従業員数が多い企業ほどRPAの導入意向が高い――ノークリサーチが自動化ソリューションに対する投資動向の調査結果を発表:「Cognitive RPA」が今後有望に
ノークリサーチは、データ処理の自動化とRPAに関連するITソリューションへの投資動向の調査結果を発表した。従業員数が多い企業ほどRPAの導入意向が高く、クラウドが望ましいと回答した割合が多かった。今後はAIを利用したRPAの導入が進むとみられる。
ノークリサーチは2018年4月16日、「データ処理の自動化」と「RPA」(Robotic Process Automation)に関連するITソリューションへの投資動向の調査結果を発表した。対象は年商500億円未満の中堅中小企業700社だ。それによると、従業員数が多い企業ほどRPAの導入意向が高く、500人以上1000人未満の企業では36.7%が導入予定とした。
ノークリサーチでは、自動化ソリューションを5つに分類している。1つ目はPC操作の記録/再生による自動化で、「主にPC単体で動作するTraditional RPA」または「RDA(Robotic Desktop Automation)」だ。2つ目は業務フローの定義と連携の自動化で、「主にクライアント/サーバ型で動作するTraditional RPA」である。3つ目はAI(人工知能)を利用した内容判断を伴う自動化で、「Cognitive RPA」と呼ばれる。例えば、メールや文書の内容を認識して、顧客への返答や承認判断といった処理を自動的に実行する。ノークリサーチではこの3つが、いわゆるRPAと呼ばれるソリューションだとしている。
4つ目は「チャットの内容を理解した情報検索」で、ユーザーからチャットで尋ねられた内容を理解し、社内外の情報源から最適な答えを検索して返答するソリューションだ。5つ目は、音声分析による議事録の自動作成ソリューションである。
ノークリサーチが、主にPC単体で動作するTraditional RPAの導入予定を調べたところ、従業員数が多い企業ほど導入の意向が高いことが分かった。従業員数が20人未満の企業で導入予定と答えた割合は12.5%にすぎなかったのに対して、50人未満の企業は13.7%、100人未満は18.1%と増えていき、300人以上500人未満の企業は29.3%、500人以上1000人未満の企業は36.7%だった。
これら自動化ソリューションのシステム形態(オンプレミスまたはクラウド)とスマート機器(スマートフォンやタブレット機器)の利用有無を調べたところ、チャットの内容を理解した情報検索について、望ましいシステム形態の回答割合は、クラウドが67.5%、オンプレミスが32.4%だった。一方、チャットの内容を理解した情報検索について、「スマート機器を利用する」と回答した割合は53.4%で、「利用なし」と答えたのは46.7%だった。
スマート機器の利用を予定している企業が多い点についてノークリサーチは、そうした企業では従来の業務をPCでこなしながら、スマート機器を使って必要な情報をチャットで検索するといった利用方法を想定しているのではないかと分析している。
導入予定の自動化ソリューションと、許容できるITソリューションの初年度導入費用の関係を調べたところ、導入予定割合と初年度費用の両方が高かったのは、Cognitive RPAだった。この結果を受けてノークリサーチでは、現在導入が進みつつあるTraditional RPAに続いて、今後はCognitive RPAが有望なITソリューションになっていくと予想している。
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