身に付けると仕事に役立つ「抽象化」思考のススメ:仕事が「つまんない」ままでいいの?(82)(1/3 ページ)
抽象化思考ができると、物事の特徴をざっくりと捉え、本質を理解できるようになり、エンジニアとしての幅が広がります。
先日、フリーランスエンジニアの単価記事が話題になりました。それぞれの単価に対して、エンジニアのスキル感が提示されていました。
その中に、「抽象的な概念を理解し始めたエンジニア」「抽象的な概念をしっかり理解し、比較検討ができる」といった表記があったのですが、そのスキルが、基本的か、高度かといったら、どちらかと言えば基本的なスキルとして書かれていました。
しかし、「抽象的な概念を理解する」という一文を読んで、「基本的なスキルのように書かれているけれど、実は、かなり高度なスキルなのではないか?」と思ったのです。
というのも、Javaをはじめとしたオブジェクト指向ができるプログラミング言語を学んだことがある人ならきっとお分かりいただけると思いますが、「抽象化」というのは、なかなか理解しにくい概念です。私自身「抽象化」が理解できず、挫折しそうになりながら、何とか理解できたタイプです。
一方で、抽象化の概念が理解できたら、「つまり、こういうことね」のように、物事の特徴をざっくりと捉え、本質を理解できるようになりましたし、「なぜ、それをするのか?」という目的が明確になり、やるべきことが整理しやすくなりました。今では、抽象化思考が大好きになりました。
そこで今回は、「抽象化」のお話をしたくなりました。
抽象化は「具体化の逆」
「抽象的な概念を理解する」とは、物事を「大きな視点で俯瞰(ふかん)的に捉えられる」ことです。また、大きな視点で俯瞰的に捉えることによって、「全体の構造を把握する」ことができます。
「抽象化」を理解するためには、「具体化」を理解する必要があります。なぜなら、抽象化とは、「具体化の逆」だからです。
具体化とは、「物事を具体的にする」「詳細にする」ことですね。「○○を具体的にしましょう」といった会話は日常でもよく出てくるので、説明するまでもないでしょう。
具体化を図にすると、対象を細かな要素に分解するイメージです。対象に対して「いつ」「どこで」「誰が」「何を」「どのように」といった問いを立てると、具体化できます。曖昧な状況を「事実化する」といってもいいかもしれません。
抽象化は具体化の逆なので、異なる特徴を持った事柄の共通点を見つけて「ざっくりとまとめる」イメージです。
ざっくりまとめるというと、「曖昧にする」イメージを抱くかもしれませんが、単に「曖昧にする」というよりも、「つまり、こういうこと」「ざっくり言うと××」のように、細かなことは取りあえず脇に置いておいて、「特徴を理解しやすくする」感じです。
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