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扉の傾きで検知――「加速度センサー」を使ったポスト投函の検知術身近な課題から学ぶ「IoT手法」(2)(1/4 ページ)

複数の実装手法があるIoT。今回は、身近な課題として、ポストの開閉検知を「加速度センサー」で実現する方法を紹介していきます。

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IoTの開発を始めよう

 「IoT」(Internet of Things)という言葉が世に出てから数年が経過しました。現在は、ノンプログラミングで扱えるハードウェアや、配線いらずのセンサー、さまざまなサービスやハードウェアと連携できる無料のWebサービスなどが増え、IoTアプリケーションを手軽に実装できるようになってきています。

 しかし、まだ「IoTは難しい」「何から始めたらいいか分からない」と感じている企業やソフトウェア開発者もいるでしょう。

 そこで、まずはハードウェアやセンサーを「身近なもの」として捉え、IoTの構成要素に慣れてみるのはいかがでしょうか。

 本連載では、さまざまなセンサーを紹介しつつ、身近にある課題を解決するところからハードウェアやセンサーを活用していく方法を、ソフトウェア開発者の視点から紹介します。連載を通じて自社のデジタルビジネスについて考えるヒントにしていただければ幸いです。

本連載で紹介すること

 第1〜3回は、「毎日ポストを確認するのが面倒」という課題を解決するために、「ポストに手紙が投函(とうかん)されたら、検知結果をデータとして取得し、通知する仕組み」を作ります。

 ポストの開閉検知を実現する手法は一つではありません。蓋の開閉を検知する「磁気スイッチ」、ポストの中に光が入ったら検知する「光センサー」、蓋の傾きを検知する「加速度センサー」など、いろいろな方法があります。また、通知先もLINEやメール、スプレッドシート、FAXなどさまざまです。前回は、磁気スイッチを使ってポストに手紙が投函されたらメール(Gmail)に通知させる仕組みを実装しました。

 第2回は、加速度センサーを使ってポストに手紙が投函された時間をスプレッドシートに記録します。

どのような要件を満たせるのか?

 今回使う加速度センサーは、その名の通り加速度を測るセンサーで、連続的な角度の変化を測定できます。その変化から、傾きだけでなく、動きも検出できます。プログラム次第で、衝撃や自由落下の検出も可能です。

 傾きを測定するセンサーには、この他にも「傾きセンサー」があります。傾きセンサーは構造上、センサーが水平か、一定以上傾いているかを判定します。しかし、連続的な変化を測定できません。

 今回は汎用(はんよう)性が高く、今後IoTに取り組む際に扱いやすい、加速度センサーを使用します。

今回の実装に使うもの

M5Stack


出典:M5Stack

 センサーを制御する頭脳となるマイコンボードとして今回は、「M5Stack」を使います。M5Stackは、「Wi-FiとBluetooth Low Energyを搭載」「ディスプレイ搭載」「充実したオプションパーツで拡張も簡単」と使い勝手が良く、人気のある開発モジュールです。

 「Groveコネクター」というUSBのように刺しやすいソケットや、ジャンパーワイヤを指すだけで使用可能なGPIO(General Purpose Input/Output)を搭載しています。そのため、はんだ付けをする必要がなく、手軽にIoTを始められます。簡単に使用できるので、これからIoTを始める方にお薦めです。

加速度センサー(MMA8452Q)

 加速度を測るセンサーです。連続的な角度の変化を測定できます。ピンヘッダがはんだ付けされているモジュールもあります。

ブレッドボード

 ブレッドボードは、電子部品のピンを差し込むだけで、簡単に回路を組むことができます。ブレッドボードを使うことで、使用可能な部品も増え、IoT実装の幅が広がります。

ジャンパーワイヤ

 ブレッドボードやマイコンに差し込み、結線します。さまざまな色や長さがあり、使い勝手に合わせて選びます。

IFTTT

 第1回に続き、マイコンボードとスプレッドシートを連携させるのにWebサービス「IFTTT」を利用します。事前にIFTTTのトップページからユーザー登録とログインを済ませておいてください。

筆者の開発環境

  1. PC:Lenovo Ideapad 330S
  2. OS:Windows 10
  3. Arduinoの開発環境:Arduino IDE 1.8.6

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