連載
請負だって聞いていたのに、これじゃあ人材派遣じゃないですか!:「訴えてやる!」の前に読む IT訴訟 徹底解説(57)(2/3 ページ)
作業指示はこちらが出します。成果物の責任はとってください。え、派遣と請負のいいとこどり? どこでもやってることじゃないですか――IT訴訟事例を例にとり、システム開発にまつわるトラブルの予防と対策法を解説する人気連載。今回は、契約が請負なのか派遣なのかが争点となった裁判を紹介する。
ユーザー優位の契約プロジェクト
今回取り上げるのも、契約の「名称」と「実態」が懸け離れたことで発生した紛争だ。
契約書は「請負契約」として作成されていながら、実態は「ユーザーがベンダーの作業者に直接指示」を与え、かつ「成果物の完成責任はベンダー」にあるという、随分とユーザーに都合の良い内容の契約だ。
IT以外の世界であれば、そもそもこんな契約が認められることは少ないのかもしれないが、システム開発プロジェクトでは前出の通り、こうした作業形態はよく行われている。
とはいえ、いびつな作業形態には問題がある。だからこそ裁判が提起されることになってしまったのだ。まずは、事件の概要から見ていただこう。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 偽装請負から身を守るための法律知識
ITエンジニアだろうがなかろうが、論理的な思考はビジネスパーソン共通のスキルである。では、それをすぐに学習する方法は何か? そう、記事を読むことだ。そんな記事を紹介しよう。記事を読み、論理思考を身に付けよう - 「派遣切り」の悪夢再び?――改正労働者派遣法が派遣エンジニアに与える影響とは
改正労働者派遣法が9月11日に成立し、30日より施行された。「派遣期間の上限3年」「特定派遣の廃止」など、派遣エンジニアにとって影響が大きい本改正のポイントを、エンジニア派遣を行っているビーブレイクシステムズの高橋氏に伺った - ユーザーの要件が間違ってるのはベンダーの責任です!――全ベンダーが泣いた民法改正案を解説しよう その1
IT紛争解決の専門家 細川義洋氏が、IT訴訟事例を例にとり、トラブルの予防策と対処法を解説する本連載。今回は民法改正がIT業界にもたらす影響を解説する - 検収後に発覚した不具合の補修責任はどこまであるのか(前編)
ユーザー検収後に発覚したシステム不具合を補修をめぐる争いで、裁判所が1724万円の支払いを命じたのは、ユーザー、ベンダーどちらだったのか? - ベンダーが確実に支払いを受けるための3つのポイント(検収書裁判解説 後編)
検収書だけでは不十分?――ユーザーから確実に支払いを得るために、ベンダーがやるべきこととは何だろう?