IT支出の増加要因は「働き方改革」「消費税率改正」、ノークリサーチが調査:外国人労働者の増加にも注意
ノークリサーチは、国内の中堅中小企業を対象に「守りのIT支出」を増加させる社会的要因の調査結果を発表した。働き方改革や消費税率改正がセキュリティや運用管理の支出を増加させる他、多様な要因を報告している。
ノークリサーチは2018年11月7日、年商500億円未満の国内中堅中小企業1300社を対象とした「守りのIT支出」を増加させる社会的要因の調査結果を発表した。
調査の結果、働き方改革や消費税率改正がセキュリティや運用管理の支出を増加させることが分かった。この他にも守りのIT支出を増加させる要因が、GDPR(EU一般データ保護規則)や5G、IoT(Internet of Things)、外国人労働者など多岐にわたることを指摘。一口にPCセキュリティ対策と言っても、実施手段が異なれば守りのIT支出の増加要因が変わることを報告している。
ノークリサーチでは守りのIT支出の要因を16項目にまとめ、各社にアンケート調査した。16項目の内訳は法制度や政策に関する項目(5つ)、IT自体の変化に関する項目(9つ)、その他(外国人労働者の増加、局所的な自然災害の増加)。
法制度や政策に関する5項目とその他の2項目
- 働き方改革に伴うモバイルワーク推進
- 働き方改革に伴うテレワーク推進
- GDPR
- 消費税率10%改正と軽減税率
- 改正個人情報保護法
法制度や政策などに関する5項目では、守りのIT支出を増加させる要因として回答割合の高いものが3つあった。「働き方改革に伴うモバイルワーク推進」「消費税率10%改正と軽減税率」「働き方改革に伴うテレワーク推進」で、いずれも回答中の20%を超えた。
ノークリサーチはこの結果を、3項目の対象となる企業が幅広いためだと分析している。これに対して対象企業が限定されるGDPRや改正個人情報保護法、外国人労働者の増加、局所的な自然災害の増加と回答した割合は、いずれも10%台だった。
ただしノークリサーチは、外国人労働者と局地的な災害については注意を促している。前者は政府が受け入れ拡大に向けた動きを見せていること、後者は豪雨や地震といった局地的な災害が続いていることから、意識が急速に高まる可能性があり、今後の動向を注視する必要があるとしている。
IT自体の変化に関する9項目
- Windows Server 2008/2008 R2のサポート終了
- Windows 7のサポート終了
- 高速かつ低遅延な5G通信ネットワーク
- IoTの普及
- 標的型攻撃の高度化や複雑化
- クラウドサービスの普及
- ウェアラブル端末の普及
- 生体認証技術の普及
- ISDNサービスの終了
IT自体の変化に関する9項目のうち、同社はPCのセキュリティ対策として現在講じている手段と、守りのIT支出を増加させると考えている要因との関係についてのクロス集計結果に基づいた分析を明らかにしている。
セキュリティ対策手段として「クラウドサービス」を選択しているユーザー企業は、IT支出を増やす要因として「働き方改革に伴うモバイルワーク推進」を挙げる割合(38.9%)が全体の平均よりも高かった。
これに対して「アウトソーシング」を選択しているユーザー企業は「働き方改革に伴うテレワーク推進」を挙げる割合(36.6%)が高かった。
この結果から、セキュリティ対策の手段が異なると、守りのIT支出を増やすと考えている要因が違うことが分かる。
この点を踏まえてノークリサーチは次のようにまとめている。セキュリティや運用管理、バックアップに関する製品やサービスを開発、販売しているベンダーは、それぞれの商品に適した訴求メッセージを発信することが重要だという。
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