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メインフレームがセクシーじゃないなんて思ったことは一度もない――CA Technologies ロトコ氏ゲームやスマホにもメインフレームは使われている

企業のITインフラがオンプレミスからクラウドへと移行する動きが進む中、メインフレームへの投資を増やす意向を示しているCA Technologies。その理由やメインフレーム人材の不足、メインフレームの今後などについて、同社メインフレーム担当ゼネラル・マネージャであるグレッグ・ロトコ(Greg Lotko)氏に話を聞いた。

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 企業のITインフラがオンプレミスからクラウドへと移行する動きが進む中、メインフレームへの投資を増やす意向を示しているCA Technologies。その理由やメインフレーム人材の不足、メインフレームの今後などについて、同社メインフレーム担当ゼネラル・マネージャであるグレッグ・ロトコ(Greg Lotko)氏に話を聞いた。


CA Technologies メインフレーム担当ゼネラル・マネージャ グレッグ・ロトコ氏

――企業がITインフラをオンプレミスから(パブリック)クラウドへと移行する動きが増えている中、メインフレームの現状をどう見ていますか?

ロトコ氏 メインフレームを取り巻く世界は大きく変化しています。そして、この変化はメインフレーム業界全体に大きなビジネスチャンスをもたらすと考えています。

 例えば、オンプレミスからクラウドへの移行という点では、メインフレームをクラウド上で展開できるようにする「Mainframe as a Service」というビジネスチャンスがあります。また、メインフレームをLinuxなどオープンソースソフトウェアに対応させることで、クラウドとの親和性を高める新しい技術も出てきています(参考)。この他に、クラウド時代のメインフレーム運用におけるコストとスキルに関するプレッシャーを軽減するさまざまなインテリジェンスの提供や、新たなセキュリティの提供もビジネスチャンスにつながると見ています。

 一方で、メインフレームの現状を見ると、決して市場は縮小しているわけではありません。トランザクション関連データの70%は、いまだにメインフレーム上で処理されているのが実情です(参考)。また、過去10年でMIPSインストールベースは3.5倍にまで拡大しており(参考)、78%の企業でMIPSが増加している(参考)というデータもあります。このことから、メインフレームのキャパシティーやフットプリントは、依然として成長し続けているといえます。

――メインフレームの人材が少なくなっている現状については、どのようにお考えですか?

ロトコ氏 メインフレームの技術は、今後20年から30年くらいで消えてしまうだろうとみている技術者は多いようですが、そんなことはありません。今後も、大規模な業務に関するプロセスやミッションクリティカルなプロセスについては、引き続きメインフレーム上で動作するとみています。この認識のギャップが、メインフレームの人材不足につながっていると考えています。今現役のメインフレーム技術者は、いずれは退職しなければいけない年齢になるので、その時までに、新しい技術者を育てていく必要があります。

 そこで当社では、若い技術者に、メインフレームが重要なプラットフォームであることを理解してもらうための取り組みとして、「メインフレーム・アカデミー」を展開しています。メインフレーム・アカデミーは、次世代のメインフレーム人材を育成するためのトレーニングプログラムで、メインフレームの運用に必要なスキルや知識を提供します。

 日本では、5年ほど前からメインフレーム・アカデミーを実施しており、現在、数社がこのトレーニングを受けています。参加者の年代は、当初は30代後半から40代を想定していましたが、実際は若い技術者も多く、最近では新人を参加させる企業も増えています。メインフレームを活用している企業は、若いの技術者をメインフレーム人材として育成しようとチャレンジし始めていると感じています。

――日本では、メインフレームでCOBOLを使って開発するような部署に、「クラウドが当たり前」な新人技術者が配属されると、その技術者は「メインフレームやCOBOLは古いものだ。将来につながるスキルセットが得られない」と嘆くという話も少なくありません。どうすればイメージが良くなるのでしょうか?

