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“紫のリス”の大冒険――ある女性エンジニアが、テレコム業界を変革するCEOになるまでGo AbekawaのGo Global!〜Danielle Royston編(3/5 ページ)

全米屈指の経営改善のスペシャリストとして知られ、テニス選手としても活躍する、OptivaのCEO、Danielle Royston(ダニエル・ロイストン)氏。世界を飛び回る彼女は、もともと経営者になりたかったわけではなく、「エンジニア一筋」のキャリアを目指していた――そんな彼女が語る転身のきっかけと、全てのエンジニアに向けたメッセージとは?

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「どん底」から15社を救済……甘くはない経営改善CEOの仕事とは

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高木 なるほど。「経営改善(turnaround)専門のCEO」とは、一体どんな仕事なのでしょうか?

ロイストン氏 大きく分けて2つの側面があります。一つは典型的なCEOの側面、つまりビジネスのビジョンと成長を導く仕事です。もう一つは、経営改善独特の側面で、業務全体の問題点を解決しながら導く仕事です。

 私たちは経営改善のためのビジネスモデルを持っていて、常にそのモデルの検証と改善を繰り返しています。経営者としては、毎日「このビジネスに良い影響を与えるために、今日できることは何か?」を考えて長いリストを作り、やがて問題が少なくなってリストが短くなるまで、その内容をこなすのを繰り返します。

 最初は1社だけ担当していたのですが、だんだん増えていって、Optiva(旧社名Redknee Solutions。2018年1月にOptivaに社名を変更)のCEOになる2017年までは15社を同時に運営していました。この方法でなければ、頭がおかしくなっていただろうと思います(笑)。

 経営者の仕事を始めてみると、エンジニア、営業、人事などの違う分野で仕事をしてきたことが、多様な視点を持つことにつながり、本当に役に立ちました。人事の仕事で、「ソフトウェア企業の経営は、人が全てだ」と学んでいたことも大きかったですね。

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高木 実際、この仕事は好きですか?

ロイストン氏 ……ええ、驚くべきことに(笑)。経営改善の仕事はとてもハードです。その過程では、人が次々と辞めていき、顧客が次々と離れていく「どん底」を経験します。私も辞めたくなったことが何度もあります。でも、全ての仕事を終えて経営が再び軌道に乗ると、ものすごい達成感が湧いてきます。「他の誰も引き受けたがらなかった企業を救えた」と。多くの人が感謝してくれるところも、とてもやりがいがありますね。

 一度経営難に陥った企業がどん底を経験するのは、いわば回復の前触れのようなものです。経営改善が始まる前、苦しい状況で“わらをもつかむ”状態になった企業は、往々にして間違った決断を下し、結果的に顧客を良くない契約に巻き込むものですから。エンジニアのチームを必要以上に縮小してしまい、少なくなった社員に大量の仕事をさせるケースもあります。

 でも、直すべきところを直して状態を安定させ、売上を伸ばす機会をつかめば、もう一度成長できます。今Optivaも、まさにその段階に入っていると思います。

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