“隠れた要因の推測”で経営課題を高精度に解析――大規模データ解析サービス「CALC」に新機能
電通国際情報サービス(ISID)、ソニーコンピュータサイエンス研究所(ソニーCSL)、クウジットは、経営の意思決定を支援する大規模データ解析サービス「CALC」の新バージョンを発表。データ間の因果関係を高精度に推測する新機能など、機能拡充を図った。
電通国際情報サービス(ISID)、ソニーコンピュータサイエンス研究所(ソニーCSL)、クウジットは2018年10月17日、AI(人工知能)を活用した大規模データ解析サービス「CALC(カルク)」に、データ間の因果関係を高精度に推測する新機能を搭載したと発表した。
CALCは、ソニーCSLが独自開発したAI技術で、膨大なデータから有益な情報や因果関係を高精度に抽出し、ビジネスの意思決定を支援する。従来の解析手法では推定が難しかったデータ内関係因子の直接的な要因、原因を抽出することで、相関が明瞭になるという。これにより、ビジネスの課題と選択肢を明確化でき、より確度の高い意思決定を行えるようになる。
3社は、2017年5月からCALCを軸に解析ツール、データ分析、コンサルティングを含む統合的なデータ分析サービスとして共同で事業展開しており、これまでに自動車、精密機械、重工業、化学、サービスなどの業界で、品質改善、顧客満足度、マーケティング、人事など、さまざまな領域における問題の予防や改善などの施策検討に活用されている。
「CALC」の従来手法と新機能との違い。「他の解析手法」では、変数間に相関があることが分かる。従来の「CALC 1.0」では、変数間に相関があるが、因果はないことが分かる。新機能を搭載した「CALC 2.0」では、変数間には相関があるが、因果はないことが分かり、さらに投入データに含まれない第3の因子があることが分かる
今回追加された新機能は、投入データに含まれない隠れた要因の存在と、それがどこにあるかを推測するもの。大規模データ解析では、求める結果に対して投入データが必要十分か否かを判別しにくいという課題があるが、新機能を活用すれば、分析結果に影響を与える重要なデータが不足しているかどうか、どこに不足する要因があるかが分かる。
これにより、追加すべきデータを推定し、それを収集するための施策を検討するなど、効果的なPDCAサイクルを確立できるようになるという。
また、この他にも、データ中の欠損レコードを自動処理する機能や、重要な複数要因の組み合わせを自動抽出する機能、スマートなダッシュボード機能など、大規模データ解析の効率化を支援する各種機能を新たに搭載した。
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