AIがカンニングや替え玉受験などオンライン試験の不正を検知、NTT東日本とイー・コミュニケーションズが共同開発:AWSで構築
NTT東日本とイー・コミュニケーションズは、オンライン試験の不正監視サービス「Remote Testing AIアナリスト(仮称)」の事前予約受付を開始した。AIを活用してオンライン試験でのカンニングや替え玉受験を防止するという。
東日本電信電話(以下、NTT東日本)とイー・コミュニケーションズは2020年10月5日、オンライン試験の不正監視サービス「Remote Testing AIアナリスト(仮称)」(以下、Remote Testing AIアナリスト)の事前予約受付を開始した。サービスの提供開始は、2021年1月を予定している。
Remote Testing AIアナリストは、AI(人工知能)を活用してオンライン試験でのカンニングや替え玉受験を防止する不正監視サービス。AI解析エンジンを、NTT東日本とイー・コミュニケーションズが共同開発した。オンライン試験中の映像を録画しておき、AIが自動的に不正を発見する。不正の疑いがある動きを検知した場合は、該当する映像を確認者に通知する。
何が「不正行為」なのか? どうやって判定しているのか?
Remote Testing AIアナリストは、受験者の視線の方向(試験画面を見ているかどうか)や顔の傾き(画面以外を見ていないか)、試験開始後の受験者交代(替え玉)、カンニングペーパーの利用、複数人の映り込み、電話を使った他人からのアドバイスなどの行為から不正を判定する。不正ではないが、疲れたときなどに行う不正と判定されやすい行為を除外し、人間の不正判定に限りなく近づけたという。
両社は開発開始前に共同実験を実施。イー・コミュニケーションズはカメラ映像データの取得・提供、不正行為における試験監督の知見・ノウハウの提供を、NTT東日本は顔認識技術、音声認識技術の選定と精度評価、不正行為に類する行動検知のAIモデル作成、精度評価、チューニングを行っている。
NTT東日本は「クラウドAIに不正行為に類する行動をどのようなロジックで理解させるかを中心に検討・検証した。不正行為といっても、さまざまな不正行為の手法が考えられる。顔認識技術の利用だけではなく、他人からアドバイスを受けるなどの不正については、音声認識技術を用いて検知できるようにした。また、例えばポスターが背景にある場合に『複数人で受験している』と判定したり、目頭に手を置いて目を休めているときに『カンニングペーパーを見ている』と判定したりする誤検知を想定。このような誤検知が発生しないように、考え得る対応すべきユースケースの洗い出しを行い、顔認識技術を用いた誤検知対策を行った」としている。
またイー・コミュニケーションズは2020年7月に、AIではなく監視員によるオンライン監視サービス「Remote Testing(リモートテスティング)」を発表しており(参考)、それと組み合わせることもできるという。
イー・コミュニケーションズは、AIによる受験者の本人認証サービス「Remote Testing AI認証(仮称)」の提供も予定している。同社では、Remote Testing AIアナリストと組み合わせて利用することで、オンライン試験の自動受験監視が可能になるとしている。
AWSで構築
なおRemote Testing AIアナリストは、NTT東日本が販売を請け負うAmazon Web Services(AWS)の環境を活用し、導入から運用までをトータルサポートする「クラウド導入・運用サービス」で構築されている。AWSの環境とは、具体的には「Amazon Rekognition」「Amazon DynamoDB」「AWS Lambda」「Amazon Simple Queue Service(SQS)」「Amazon Elastic Container Service(ECS)」「Amazon API Gateway」「Amazon Simple Storage Service(S3)」「Amazon Elastic Compute Cloud(EC2)」を指している。
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