MicrosoftのWebサイト、迷子のご案内:その知識、ホントに正しい? Windowsにまつわる都市伝説(182)
ここ1年ほど、半期チャネル(SAC)のWindows Serverの新機能紹介ページをずっとチェックしてきて、バージョン2004以降の情報が全く出てこないことを気に掛けていました。どうやらMicrosoft Docsサイトの袋小路に入ってしまい、抜け出せなくなっていたようです。MicrosoftのWebサイトの大規模な再編が始まった数年前からこんなことがよくあります。
迷宮と化したMicrosoft Docs
筆者がずっとチェックしていたのは、「Microsoft Docs」の以下のページです(画面1)。左側のコンテンツのメニューには「Windows Server, version 2004」や「Windows Server, version 20H2」の項目はありません。
しかし先日、何かのタイミングで以下のページを見つけました(画面2)。ページの公開日は「2020年5月27日」なので、Windows Server, version 2004の一般提供開始と同時に公開されていたのをこれまで見逃していたのです。
新機能は「Server Coreの機能強化」ただ一つ。以前のバージョンよりも「servercore」イメージのサイズが縮小され、ASP.NETとWindows PowerShellのパフォーマンスが改善したというものです。
ちなみに、最近のMicrosoft Docsでは、公開日と最終更新日がはっきりしないページが目に付きます。そんなときにはページのソースを開くと、メタデータから判断できる場合があります。このページの場合、「ms.date」から公開日を、「ms.lastandoff」から最終更新日を判断することができます。別のページでは、「firstPublishedDate」と「lastPublishedDate」から判断しました。
さて、なぜ筆者はこのページにこれまでたどり着くことができなかったのでしょうか。上位のページに移動してみて、そこからどういうルートでアクセスすればよいのかを確認してみました(画面3)。そして、コンテンツのメニューから「Windows Server 2019 の新機能」や「Windows Server バージョン1903と1909 の新機能」に移動すると、また迷子になってしまうのです。サイトナビゲーションのデザインに問題があるようです。
- Windows Serverに関するドキュメント(Microsoft Docs)
「Windows Server 2019の新着情報」や「Windows Server 2019の概要」からはたどり着くことができません。ここから目的のページに最短でたどり着くルートは、「Windows Server 2016の概要」または「Windows Server 2008および2008 R2の拡張セキュリティ更新プログラム(ESU)を使用する方法」に移動し、左側のコンテンツのメニューから「Windows Serverの新機能」を展開して、「Windows Server バージョン2004および20H2の新機能」を開くルートです。
そのコンテンツは本当に最新版なのか?
筆者はWindows Updateをスクリプト化する方法として、以下のサイトで公開されているWindows Update Agent(WUA)APIを使用したサンプルスクリプト「WUA_SearchDownloadInstall.vbs」を好んで多用してきました。シンプルなサンプルなので、これをベースに目的の機能を追加して改造するのが簡単だからです。
- Searching, Downloading, and Installing Updates[英語](Microsoft Docs)
最近では、以下の連載記事でサンプルの提供元のURLとともに取り上げました。
- Windows 10で面倒になった「Windows Update」のコントロールを取り戻す方法はあるのか?(連載:山市良のうぃんどうず日記 第197回)
「Searching, Downloading, and Installing Updates」のページには、ページ上部に「このコンテンツはもう更新しない」と注意書きが表示されていますが、「Recommended Version」ボタンをクリックしても、Win32 APIのトップページに移動するだけなのであまり気にしていませんでした(画面4)。
しかし先日、「Searching, Downloading, and Installing Updates」のより新しいバージョンのページが存在することに気付きました。公開日は1年以上前の「2020年1月16日」です。
- Searching, Downloading, and Installing Updates[英語](Microsoft Docs)
旧ページのサンプルは、利用可能な更新プログラムを検索し、見つかった場合は「Y/N」の対話形式でダウンロードやインストールが可能で、最後にインストール結果とともに再起動の必要性の有無を指示してくれるものでした。一方、新ページのサンプルの方は、幾つかのパラメーターをサポートするようになりました(画面5)。
パラメーターなしの場合は以前と同様に対話形式での実行となりますが、「/Automate」パラメーターを指定すると、対話なしで自動実行してくれますし、「/Service」パラメーターでWindows Update、Microsoft Update、Windows Server Update Services(WSUS)を明示的に指定することもできます。
また、「/Offline」パラメーターに別途ダウンロードしておいたオフラインスキャン用の「WsusScn2.cab」のパスを指定して、さらに「/NoDownload」と「/NoInstall」パラメーターを付けて実行すると、不足している更新プログラムをオフラインでチェックすることもできます(画面6)。筆者の個人ブログに幾つかパラメーターの使用例をレポートしていますので、参考にしてください。
- 新しくなった WUA_SearchDownloadInstall.vbs(自動化やオフラインスキャンに対応)(筆者の個人Blog:山市良のえぬなんとかわーるど)
この例のように、それまで常用してきたWebコンテンツの中には、より新しいバージョンのものが公開されている場合があります。更新されていない、アーカイブとして維持されているコンテンツについては、新しいバージョンがないかどうか確認してみることをお勧めします。英語のタイトルでMicrosoft Docsサイト全体を検索すると、見つかるかもしれません。
2021年1月に刷新されたKBページのURL
「Microsoftサポート情報」(古くはKnowledge Base、KBとも呼ばれていました)は、「https://support.microsoft.com/[<言語>/]help/<7桁のKB番号>」というシンプルなURLで公開されてきましたが、2020年1月後半以降、以下のブログでアナウンスされている新しいURL形式に移行されました。古いURLは引き続き、そして(おそらく)今後も利用可能であり、適切に新しいURLにリダイレクトされます。
- What’s next for Windows release notes[英語](Windows IT Pro Blog)
新しいURL形式は「https://support.microsoft.com/[<言語>/]/topic/<KB番号と一意のGUIDを含む文字列>」となり、「https://support.microsoft.com/[<言語>/]topic/<KB番号>」や「https://support.microsoft.com/[<言語>/]topic/<GUID>」でもアクセスできるようです。
例えば、KB番号「4581839」で公開されていた「Windows 10の更新履歴」のページの新しいURLは以下のようになります。
Windows 10の更新履歴(Windows 10, version 20H2 and Windows Server, version 20H2)
新しいURLに移行後は、KB番号がページ内に書かれていないページというものが目に付くようになりました。その場合、ページのソースを表示すればメタタグ(「awa-kb_id」など)から判断できるようです。
新URLへの移行後、筆者が気付いたことは、「Windows 8.1」や「Windows Server 2012 R2」以前の更新履歴のトップページにアクセスしにくくなったということです。以下にリンクしておきますので活用してください。
- Windows 8.1 and Windows Server 2012 R2 update history
- Windows Server 2012 update history
- Windows 7 SP1 and Windows Server 2008 R2 SP1 update history
- Windows Server 2008 SP2 update history
筆者紹介
山市 良(やまいち りょう)
岩手県花巻市在住。Microsoft MVP:Cloud and Datacenter Management(2020-2021)。SIer、IT出版社、中堅企業のシステム管理者を経て、フリーのテクニカルライターに。Microsoft製品、テクノロジーを中心に、IT雑誌、Webサイトへの記事の寄稿、ドキュメント作成、事例取材などを手掛ける。個人ブログは『山市良のえぬなんとかわーるど』。近著は『Windows版Docker&Windowsコンテナーテクノロジ入門』(日経BP社)、『ITプロフェッショナル向けWindowsトラブル解決 コマンド&テクニック集』(日経BP社)。
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