身に付けると仕事に役立つ「抽象化」思考のススメ:仕事が「つまんない」ままでいいの?(82)(2/3 ページ)
抽象化思考ができると、物事の特徴をざっくりと捉え、本質を理解できるようになり、エンジニアとしての幅が広がります。
「抽象化」ができると便利な2つのこと
抽象化の面白さは、大きく分けると2つあります。
物事の目的や意味、本質を捉えられる
1つ目の面白さは、「物事の目的や意味、本質を捉えられる」です。
一例として、「ITエンジニアの仕事」を抽象化してみましょう。でも、突然「ITエンジニアの仕事を抽象化する」といわれても、よく分からないですよね。
そこで、良い方法を伝授します。それは「目的や意味を明確にする」ことです。
難しいことは置いておいて、ITエンジニアの仕事を抽象化してみましょう。まず、ITエンジニアの仕事の「目的」や「意味」を考えてみます。いろいろな言い方はありますが、ここでは「ITの技術力を生かして、情報システムを作る」としましょう。
続けて「情報システムを作る」ことの目的や意味を考えてみます。これにも、いろいろな目的や意味がありますが、その上位には「業務を便利に、楽にする」といった意味があるように思います。
さらに、「業務を便利に、楽にすること」の上位にある目的や意味を考えると、「生産性が高まり、時間が短縮できる」「情報伝達がスムーズにできる」など、幾つかの目的や意味があるでしょう。
「生産性が高まり、時間が短縮できる」「情報伝達がスムーズにできる」ことの上位にある目的や意味を考えると、「早く帰れる」「チームワークが良くなる」といったものがあるはずです。
さらに、その上位の目的や意味を考えてみると……キリがないのでこのぐらいでやめておきますが、「家族と過ごす時間が増える」「気分良く仕事ができる」などにつながっていき、最終的には「顧客の幸せ」につながるはずです。
つまり、ITエンジニアは、顧客をはじめとした誰かを「幸せにする」のが仕事です。
「ITの技術力を生かして、情報システムを作る」と「顧客の幸せ」を比較すると、顧客の幸せは、かなり抽象的ですよね。つまり、抽象化しています。また、「ITエンジニアの仕事は、顧客に幸福感を提供することである」という捉え方は、かなり本質的です。
このようにある事柄の上位にある目的や意味を繰り返し明確にしていくと、比較的簡単に抽象化でき、本質的な目的や意味へと、昇華させられます。
ストーリー立てて、分かりやすく説明できる
抽象化の2つ目の面白さは、「ある物事をストーリー立てて、分かりやすく説明できる」ことです。
先ほどの、「情報システムを開発するメリット」を、お客さまに説明するシーンがあると仮定した場合、抽象化を使いながら話を組み立てると、物事をストーリー立てて分かりやすく伝えられます。
例えば、こんな感じです。
この情報システムを開発すると、御社の業務を便利に、楽にできます。その結果、生産性が上がり、時間が短縮でき、社内での情報伝達がスムーズになります。そうすると、残業代がカットできるし、今まで以上にチームワークが良くなります
これは、先ほどの目的や意味を明確にした(つまり、抽象化した)内容をただ並べただけです。
さらに続けると……。
社員の皆さんが早く帰宅できると、家族と過ごす時間が増えます。それは気分良く仕事ができることにつながるでしょう。そのような働き方ができる会社であれば、社員が幸福を感じ、きっと「これからもずっとこの会社で働きたい」と思い、エンゲージメントが高まるはずです
ここまで抽象化するのはやり過ぎかもしれませんが、少なくとも目的や意味をストーリー立てて伝えた方が、「それを行う目的」が明確になり、納得感を得やすくなります。
ストーリーを作るのは、抽象化によって見いだした目的や意味をつなげていくだけです。
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