迫るサポート終了の日! それでもまだIEを使いたい:山市良のうぃんどうず日記(216)
MicrosoftはユーザーをレガシーなInternet ExplorerからモダンブラウザであるChromium版Microsoft Edgeに移行させるため、手を替え品を替え(とは言い過ぎかもしれませんが)、積極的に、時には強引に動いています。Windows 10におけるIEのサポートは「2022年6月15日」まで続くのですから、それまではそっとしておいてください……と言いたいです。
Microsoft 365アプリがIEのサポートを完全に終了
「Internet Explorer(IE)」はレガシーなWebブラウザであり、かなり早い段階からFacebookやYouTube、Twitterなど主要なWeb/SNSサービスはIEでは動作しなくなりました。IEでアクセスしようとすると「Microsoft Edge」に切り替わるようになっています。
Microsoftは同社のWebサイトの一部や、「Microsoft Azure」「Microsoft 365」などのクラウドサービスでIEのサポートを段階的に終了してきました。例えば、「Azureポータル」については、2021年3月末でIEのサポートを終了しています。
Microsoft 365のアプリおよびサービスについては、レガシーなMicrosoft Edgeのサポートを「2021年3月9日」で終了し、「2021年8月17日」にIE 11のサポートを完全に終了しました。現在、IEでMicrosoft 365のアプリやサービスにアクセスすると、意図的にブラウザの設定を変更していない限り、Microsoft Edgeに切り替わると思います(画面1)。
- Microsoft 365 apps say farewell to Internet Explorer 11 and Windows 10 sunsets Microsoft Edge Legacy[英語](Microsoft Tech Community)
いつの間にか、IEによるアクセスが全てMicrosoft Edgeに切り替わるように
Microsoftは、「Windows 10」の半期チャネル(SAC)のバージョン20H2以降や「Windows 8.1」におけるIEのサポートを、「2022年6月15日」で終了することを発表しています。IEが削除されるわけではありませんが、その日以降、IEのアプリケーション(iexplore.exe)を起動しようとしても、Microsoft Edgeが起動するようになるそうです。
- Internet ExplorerはMicrosoft Edgeへ – Windows 10のInternet Explorer 11デスクトップアプリは2022年6月15日にサポート終了(Windows Blogs)
- Internet Explorer 11デスクトップアプリケーションのサポート終了 – 発表に関連するFAQ(Windows Blogs)
「既にそんな状態になっている」というユーザーもいるでしょう。IEが起動できないわけではありませんが、つい先日までIEでアクセスできていたサイトが、「このWebサイトがMicrosoft Edgeよりも適切に機能します」と表示されるようになり、Microsoft Edgeに切り替わるという状態です。
いつの間にかそうなってしまったという場合は、おそらくIEまたはMicrosoft Edgeの使用時にページ上部に表示された「設定を変更する」をクリックしてしまったか(画面2)、IE使用時にポップアップされたMicrosoft Edgeへの案内に答えてしまったのでしょう(画面3)。
後者のポップアップは「今は実行しない」をクリックしても、次に表示されるポップアップの「今すぐ切り替える」ボタンの位置が直前とは入れ替わっているので、意図せず「今すぐ切り替える」をクリックしてしまったのかもしれません。このボタンの配置には、執念というか、悪意を感じます。
筆者にとっては、今日明日、IEが利用できなくなったとしても、他のブラウザを使えばよいだけだと思っていますが、サポートされているうちは2022年6月15日までは使い続ける予定です。レガシーなWebサイトのRSSフィードを受け取ったり、複数のオンラインIDを使い分けたりするのに、今でもIEを利用しているからです。RSSフィードは拡張機能で対応できそうですし、IDの切り替えについても別のブラウザの「inPrivateブラウズ」で代替できます。でも、無理して対応するよりは、標準状態のIE、Microsoft Edge、「Mozilla Firefox」の3つで使い分けた方が、分かりやすいと思っています。
IEの挙動を元に戻したい!
ブラウザの挙動は「設定」アプリの「アプリ|既定のアプリ」から簡単に元に戻すことができますが、変更されてしまったIEの挙動を決める設定は見つけにくい場所にあります。Microsoft Edgeの「…(設定)」から「既定のブラウザー」を開いてください。Microsoft Edgeのアドレスバーに「edge://settings/help」や「edge://settings/defaultBrowser」と入力して素早く開くこともできます。
全てのサイトがMicrosoft Edgeで表示される場合は、「Internet ExplorerにMicrosoft Edgeでサイトを開かせる」の設定が「常に」になっていると思います。これを「互換性のないサイトのみ(推奨)」または「なし」に変更すれば、意図せず変更される前のIEの挙動に戻るはずです(画面4)。例えば、「なし」に設定すると、Microsoft 365のサービスに引き続きIEでアクセスすることができます(もうサポートされませんが)。
画面4 「Internet ExplorerにMicrosoft Edgeでサイトを開かせる」の設定を「常に」から「互換性のないサイトのみ(推奨)」または「なし」に戻すと、IEで再びOutlook.comを開けるように(ただし、IEでの使用は非サポート)
筆者紹介
山市 良(やまいち りょう)
岩手県花巻市在住。Microsoft MVP 2009 to 2022(Cloud and Datacenter Management)。SIer、IT出版社、中堅企業のシステム管理者を経て、フリーのテクニカルライターに。Microsoft製品、テクノロジーを中心に、IT雑誌、Webサイトへの記事の寄稿、ドキュメント作成、事例取材などを手掛ける。個人ブログは『山市良のえぬなんとかわーるど』。近著は『Windows版Docker&Windowsコンテナーテクノロジ入門』(日経BP社)、『ITプロフェッショナル向けWindowsトラブル解決 コマンド&テクニック集』(日経BP社)。
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