ロトコ氏 確かに、若い技術者にとっては、最新の技術や話題の技術に携わっている技術者は魅力的に見えます。しかし、そうした技術は短期間で消え去ってしまうケースも少なくありません。私は、本来メインフレームは、非常に魅力的で、セクシーな技術であると思っています。メインフレーム人材の多くは、技術そのものを愛好していて、技術の持つ本当の強さや耐久性、持続性に高い関心を寄せています。

 こうしたメインフレームの魅力を若い技術者に伝えていくために、例えばIBMでは、高校生や大学生を対象にした「メインフレーム・コンテスト」を実施しています。また、企業のリクルーターが大学のキャンパスを訪問し、メインフレームの重要性やビジネスの成功体験を伝えることで認知度アップを図る動きもあります。当社の取り組みとしては、CA World(CA Technologyの年次カンファレンス)のセッションで、サービスプロバイダーの若手技術者に登壇してもらい、メインフレームの現状やその魅力について語ってもらいました。

 また、若い技術者が、もっとメインフレームの領域に入りやすくするためには、より効果的かつ容易にプラットフォームを開発できるようにすることも重要だと考えています。そこで当社では、メインフレームの領域でエンドツーエンドのDevOpsアプローチを実現する新機能「CA BrightSide」を提供しています。

 この機能は、もともと社内で使っていたもので、メインフレームの業務に携わっていた若手の技術者が、大学時代に扱っていたオープンソースソフトウェア技術を活用することで、メインフレームにアジャイル開発の概念を導入できることに気付いたのが開発のきっかけです。

 社内での活用事例としては、短期的にメインフレームの開発プロジェクトに携わる技術者が、「CA BrightSide」を使うことでプラットフォーム開発が容易にできるようになったケースがあります。現在は、当社だけではなく、IBMなどさまざまな企業に「CA BrightSide」の導入が拡大しています。

――今の若い技術者は、メインフレームを長年活用している大規模な企業よりも、最新技術を駆使しているWeb系企業やスタートアップに興味を持っていると思います。そうした企業で、メインフレームが使われるといった事例はあるのでしょうか?

ロトコ氏 これは誤解されがちなのですが、メインフレームを活用しているのは、銀行系や金融機関などのいわゆるミッションクリティカルなシステムを持つ企業だけではありません。最新技術を使っているWeb系企業でも、メインフレームが活用されているケースはたくさんあります。例えば、某ゲーム開発会社では、最新のゲームプログラムをメインフレーム上に乗せて運用しています。しかし、ユーザー側から見れば、そのゲームがメインフレーム上で動作しているとは思いも寄らないでしょう。

 また、若い技術者がセクシーだと思っている技術の一つにスマートフォンがありますが、通信会社がスマホのサービスで課金を行うためのシステムもメインフレーム上で動作しています。つまり、スマートフォンの最先端のインタフェースを通じて、実は多くの人がメインフレームに触れていることになります。Web系サービスの裏側でも、堅牢でパワフルなメインフレームが動いているということを理解してほしいですね。

――今後のメインフレームの進化について、どのような可能性があるのか教えてください。

ロトコ氏 メインフレーム上で動作しているプロセスやアプリケーションには、古い時代に書かれたコードやプログラムが今も使われています。ここにさまざまな新しい機能や能力が加わることで、メインフレームは進化を遂げてきました。例えば、プロセッサ数やメモリ容量の増加、プロセスや内部ネットワークの高速化といった機能面での進化は今後も続いていくと考えています。

 ただ、メインフレームのコアとなる価値は今も昔も変わることはありません。進化したメインフレームの新たな機能や能力をビジネスで最大限に発揮できるかどうかは、次世代のメインフレーム人材にかかっているといえるでしょう。

 メインフレームの領域に昔のようなセクシーさを取り戻そうという声も聞きますが、私自身は、メインフレームがセクシーじゃないなんて思ったことは一度もありません。メインフレームのプラットフォームが持つ真のレジリエンシーやパワーを理解している技術者にとっては、メインフレームは常にセクシーなものであり続けているのです。

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