脳科学とAIの融合研究を開始 応用脳科学コンソーシアムが産学連携で:旭化成、NTTデータなどが参加
応用脳科学コンソーシアムは、脳科学とAIの融合による脳融合型AIの研究開発を開始する。社会的に中立性の高い組織で、継続的に脳科学とAIの融合研究の産業応用に向けて取り組むという。
一般社団法人 応用脳科学コンソーシアムは2020年9月14日、国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)の脳情報通信融合研究センター(CiNet)などの研究機関や大学と連携して、脳科学とAI(人工知能)の融合による脳融合型AIの研究開発を開始すると発表した。社会的に中立性の高い組織で、継続的に脳科学とAIの融合研究の産業応用に向けて取り組むことが目的。
この取り組みに当たって応用脳科学コンソーシアムは、同コンソーシアム内に新たに脳モデル開発ユニットを設置する。同ユニットでは、五感入力(刺激情報)を中心に、身体内外の環境変化に対する脳反応情報をデータベース化する。そして、これらの情報を解析して脳モデルを構築し、AIの研究開発に取り組むとしている。この脳モデルの構築には、旭化成、アサヒクオリティーアンドイノベーションズ、NTTデータ、NTTデータ経営研究所、DICの5社が参加する。
「DXが進めば、AIがビジネスに与える影響は大きくなる」
さらに、脳科学の産業応用に関する普及啓発や、脳科学とAIの知見を有する人材の育成にも取り組む。応用脳科学R&D研究会による研究活動や、応用脳科学アカデミー&ワークショップによる脳科学とAIに関する学習機会の提供、応用脳科学ネットワークによる脳科学やAIを含めた人間研究に関する情報をメールマガジンやSNS(ソーシャルネットワークサービス)で提供する。
応用脳科学コンソーシアムは「今後、DX(デジタルトランスフォーメーション)の流れに乗って、世界中でAIがビジネスに与えるインパクトはさらに大きくなる。脳科学とAIの融合研究は大きな分野になる可能性を秘めている。日本の脳科学研究は世界でもトップレベルだが、脳科学研究者の知見や研究成果をビジネスに応用する場が不足している」と指摘する。今回の取り組みは、脳科学の研究とAIの融合によって得た成果を産業に応用し、日本企業の国際競争力を強化できる仕組みの構築を目指すとしている。
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