布製品など変形する物体の画像認識が容易に、NTTが技術開発:丸めた紙幣を正しく判定できる
NTTは、ビニールなどの軟包装製品や布製品といった不定形の商品を、少数の参照画像で認識できる「変形対応アングルフリー物体検索技術」を開発した。視点を変えても認識できる同社の「アングルフリー物体検索技術」を改良したもの。物体の複数の部分領域ごとに幾何学的拘束条件を適用することで、物体の変形に対応した。
NTTは2018年11月26日、変形した物体を高精度に検索できる「変形対応アングルフリー物体検索技術」を開発したと発表した。少数の参照画像を用意するだけで認識が可能だという。
一般にビニールのような軟包装製品や布製品は、さまざまに変形するため、硬い物体に比べて認識精度が低くなる。
これまでも認識精度を高める手法はあったが、多数の参照画像が必要だという課題があった。これは対象物体の変形に応じた参照画像をデータベースに登録しておく必要があるものの、軟包装製品や布製品などは形が不定だからだ。
開発した変形対応アングルフリー物体検索技術を用いると、物体が変形していても、同一物体であると認識できる。
NTTでは、同技術を活用することでスマートフォンやカメラを通じて商品を高精度に認識でき、商品管理や商品認識に加え、商品を多言語で解説する商品情報提示などへの展開が可能だとしている。
「角度に依存しない」から「変形に対応」へ
同検索技術は、NTTグループのAI(人工知能)技術群「corevo」の一つ。少数の画像から物体を認識、検索可能な「アングルフリー物体検索技術」を改良したものだ。アングルフリー物体検索技術では、物体が変形しないという前提を加えることで、あらかじめデータベースに登録しておく画像の数を減らしていた。射影幾何学から導かれる同一物体上での拘束条件を用いたという。
それに対して今回開発した検索技術では、幾何学的拘束を「物体全体」に適用するのではなく、「複数の部分領域ごと」に適用することにした。
新技術では、認識対象の画像とデータベースにあらかじめ登録しておいた参照画像を画像特徴で対応付け、複数の対応関係について幾何学的特徴を求めることで、物体が変形しても正しい対応を特定できる。
認識対象画像と参照画像を画像特徴の類似度に基づいて対応付ける一般的な手法では、誤った対応が多く含まれるのに対して、今回NTTが開発した技術では、変形に対応した幾何検証を適用することで、正しい対応を特定できるという。
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