Microsoft、「Visual Studio Code」の「June 2019」リリースを公開:ワークベンチや統合ターミナルなどを改良
Microsoftは、クロスプラットフォームのエディタ「Visual Studio Code」の「June 2019」リリース(バージョン1.36)を公開した。順次タスク実行やコードを実行せずにデバッグ位置を更新するといった機能を追加した。
Microsoftは2019年7月3日(米国時間)、WindowsやmacOS、Linuxに対応するクロスプラットフォームのエディタ「Visual Studio Code」(以下、VS Code)の「June 2019」リリース(バージョン1.36)を公開した。
VS Code 1.36の改良点は、ワークベンチや統合ターミナル、タスク、プログラミング言語、デバッグ、エクステンション、拡張APIなど多岐にわたる。
ワークベンチの改良
- ステータスバーアイテムの非表示対応
ステータスバーにコンテキストメニューを用意しており、個々のエントリを表示するか、非表示にするかを選択できる。
コンテキストメニューによる設定は、全てのワークスペースに対して有効となる。
- ツリーウィジェットの改善
ツリーウィジェットがインデントガイドに対応した。これにより、ファイルエクスプローラや検索ビュー、デバッグビューでインデントガイドが使えるようになった。
これまでのように、「workbench.tree.indent」設定を使ってツリーのインデントレベルを制御することもできる。さらに「workbench.tree.renderIndentGuides」設定でインデントガイドの挙動を制御できる。
統合ターミナルの改良
- デフォルトシェルの選択機能の改良
Windows 10では、「Select Default Shell(既定のシェルの選択)」コマンドを提供している。今回のVS Codeでは統合ターミナルのドロップダウンメニューにこのコマンドを追加した。
macOSとLinuxでも使える。実行すると、/etc/shellsファイルを読み込んで、システムに登録済みのシェルを表示し、既定のシェルの選択を促す。
タスクの改良
- 依存関係の順次実行
タスク属性「dependsOn」を改良した。デフォルト設定では従来と同じように、全ての依存関係を並列に実行する。最新版では「"dependsOrder": "sequence"」を指定することで、dependsOnでリストアップした順序に従い、タスクの依存関係を指定し、実行できるようになった。
次のタスクの例では、タスク「Two」、タスク「Three」、タスク「One」の順にタスクを実行する。
{ "label": "One", "type": "shell", "command": "echo Hello ", "dependsOrder": "sequence", "dependsOn":[ "Two", "Three" ] }
デバッグ機能の改良
- デバッグコマンドの追加
新たにデバッグコマンド「Jump to Cursor」を追加した。中間にあるコードを一切実行することなく、新しいプログラム実行位置に移動できるようになった。Jump to Cursorをデバッガで有効にした場合は、エディタのコンテキストメニューや、デバッグ中のコマンドパレットにこのコマンドを表示する。
現在、C#のエクステンションからのみ利用できる。他のデバッグ拡張からも利用できるようになる予定だ。
- コンソールでのワードラップの無効化
「debug.console.wordWrap」設定を追加した。この設定ではワードラップ(単語の次行送り)をデバッグコンソールで有効にするかどうかを制御できる。デフォルト設定では、全ての行でワードラップが有効だ。
この設定をオフにすると、デバッグコンソールでは、行の折り返しがなくなり、水平スクロールバーが表示される。
拡張機能の改良
- JavaScriptとTypeScriptのナイトリー拡張
JavaScriptとTypeScriptのナイトリー拡張を追加した。これはVS CodeのビルトインTypeScriptとして、TypeScriptのナイトリービルド(typescript@next)を使用するものだ。
この拡張を使うことで、簡単にTypeScriptの最新機能を試したり、フィードバックを提供したりできる。
なお今回のVS CodeにはTypeScript 3.5.2が含まれている。
- Java開発者向けインストーラの追加
初心者がVS CodeでJavaコーディングを素早く簡単に始めるためのインストーラパッケージ「Visual Studio Code Java Pack Installer」が加わった。Java Pack Installerを実行すると、ローカル開発環境にJavaソフトウェア開発キット「JDK」(Java Development Kit)とVS Code、VS Code用の主要なJava拡張機能といった基本コンポーネントがインストール済みかどうかを自動検出する(関連記事)。
インストールされていなかった場合、ダウンロード、インストール後、自動的に構成が完了する。Java Pack Installerを使って、既存のVS Code環境にJava関連コンポーネントを追加することもできる。
Java拡張をインストールすると、VS Codeで包括的なJava開発機能を入手できる。例えばコード入力支援やリファクタリング、デバッグ、テスト、プロジェクト管理、アプリケーションサーバ統合などだ。
Remote Development(プレビュー版)の改良
開発中の拡張機能であるRemote Development(プレビュー版)を利用できる。この拡張機能を導入すると、コンテナやリモートマシン、WSL(Windows Subsystem for Linux)を、フル機能の開発環境として利用できる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- Visual Studio Codeを活用するための人気TIPS 12選
人気過去連載を電子書籍化して無料ダウンロード提供する@IT eBookシリーズ。第52弾は、Microsoftが無償で提供するソースコードエディタ「Visual Studio Code」。高機能なこのエディタを使いやすくするTIPS集から12本をまとめてお送りする。 - Microsoft、「Visual Studio Code」の「May 2019」リリースを公開
Microsoftは、クロスプラットフォームのエディタ「Visual Studio Code」の「May 2019」リリース(バージョン1.35)を公開した。エディタ内の移動動作やTypeScript対応などを改善している。 - Microsoft、「Visual Studio Code Java Pack Installer」を公開
Javaコーディングを素早く簡単に始めるための「Visual Studio Code」向けのインストーラパッケージをMicrosoftが公開した。関連するコンポーネントを最新版に更新することもできる。