Oracle、分析、統合、ビジュアル開発に対応した自律型クラウドサービスを提供開始:自律型クラウドサービスを着々と拡充
Oracleは以前に予告した通り、新しい自律型Oracle Cloud Platformサービスである「Oracle Autonomous Analytics Cloud」「Oracle Autonomous Integration Cloud」「Oracle Autonomous Visual Builder Cloud」を提供開始した。
Oracleは2018年5月7日(米国時間)、発表済みの計画の一環として、「Oracle Cloud Platform」全体を自律機能で拡張する新しいサービス「Oracle Autonomous Analytics Cloud」「Oracle Autonomous Integration Cloud」「Oracle Autonomous Visual Builder Cloud」を提供開始した。
人工知能(AI)と機械学習アルゴリズムを装備したこれらの新しいPaaSは、主要なタスクの自動化や省略化を実現し、ユーザー組織はコストの削減、リスクの軽減、イノベーションの加速、先見性ある洞察の獲得が可能になるという。
Oracleは2018年3月、データウェアハウスワークロード向けの自律型データベースクラウドサービスを提供開始した。同社の全てのPaaSサービスに自動稼働、自動保護、自動修復機能を追加するとともに、各サービスの機能分野に応じて自律機能を提供することを表明している。
新たに提供開始されたOracle Autonomous Analytics Cloud、Oracle Autonomous Integration Cloud、Oracle Autonomous Visual Builder Cloudは、企業がモダンなアプリケーションを容易に構築、デプロイするとともに、重要な企業データを統合、分析できるよう支援するという。
それぞれの特徴の概要は以下の通り。
Oracle Autonomous Analytics Cloud
Oracle Autonomous Analytics Cloudは、機械学習、適応型インテリジェンス、サービス自動化機能を組み合わせることで、人、場所、データ、システム間の障壁を取り除き、情報の分析と理解、それに基づく行動の方法を根本的に変える分析プラットフォームを実現しているという。
主な機能は以下の通り。
ビジネスユーザーが多くの洞察を迅速に導き出せるよう支援する
ユーザーがモバイルデバイスで質問すると、自然言語処理機能がバックグラウンドで質問をクエリに変換し、答えを高度に可視化してデバイスに返すという。機械学習を利用してインテリジェンスを獲得し、ユーザーが質問する前に、データに関する洞察をプロアクティブに提示する。
隠れたパターンやパフォーマンス向上要因を明らかにする
機械学習による予測洞察と自動自然言語説明によって明らかにする。
IoTデータに関する予測分析を行う
特定分野の機械学習アルゴリズムを大量のセンサーデータと過去の障害パターンデータに適用することで予測分析を行う。
Oracle Autonomous Integration Cloud
Oracle Autonomous Integration Cloudは、機械学習、組み込まれたベストプラクティスのガイダンス、構築済みのアプリケーション統合およびプロセス自動化機能を組み合わせ、Oracleおよび非OracleのさまざまなSaaSやオンプレミスアプリケーションを包含するビジネスプロセスを実現することで、デジタルトランスフォーメーションを加速するという。
主な機能は以下の通り。
異なる2つのアプリケーション間でオブジェクト属性をマッピングする複雑なプロセスにおいて、「統合」をスピードアップする
実行される全ての「統合」に関するクラウド上のデータと、機械学習を利用して、これらのオブジェクトの接続方法についてビジュアルな提案を行う。
インテリジェントで動的な適応型ケース管理を実現する
AI/機械学習フレームワークを組み込むためのAPIを提供し、自動プロセスフローにおける次善策を提案する。
耐障害性とパフォーマンスを高める
大規模ワークロードをインテリジェントに管理するための自動稼働および自動チューニング型の統合機能を提供する。
RPA(ロボティックプロセスオートメーション)を実現する
APIが用意されていないシステムを対象に、AIや機械学習によって、ケース管理やプロセス自動化の“ラストマイル”を自動化する。
Oracle Autonomous Visual Builder Cloud
Oracle Autonomous Visual Builder Cloudは、ビジネスユーザーと開発者がコーディングなしでモバイルおよびWebアプリケーションを開発できるようにすることで、これらのアプリケーション開発のスピードアップを支援する。
主な機能は以下の通り。
コード生成を自動化する
シングルクリックでデプロイでき、ビジネス部門のユーザーでも迅速にアプリケーションを開発できるようにする最新の業界標準技術を使用する。
モバイルアプリケーションのデリバリーを自動化する
iOSやAndroidなどマルチプラットフォームに対応する。開発されるアプリケーションは、標準的なオープンソース技術(Oracle JETやSwaggerなど)をベースにしたものになり、簡単に拡張できる。
さらに自律型サービスを2018年中にリリース予定
今回の発表に加えて、モバイルおよびチャットbot、データ統合、ブロックチェーン、セキュリティおよび管理、OLTP(Online Transaction Processing:オンライントランザクション処理)などに重点を置いた自律型サービスを2018年中にリリースする計画だ。
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