「ブレードランナー」の世界を、2020年のテクノロジーで解説しよう:思い出も時間とともにやがて消える。雨の中の涙のように(1/7 ページ)
スピルバーグが、手塚治虫が、そして全世界の子どもたちがあのころ夢見たテクノロジーは、2020年現在どこまで実現できているのだろうか?――映画や漫画、小説、テレビドラマに登場したコンピュータやロボットを、現代のテクノロジーで徹底解説する「テクノロジー名作劇場」、第6回は「ブレードランナー」だ。
「ブレードランナー」は、1982年に公開されたSF映画の名作である。
原作は、1968年刊行のフィリップ・K・ディックのSF小説「アンドロイドは電気羊の夢を見るか」であるが、映画では設定が少し変えられており、完全に同じものではない。
映画や漫画の名作を現代の技術で解説する「テクノロジー名作劇場」、上記2つの小説および映画とともに、続編となる2017年公開の前日譚(たん)3作品「ブラックアウト2022」「ネクサス・ドーン2036」「ノーウェア・トゥ・ラン2048」と、最新作「ブレードランナー2049」を通して解説する。2020年はブラックアウトが起きた設定年の2020年であるが、現実世界は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)という別の脅威にさらされている。
一連の作品で主なテーマになっているのが人造人間である。
人造人間たちは「オフワールド」と呼ばれる宇宙植民地への人類移住計画をサポートするために生み出された、とされている。その一部が雇い主を殺害して脱走し、地球へ逃げてきているため、警察がそれを処分(解任:retirement)しているという設定だ。
この「処分」を担当する警察官が「ブレードランナー」だ。人造人間を原作では「アンドロイド」と呼び、映画では「レプリカント」と呼んでいる。また、 処分を担当している警察官を、小説では「賞金稼ぎ(バウンティーハンター)」と呼び、映画ではブレードランナーと呼んでいる。本記事ではレプリカントとブレードランナーに統一させていただく。
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