2008。過去のWindows Server 2003やWindows XPでの対応を踏まえて、前倒しで検討を進める企業は少なくない。だが、ソフトウェア利用状況の可視化や移行のプランニングといった最初のステップで課題に直面する担当者も多いのが現状だ。そうした状況を支援するため、日本マイクロソフトが無償ツールと診断サービスを提供する。
製品のサポート終了によって企業が直面する3つのリスク
SQL Server 2008/2008 R2とWindows Server 2008/2008 R2の延長サポートが、「2019年7月9日」と「2020年1月14日」にそれぞれ終了する。延長サポートが終了すると、これまで期間を延長するかたちで実施されていた重要な「セキュリティ更新プログラム」の提供が一切行われなくなる。これによって企業が直面するリスクは大きく3つある。
1つ目は「セキュリティリスク」だ。近年のサイバー攻撃の高度化、複雑化は目を覆わざるを得ないほどの被害をもたらしている。2017年に猛威を奮ったランサムウェア「WannaCry」では事前にセキュリティ更新プログラムが配布されていたものの、多くの企業に甚大な被害をもたらした。その事態にMicrosoftは、既にサポートが終了したWindows Server 2003向けの修正パッチを提供したほどだ。もちろん、この対応は例外中の例外だ。サポートが終了したOSやミドルウェアを無防備のまま放置することで、企業のセキュリティリスクは飛躍的に高まる。
2つ目は「コンプライアンスリスク」だ。2018年5月25日から欧州連合(EU)で適用が始まる「一般データ保護規則(GDPR)」に見られるように、データを適切に保護し、ガバナンスを効かせることは全ての企業にとって重大な責務となってきた。GDPRは、違反した企業に「2000万ユーロ(約26億円)または前年度のグローバル売上高4%のいずれか高い方」が制裁金として課せられる厳しいものだ。また、違反を発見した場合には、72時間以内に報告する必要もある。こうした対応を行う上では、セキュリティ更新プログラムが適用されない製品を使い続けることは問題外の状況だ。
3つ目は「メンテナンスコスト」の増大だ。ソフトウェアのバージョンが古く、ハードウェアも老朽化したシステムを使い続ける場合、現行システムには必要のない工数がかかってくる。ハードウェアの維持に特殊な装置が必要だったり、ソフトウェアの安全性を担保するために専用のセキュリティ製品が必要になったりする。メンテナンスを行うスキルを持った人材の確保も大きな課題だ。近年はクラウドを中心にテクノロジーの進化のスピードも速く、コモディティ化によるコスト低下も起こりやすい。古いシステムをメンテナンスし続けるよりも、クラウドなど最新のプラットフォームで随時更新していった方がコスト効果が高いケースは増えている。
日本マイクロソフトのソリューションスペシャリスト、西森万晃氏(インサイドセールス事業本部 クラウド&ソリューション営業本部)は、「セキュリティやコンプライアンス、クラウドなどは、今日の企業の事業運営に欠かすことができない重要な要素です。ソフトウェア製品のサポート終了(End of Support:EoS)によるリスクを避けることも大切ですが、それだけにとどまらず、EoSというタイミングを、オンプレミスかクラウドか、自社のシステム環境ではいずれが最適なのかをいま一度考えるきっかけにしてほしい」と話す。
- SQL Server 2008 / 2008 R2のサポート終了について(日本マイクロソフト)
- 移行の重要性 - Windows Server 2008/R2 2020年1月14日サポート終了(日本マイクロソフト)
資産管理の視点でIT環境を「可視化」するメリット
EoSのリスクを認識し、適切な資産管理に向けた取り組みを始める際、大きな課題となるのが「可視化」だ。さまざまなユーザー調査などから類推すると、国内でWindows Server 2008やSQL Server 2008以前のバージョンで動いているシステムは、おそらく、大多数の企業において1台以上存在している可能性が高い。
