Windows Server 2012/2012 R2とSQL Server 2012向けのESU発表、最大3年間の利用延長が可能に:Microsoft Azure最新機能フォローアップ(149)
Microsoftは、2022年と2023年に延長サポート期限を迎えるWindows Server 2012/2012 R2とSQL Server 2012/2012 R2に対し、最大3年間の「拡張セキュリティ更新プログラム(Extended Security Updates、ESU)」を有料または無料で提供することを発表しました。
2008/2008 R2バージョンのWindows ServerとSQL Serverへの対応を踏襲
「Windows Server 2012/2012 R2」と「SQL Server 2012/2012 R2」は、Microsoftの固定ライフサイクルポリシーに従い、間もなく延長サポート期限を迎えます(画面1)。
SQL Server 2012/2012 R2は1年後の「2022年7月12日」に、Windows Server 2012/2012 R2はさらに1年後の「2023年10月10日」がその期限となります。延長サポートが終了すると、更新プログラムの提供を含む、全ての製品サポートが終了するため、現在、運用中のサーバが存在する場合は、すぐにでもサポート終了に向けた行動が必要です。推奨されるのは、オンプレミスまたはクラウドへの、メインストリームサポート期間中のバージョンへの移行です。
過去にMicrosoftは、2009年7月に延長サポート期限を迎えた「SQL Server 2008/2008 R2」、2020年1月14日に延長サポート期限を迎えた「Windows Server 2008/2008 R2」「Windows 7 Service Pack1(SP1)」に対して、延長サポート期限を開始日として、最大3年間、セキュリティ更新プログラムを受け取ることができる「拡張セキュリティ更新プログラム(Extended Security Updates、ESU)」を提供しました。
ESUは1年ごとに購入する必要があり、現在、SQL Server 2008/2008 R2は最後の3年目(2022年7月12日まで)、Windows Server 2008/2008 R2とWindows 7 SP1は2年目(2022年1月11日まで)の期間にあります。
- SQL Server 2008/Windows Server 2008のサポート終了を延長する「拡張セキュリティ更新プログラム」、Azureなら3年間無料(本連載 第55回)
- オンプレミスのWindows Server/SQL Server向けセキュリティ更新サービス「拡張セキュリティ更新プログラム(ESU)」が販売開始(本連載 第74回)
- SQL Server 2008/2008 R2のサポートが終了、オンプレミス向けESUの提供方法が明らかに(本連載 第85回)
MicrosoftはSQL Server 2012/2012 R2の延長サポート期限まで1年を切った2021年7月14日(米国時間)、SQL Server 2012/2012 R2とWindows Server 2012/2012 R2に対しても最大3年のESUを有料または無料で提供することを発表しました。
- Free Extended Security Updates only on Azure for Windows Server 2012 /R2and SQL Server 2012[英語](Microsoft Azure)
- Plan your Windows Server 2012 and 2012 R2, and SQL Server 2012 end-of-support[英語](Microsoft)
- Lifecycle FAQ - Extended Security Updates[英語](Microsoft Docs)(画面2)
画面2 発表に合わせ、2012/2012 R2バージョンのSQL ServerとWindows ServerがESUのFAQサイトに追加された。「Dynamics AX 2009/2012/2012 R2」も、2021年3月に延長サポート期限のさらなる延長と、ESUの提供が発表されている
オンプレミス向けには有料、Azureでは無料
オンプレミス向けには有料での販売となり、1年ごとに購入する必要があります。販売価格は、SQL Serverの2コアライセンスパック、Windows Server 2012/2012 R2の16コアライセンスパックの価格と比較した場合、1年目は75%の価格、2年目は100%の価格、3年目は125%の価格と、1年ごとに値上げされます(1年目をスキップして2年目から購入は不可)。
また、購入できるのは「ソフトウェアアシュアランス(SA)」、または同等のサブスクリプション契約がある顧客に限定され、「Enterprise Agreement(EA)」や「Enterprise Subscription Agreement(EAS)」など、企業や教育機関向けのライセンスチャネル経由での購入となります。
対象のWindows ServerまたはSQL ServerをMicrosoft Azure上で実行する場合、ESUは無料特典として最大3年間提供されます。SAなどの要件はありません。Azure上とは、Azure仮想マシンやAzure専用ホストだけでなく、Azure Stack Hub/Edge/HCI、Azure VMware Solution、Azure Nutanixハイブリッドクラウドソリューションを含みます。
ESUで提供されるセキュリティ更新プログラムとは
ESUで提供されるSQL Server向けのセキュリティ更新プログラムは、「マイクロソフトセキュリティレスポンスセンター(MSRC)」で「緊急(Critical)」と評価されたセキュリティ問題を修正します。それ以外の不具合やセキュリティ問題に対しては提供されません。Windows Serverについては、「緊急(Critical)」または「重要(Important)」と評価されたセキュリティ問題を修正します。
Windows 8.1向けのESUの提供はなし
Microsoftは今回、Windows Server 2012/2012 R2と同じ日に延長サポート期限を迎える「Windows 8.1」については、ESUの提供について言及していません。現状、Windows 8.1に対してESUが提供される予定はないものと思われます。
- [参考]2022年にサポートが終了する製品
- [参考]2023年にサポートが終了する製品
筆者紹介
山市 良(やまいち りょう)
岩手県花巻市在住。Microsoft MVP:Cloud and Datacenter Management(2020-2021)。SIer、IT出版社、中堅企業のシステム管理者を経て、フリーのテクニカルライターに。Microsoft製品、テクノロジーを中心に、IT雑誌、Webサイトへの記事の寄稿、ドキュメント作成、事例取材などを手掛ける。個人ブログは『山市良のえぬなんとかわーるど』。近著は『Windows版Docker&Windowsコンテナーテクノロジ入門』(日経BP社)、『ITプロフェッショナル向けWindowsトラブル解決 コマンド&テクニック集』(日経BP社)。
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