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Windows 10 May 2020 Update後のWindows Updateに変化あり山市良のうぃんどうず日記(183)

「Windows 10 May 2020 Update(バージョン2004)」がリリースされ、1カ月が経過しました。新機能については、さまざまなメディアやブログ記事でご覧になっていることでしょう。今回は、筆者の視点で「Windows Update」に関連する“隠れた変更点”を紹介します。Microsoftの公式ドキュメントにはまだ見当たらない変更点もあります。

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山市良のうぃんどうず日記

Windows 10 バージョン2004は自動更新ですぐに配布されることはない

 コロナ禍真っただ中の2020年5月27日(米国時間)、「Windows 10」の最新バージョン「Windows 10 May 2020 Update(バージョン2004、OSビルド19041)」がリリースされました。この新バージョンで注目される新機能に興味があったとしても、リモートワークに振り回されている中、それどころではないという方も多いと思います。

 でも安心してください。Windows 10の「Windows Update」の設定をいじっていない限り、そして現在使用中のバージョンのサポート期限が切れていたり、期限切れが迫っていたりしていない限り、Windows 10 バージョン2004のダウンロードとインストール(アップグレード)が自動的に始まってしまうことはありません。

 Windows 10 バージョン1903以降を現在使用しているなら、「設定」アプリの「Windows Update」で新しいバージョンの機能更新プログラムが利用可能であることが案内されるだけで、「今すぐダウンロードしてインストールする」(バージョン1903以前)または「ダウンロードしてインストール」(バージョン1909以降)をユーザーが明示的にクリックしなければダウンロードもインストールも始まりません。そのことは前々回の以下の記事でもお伝えした通りです。

 この機能はWindows 10 バージョン1803や1809にも備わっていますが(2019年5月以降の品質更新で追加されました)、これらのバージョンのライフサイクルは既に終了しているか、終了が近づいているため、自動配布される可能性はあります。Windows 10 バージョン1809のHomeおよびProエディションのサポート期限は「2020年5月12日」でしたが、コロナ禍の影響で「2020年11月10日」まで延期されました。Windows Updateがその延期を考慮してくれるのかどうかは、筆者は確認できていません。

 機能更新プログラムが自動配布される“例外”がまだあります。「Windows Update for Business(WUfB)」の延期機能を利用して機能更新プログラムのインストールを延期(最大365日)している、WUfBのクライアント側の「更新プログラムをいつインストールするかを選択する」オプションで機能更新プログラムのインストールを延期している、または「Windows Server Update Services(WSUS)」やその他の管理ツールで管理者が機能更新プログラムの配布を開始した場合です。

 例えば、2020年6月1日の時点で機能更新プログラムの延期設定を「4日」よりも短く設定している場合、Windows Updateの自動更新ですぐに「Windows 10、バージョン2004の機能更新プログラム」が検出され、インストールが始まってしまうでしょう(画面1)。

画面1
画面1 機能更新プログラムは、WUfBで設定した延期日数になると自動インストールされる(画面の例は機能更新プログラムを「4日」延期設定した2020年6月1日の更新の様子)

「更新プログラムをいつインストールするかを選択する」オプションは廃止?

 Windows 10 バージョン2004にアップグレード、またはバージョン2004を新規インストールすると、以前のバージョンでは「設定」アプリの「Windows Update」の「詳細オプション」にあった「更新プログラムをいつインストールするかを選択する」オプションが見当たらないことに気付いた方もいるかもしれません。

 「更新プログラムをいつインストールするかを選択する」オプションは、WUfBのポリシー設定と同等のことをクライアント側の「設定」アプリでユーザーが構成できるようにするもので、Windows 10 バージョン1703で追加されたものです。

 Windows 10 バージョン1903では「1日以上」の延期設定があるとこのオプションが非表示になるという不具合があり、その後、修正されたといういきさつがあります。しかし今回、WUfBのクライアント側の設定オプションは本当になくなりました。

 画面1の機能更新プログラムのインストールを「4日」延期したPCの場合、Windows 10 バージョン2004にアップグレード後、その設定は消えてなくなりました。以前のバージョンで設定を保持していたレジストリ値(HKLM\SOFTWARE\Microsoft\WindowsUpdate\UX\SettingsのDeferFeatureUpdatesPeriodInDaysおよびDeferQualityUpdatesPeriodInDays)は使用されなくなったようです。アップグレード後はレジストリ値そのものが消えてしまいました。レジストリ値を直接書き込んでも無視されるはずです。

 しかし、機能更新プログラムと品質更新プログラムを詳細に制御できるPro以上のエディションのメリットは失われたわけではありません。「ローカルポリシー」や「グループポリシー」「Microsoft Intune」「Microsoft Endpoint Configuration Manager(旧称、System Center Configuration Manager)」によるWUfBの制御は引き続き利用可能ですし、アップグレードで延期設定が失われることもありません。

 これらの方法で管理されている場合は、「設定」アプリの「Windows Update」や「詳細オプション」の上部に「*一部の設定は組織によって管理されています」と表示されるので、「構成されている更新ポリシーを表示」をクリックして確認することができます。ただし、延期設定が行われていることは判断できますが、何日延期されているかまでは教えてくれません。以前の「更新プログラムをいつインストールするかを選択する」オプションの延期設定が、WUfBのポリシーに引き継がれることもありません(画面2)。

画面2
画面2 WUfBのクライアント側の設定オプション「更新プログラムをいつインストールするかを選択する」は、Windows 10 バージョン2004で廃止された模様

 これまで「設定」アプリの「更新プログラムをいつインストールするかを選択する」オプションを利用していた方は、設定が消えてしまっているので、別の方法(ローカルポリシーなど)の検討を含めて見直す必要があります。Windows Updateに任せてしまうのが最も簡単です。

 Windows 10 バージョン2004リリース直後は「ダウンロードしてインストール」が提示され、新バージョンが自動配布されなくなりましたし、「Cリリース」「Dリリース」とも呼ばれるセキュリティ以外のオプションの更新プログラムもWindows 10 バージョン1903以降は「ダウンロードしてインストールする」方式になりました。

 「更新プログラムが勝手にインストールされるのはいやだ」という目的のために、WUfBを使う意味はもうなくなっています。問題のある更新プログラムの回避には、「更新の一時停止」(既定は7日停止、最大35日停止)機能で十分に対処できるはずです。

 この変更については、後述するMicrosoftの公式ドキュメント「What's new in Windows 10, version 2004 for IT Pros」の「Windows Update for Business」の項に2020年6月24日(米国時間)に追記されました。2019年から機能更新プログラムの自動配布はサポート終了が近いデバイスのみを対象とするように方針が変更され、自動更新に任せている多くのデバイスでは年に1回程度の機能更新(HomeやProは3年の間に2回)しか行われなくなりました。この方針変更を最大限ユーザーに提供しつつ、かつ混乱を避けるために、「詳細オプション」から削除されたそうです。

新たなポリシー「ターゲット機能更新プログラムのバージョンを選択する」

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