だが、問題はそれがどこにあるのか、どのシステムなのかがはっきりと分からない状況にあること。利用を止めたシステム内に存在しているだけなら、ライセンスを廃棄することで対処できる。しかし、例えば、年に数回など、必要なときだけ稼働するシステムに利用されている場合、見つけ出すことは難しい。
可視化の問題をさらに難しくしているのが、ソフトウェアの基盤として用いられているWindows ServerやSQL Serverの存在だ。Windows ServerがNAS(Network Attached Storage)製品のOSとして使われている場合もあれば、会計ソフトに組み込まれたデータベースとしてSQL Serverが利用されている場合もある。
特にSQL Serverは、会計等パッケージソフトウェアなどのデータベースとして利用されていることも多く、普段の利用で意識されることはほとんどないため、管理者でも気が付きにくい場合が多いという。こうした「隠れSQL Server」は、SQL Server 2005のサポート終了時にも問題になった。実際、どのように検知していくかで手を焼いた担当者は少なくないはずだ。さらに、ソフトウェアの所在が把握できても、それを資産としてどう管理するかも考慮しなければならない。
EoSでシステムを移行する際、新たな移行先としては、従来通りのオンプレミスのままと、クラウド化という選択が有力な候補になる。現在のITトレンドと将来を見据えたプラットフォームとして考えれば、クラウド化を進めたいところだろう。しかし、これまでオンプレミスで稼働してきたシステムをそのままクラウドに移行する場合には、注意すべきポイントがあると西森氏は指摘する。
「クラウドへのシステム移行を考えるお客さまのほとんどのケースでシステムを可視化しないまま、クラウド化の見積もりを取られている結果、多くの場合で想定外のコストが算出されます。その理由は、オンプレミスの見積もりは5年後を見越して、万が一にもパフォーマンスが劣化しないような余裕を見たスペックでサイジングをするからです。もし、運用している中で性能が出せないと大きな問題になるためです。対してクラウドは伸縮自在であり、性能が出ないのであればサイズを上げれば解決します。クラウドの見積もりをオンプレミスの過剰なスペックに合わせようとするので、クラウドが高く見えて当然です」(西森氏)
無償でダウンロードし、すぐに利用できる「MAPツール」
日本マイクロソフトがこうした資産管理に役立つ可視化ツールとして提供しているのが「Microsoft Assessment and Planning Toolkit(MAPツール)」(最新版はバージョン9.8)だ。
- Microsoft Assessment and Planning Toolkit(MAPツール)のダウンロード
- MAPツール使用手順書(日本語版)のダウンロード
「Windows環境のインベントリ情報を可視化――無償ツールの使い方を徹底解説」
MAPツールは英語版のみの提供だが、使いやすく自社のサーバ環境を可視化できるツールとして日本国内でも人気が出始めている。エージェントレスで動作し、システムに負荷をかけることなくActive Directory配下のサーバ状況を自動的に収集してくれるので、EoSへの対応や資産管理に向けた第一歩として最適なツールとなっている。
MAPツールの1つ目の特徴は、実際のシステム稼働状況を正確に把握できること。一般的に“ソフトウェアの資産管理”というと、ソフトウェアやライセンスを「台帳」として管理することが多い。このため、実際の利用状況と台帳に差が発生しやすく、定期的に照合作業が必要になる。MAPツールは実際に動いている機器の情報を収集し、システム構成を可視化するため、今現在、どのようなソフトウェアが使われているか、正確な実態を把握できる。
2つ目の特徴は、収集する情報の状況を「最大値」「平均値」「全体の95%のカバー率でのシステムの利用率」という3つの指標で把握すること。西森氏は「最大値に合わせてクラウドのサイジングをすることで、安定して移行させることができます」と、3つの指標を持つメリットを強調する。システムを稼働させて測定する期間としては、月末月初などシステムの稼働率が高い時期に、3日から1週間程度の期間を設け測定するケースが多いという。
