年収向上戦術 仕事をしていれば生き残れるが、作業をしていれば淘汰されるという話:プログラミングは仕事か作業か(1/2 ページ)
アフターコロナの弱肉強食ワールドでエンジニアが年収を向上させるためには、徹底的に仕事に集中しなければならない。では、そもそも仕事とは何なのだろうか――。
ITエンジニアの年収向上戦略、前回は現状分析と今後を予想し、戦略的に上の商流に移る必要性を説明しました。
今回は戦略を遂行するための戦術のお話です。具体的には、2020年代を生きるエンジニアの年収アップに必要な「スキル」の考察です。
年収アップするために経営力を付けよう
いきなり技術以外の話になって、驚いている人がいるかもしれません。しかし、2020年代を生きるエンジニアに1番必要なスキルは「経営力」です。
われわれはエンジニアなのでテクニカルスキルも大切ですが、エンジニアである前にビジネスマンです。経営を無視してエンジニアは存在できません。
そして、二極化する世界の中で、上の商流へ移るための切符こそ経営力です。経営力を身に付けたエンジニアは、驚くほど高値が付きます。なぜならば、多くのエンジニアはテクニカルスキルを伸ばすことに集中しているため、経営力に目を付けている人が少ないからです。
業界の構造を上流へとたどっていくと、その頂には発注元企業の経営層にたどり着きます。テクニカルスキルを身に付けただけでは、彼らの考えを理解したり、彼らに助言したりできるエンジニアになれません。まずはビジネスの原則を知ることから始まります。
ビジネスは投資である
そもそもビジネスは「投資」で成り立っています。世の中全てのビジネスに当てはまる原則です。
メーカーは、材料を加工して製品にして売ります。材料の仕入れに必要なお金が投資です。予想通り製品を販売できたら、投資費用を回収し、さらに利益を生み出せます。予想通り販売できなければ、その投資は失敗です。
この仕組みは小売店も同じです。メーカーから仕入れて客に販売します。飲食店ならば、食材を仕入れて料理を販売します。旅館は、旅館を建てて宿泊費で稼ぎます。銀行は、貸し付けをして利息を稼ぎます。
どんなビジネスも投資をするところから始まります。より大きな利益に化けると期待するから投資するのです。この原則を押さえておけば、投資効率を上げる重要性が見えてきます。
投資効率を上げる力
システム開発には上流工程のさらにその上流に「源流」があります。
全てのビジネスは投資から始まります。システム開発も例外ではありません。源流では、必ず投資判断が行われます。われわれエンジニアは、投資効率を高めるために存在しているのに過ぎません。
経営陣がエンジニアに期待することは「投資効率の向上」です。どんなに技術力を追求しても、投資効率に貢献できなければ、経営陣から評価されることはありません。
投資効率(ROI)を上げる活動
自社の投資効率を上げていけば、必ず経営陣のお眼鏡にかないます。すなわち、年収を高める行動に直結するわけです。
投資効率を上げるのは「会社の収益を上げる」か「経費を下げるか」の2つです。この2つには共通の攻略法があります。「仕事と作業の違いを見極めること」です。
収益を上げる活動
収益を上げるためには、時間単価を上げる必要があります。自分の行動に付加価値を提供しなければなりません。作業ではなくて仕事に集中する必要があります。
新しい企画を考えたり、既存の問題点を改善したり、トラブルが再発しないように根本解決したり……。直接経営に携わらなくても、一人のエンジニアとして、間接的に収益アップに貢献できることはいくらでもあるし、それは自分の頭で考えなければなりません。それが仕事です。
経費を下げる活動
仕事は高単価で、作業の単価は低いのです。この金額差に目を付けると経費を下げられます。要するに、仕事を作業へと落とし込んでいくのです。
運用ルールが簡単になる工夫をしたり、似たような作業を集約して繰り返しルールに変換していったり……。RPA(ロボティックプロセスオートメーション)などロボットによる自動化もそれに当たります。
繰り返し作業は、人間よりもロボットにさせた方が、はるかに正確でコストも抑えられるので、経費削減に貢献できます。逆にいうと、ロボットでもできる作業を人間が頑張る必要はありません。ロボットに仕事を取られるとおびえている人たちは、仕事ではなく作業をしているのです。作業ならばロボットに取られてしまっても仕方ありません。
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