企業向けファイル共有サービスにはどのようなものがあるのか:集中管理とアクセス監視で高セキュリティを確保
Comparitech.comは6つの主要な集中管理型の企業向けファイル共有サービスについて、レビュー結果を公開した。「Serv-U Managed File Transfer Server」が最高の評価を得た。重要なのは自社の目的に合うこと、不要な機能に費用を費やさないことだという。
比較サイトComparitech.com(以下、Comparitech)は2021年6月6日(英国時間)、集中管理型の企業向けファイル共有サービスのレビュー結果を公開した。レビュー対象は、SolarWindsの「Serv-U Managed File Transfer Server」、Files.comの「Files.com」、Citrix Systemsの「ShareFile」、Tresoritの「Tresorit」、Googleの「Google Workspace」、Dropboxの「Dropbox Business」だ。
Comparitechはこの中でServ-U Managed File Transfer Serverに最高の評価を与えている。
優れた企業向けファイル共有サービスとは
企業向けのファイル共有サービスでは、ファイル配布の効率性とアクセスの厳格な集中管理が要求される。多くは分散型のピアツーピアのファイル保存と配布ではなく、従来のクライアント/サーバアーキテクチャを採用している。
Comparitechは6つの企業向けのファイル共有サービスを次の基準で評価した。
- コスト低減と効率向上
- データセキュリティの強化
- ファイル操作の追跡、変更した個人の特定
- ファイルの前バージョンの保存、変更の取り消し
- データ保護基準の順守
- 無料ツールまたは無料で評価できる期間
- 機能の対価としての料金
自社に最適な企業向けのファイル共有サービスを探すには、これらの基準のうち、自社の目的に合うものを見ればよい。全く使わない余分な機能に費用をかけることなく、安全で効率的なファイル共有を過不足なく実現するツールを入手することが大切だ。
(1)Serv-U Managed File Transfer Server
Serv-U Managed File Transfer Server(以下、Serv-U)は、中央ドキュメントストアをオンプレミスに構築し、コラボレーションやファイル配布に利用できる。FTPS(File Transfer Protocol Secure)またはSFTP(Secure File Transfer Protocol)を用いて、転送中のファイルを強力に保護できる。
Serv-Uは全てのファイル操作をログに記録する。これはデータ保護の観点から大きなメリットだ。ロギングと監査機能が利用できることから、Serv-Uは、PCI DSS(Payment Card Industry Data Security Standard)、HIPAA(Health Insurance Portability and Accountability Act of 1996)、FISMA(Federal Information Security Management Act)、SOXといったセキュリティ関連の基準や法律を順守する必要がある企業に適している。
Serv-Uでは全てのユーザーが自分のファイルを持ち、ファイルを共有したい場合は、Serv-Uサーバにコピーをアップロードする。その後、他のユーザーを招待して、そのファイルにアクセスできるようにする。ファイルのオーナーがどのユーザーと共有するか、どのアクセスレベルにするのかを管理する。
ファイルはいったんサーバに置かれると、移動しない。位置が固定されるため、ファイルへのアクセスが追跡しやすくなる。Serv-Uはファイルの複製を不要にしているため、安全かつ効率的なファイル共有を実現できており、ファイルストレージ容量の節約も可能だ。
Serv-UはActive DirectoryやLDAP(Lightweight Directory Access Protocol)に対応しており、ユーザーはこれらの認証情報を用いてファイルを共有できる。
Serv-Uはエンドユーザー向けに無料FTPクライアント「FTP Voyager」を提供しているものの、「FileZilla」や「WinSCP」など、多数のクライアントを使って操作できる。
Serv-Uのインストール先は、Windows ServerまたはLinuxだ。14日間無料で試用できる。
Comparitechは、今回取り上げた6つのサービスの中で、Serv-Uを最も高く評価した。社内でファイル管理を行い、企業向けのファイル共有シナリオについて全てのアクセスイベントを追跡することが可能だからだ。さらにServ-Uの管理ツールでは、PCI DSS、FISMS、SOX、HIPAAの順守に役立つセキュリティおよびアクティビティー管理が可能だ。
(2)Files.com
Files.com は、クラウドベースのファイル管理システムだ。ファイル共有を容易にする中央ストレージポイントを作成して利用する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 近くのPCに瞬時にファイル共有 できるアナタのWindows「近距離共有」【Windows 10】
会議などで資料を相手に送りたくなった場合、どのような手段を使っているだろうか。メールで送信したり、オンラインストレージに置いてダウンロードしてもらったりするのが一般的かもしれない。しかし、お互いWindows 10を利用しているのならば、「近距離共有」機能を使うと簡単にファイルの転送が行える。その使い方を紹介しよう。 - GoogleドライブをG:などに割り当ててWindows 10でシームレスに使う
これまで、個人アカウント向けの「バックアップと同期」と主に企業アカウント向けの「ドライブファイルストリーム」と2つに分かれていたGoogleドライブのクライアントソフトウェアが、「パソコン版Googleドライブ」に統一される。そこで、現在提供されている「パソコン版Googleドライブ」の使い方を紹介しよう。 - 間違って削除したファイル共有も簡単な操作で復元可能に――Azureファイル共有で「論理的な削除」機能の一般提供が開始
2020年5月からプレビュー提供されていた「Azureファイル共有(Azure File Share)」の「論理的な削除(Soft Delete)」機能が、10月末に一般提供となり、全てのリージョンで利用可能になりました。