3つ目の特徴は、クラウド環境へ移行する場合、実際にどのくらいのリソースが必要になるのかを計算し、最適なサイジングをグラフィカルに表示できることだ。Microsoft Azureの仮想マシンがWindowsベース、Linuxベースでそれぞれ何台必要になるのかを把握できる。
「MAPツールを使うことで、現在のシステムの正確な実態を可視化し、クラウド移行を含めた移行計画をスムーズに実施できるようになります」(西森氏)
移行をアセスメントする「非機能要件アセスメント」も提供
具体的なEoSへの対応では、MAPツールによる可視化後、実際の移行作業が発生する。MAPツールで得た情報を分析し、オンプレミスかクラウドかなど、自社にとって何が最適な移行となるのかをアセスメントすることが必要なシーンも増えてくる。そこで日本マイクロソフトがパートナー企業とともに実施するのが「非機能要件アセスメント」だ。
西森氏は「MAPツールはクラウドに移行する場合の最適なコストは出せますが、お客さまはコストだけではなく、プラットフォームとしてオンプレのままでよいのかどうかを、客観的な非機能要件に基づき検討していただきたい。非機能要件アセスメントを活用して可視化してほしい」と話す。
非機能要件アセスメントでは、顧客ごとに必要な非機能要件も含めてヒアリングし、何が重要なのか、どんなプラットフォームが適切なのかを数値化して可視化する。非機能要件としては「グローバルガバナンス」「ビジネス環境の変化への対応」「基幹システムの稼働状況」「システム信頼性(稼働率)」「コンプライアンス対応」「拡張性」「セキュリティ要件」「DR・BCP対策」「運用体制の最適化」「クラウドベンダーのポジション」など16項目を定義。これらについて、オンプレミスとMicrosoft Azure環境でそれぞれどの程度要件に合致しているかを数値化して、Microsoft Azureに移行した場合のコスト削減額まで提示する。
「非機能要件をそのまま稟議書の資料として活用いただいているお客さまもたくさん、いらっしゃいます。オンプレミスがよい場合は、なぜオンプレミスが自社に取っていいのか。クラウドがよい場合は、なぜクラウドがいいのかをいま一度、正しく認識してほしい。今までは何となくセキュリティが怖いのでオンプレミス、というようなお客さまが多かったのが実情ですが、非機能要件アセスメントを受けられたお客さまは『セキュリティが重要だからこそクラウドが最適』と考えを180度変えられるケースが多くあります」(西森氏)
製品知識やノウハウを持ったプロフェッショナルが対応するので、“隠れSQL Server”を発見して、アプリケーションのバージョンアップを促したりすることもできる。また、資産管理に精通したコンサルタントと連携しながら、不必要なライセンスを廃止することでコスト削減や不正利用の防止につなげたりもできる。さらに、モバイル環境に対応したライセンスの適切な運用によって、働き方改革を推進することもできるようになる。
欧米企業に比べ、国内企業はソフトウェア資産管理への意識がまだそれほど高くないのが現状だ。しかし、EoS対応は、セキュリティやコンプライアンス、クラウド移行などとともに、事業運営に欠かせない要素の1つとなっている。EoS対応は、企業としてソフトウェア資産管理を推進する大きなチャンスなのだ。
「まずは無償で提供しているMAPツールや非機能要件アセスメントを利用してください。そして、どうすればEoS対応をうまく進められるかを実感してほしいと思います。それが適切な資産管理に向けた“ファーストステップ”につながります」(西森氏)
MAPツールがどういうものなのか、具体的にどんなメリットがあるのかについては、まずダウンロードしてみてほしい。また、以下のリンクからは日本語の「使用手順書」も入手できる。ツールに付属のサンプルデータを使って、実際にどのようなレポートが作成されるのか、ステップバイステップで手順を確認できるので、ぜひ併せてダウンロードして、MAPツールの有用性を体感してほしい。
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提供:日本マイクロソフト株式会社
アイティメディア営業企画/制作:@IT 編集部/掲載内容有効期限:2018年5月9日