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あまっあまのスイーツ社長なんて、大手に利用されて当然よ!コンサルは見た! オープンソースの掟(3)(3/3 ページ)

アンタ、本当に経営者?――大手カーナビベンダーの女性部長から契約打ち切りを告げられたカーナビソフト開発会社社長の三浦は、解決策を相談しに訪問した先でも、気の強そうな女性コンサルタントに頭ごなしに怒鳴られてしまった。

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 美咲の目が小さく光った。

 「念のために、ボカのソースコードを見せてくれない?」

 その声からは、先ほどの怒りのトーンが消えていた。「今さらソースコードなど見て、何が分かるのか」といぶかしがる三浦を説き伏せ、さらにジェイソフト社内のPCにあるバルサIのソースコードのコピーも持ってくるように指示を出した。

 「あんまり期待しないでね。もしかしてって思っただけだから」

 三浦の目には、美咲が少し微笑んだように見えた。

 「コンサルは見た! オープンソースの掟」作者の細川です。お話は現在、三浦の目線で進んでいるので、私から少し状況を補足します。

 まず、ボカはソースコードを公開しているオープンソースソフトウェアです。

 ただし単体では動作せず、各社のカーナビ向けにカスタマイズしないと役に立ちません。ジェイソフトはボカを元にバルサI向けのカスタマイズを行い、その作業費を月々の売り上げとしてプレミアから受け取ってきました。

 今回の事件は、プレミアが、ボカをカスタマイズしたカーナビソフトを搭載したバルサIを、更に改造して新バージョンを出そうとしたときに起きました。

 この場合、いやそれ以前に、旧バージョンのバルサIを自動車メーカーに提供する際にも、別途契約で譲渡を受けない限り、素のボカの著作権は原始的にジェイソフトに留保されますし、プレミアもそのことは承知していました。しかし、「ボカはオープンソースだから関係ないよね」と考え、特に気にも留めていなかった、という次第です。

 三浦率いるジェイソフトは、このまま泣き寝入りするしかないのでしょうか? 美咲は、何をつかんだのでしょうか? 続きを楽しみにお待ちください。

「コンサルは見た!」Season3「オープンソースの掟」は、毎週木曜日掲載予定です


書籍

システムを「外注」するときに読む本

細川義洋著 ダイヤモンド社 2138円(税込み)

システム開発に潜む地雷を知り尽くした「トラブル解決請負人」が、大小70以上のトラブルプロジェクトを解決に導いた経験を総動員し、失敗の本質と原因を網羅した7つのストーリーから成功のポイントを導き出す。

※「コンサルは見た!」は、本書のWeb限定スピンアウトストーリーです

細川義洋

細川義洋

政府CIO補佐官。ITプロセスコンサルタント。元・東京地方裁判所民事調停委員・IT専門委員、東京高等裁判所IT専門委員

NECソフト(現NECソリューションイノベータ)にて金融機関の勘定系システム開発など多くのITプロジェクトに携わる。その後、日本アイ・ビー・エムにて、システム開発・運用の品質向上を中心に、多くのITベンダーと発注者企業に対するプロセス改善とプロジェクトマネジメントのコンサルティング業務を担当。独立後は、プロセス改善やIT紛争の防止に向けたコンサルティングを行う一方、ITトラブルが法的紛争となった事件の和解調停や裁判の補助を担当する。これまで関わったプロジェクトは70以上。調停委員時代、トラブルを裁判に発展させず解決に導いた確率は9割を超える。システム開発に潜む地雷を知り尽くした「トラブル解決請負人」。2016年より政府CIO補佐官に抜てきされ、政府系機関システムのアドバイザー業務に携わる

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