連載
ベネッセはDXを「丁寧に」推進する:日報作成を苦痛から成長の糧へ(2/3 ページ)
どんなに素晴らしい技術を用いても、現場の実情に合わなければ活用されない。ベネッセのDXは、若きリーダーたちの旗振りの下、地道に、丁寧に進められてきた。
現場の声やフィードバックを大切にしながら作り上げた学校営業日報分析
続けて、DXコンサルティング室 課長 田中達也氏が、現場と共同で進めたDXの一例として、学校営業の日報分析の取り組みについて紹介した。
ベネッセの学校営業事業では、全国の学校に対し、150種類以上に上るさまざまな教材や模試などの営業を行っている。9つに分かれた支社の営業担当が、1人当たり数十校を担当し、営業の結果を「Salesforce」に営業履歴として残していた。
しかし「1日に平均して3〜4校を訪問する中、1校当たり25分程度かかる営業日報の入力は、営業担当にとって負荷の高い業務でした。さらに書いたら書きっぱなしで特にフィードバックがあるわけでもなく、活用も進まないため、なかなか入力するモチベーションが上がらず、組織知化も進んでいませんでした」と田中氏は、問題点を整理する。
そこで、せっかくの貴重な一次情報を活用するために、また営業日報への入力を個人の成長につなげ、価値を感じられるようにしていくため、田中氏らはさまざまな取り組みを開始した。コールセンターで入力作業を支援する仕組みを整えるとともに、営業日報のデータを分析し、営業担当一人一人の強みや弱みを測定してフィードバックを行い、本人の成長に、ひいては学校へのより良い提案につなげていこうとしている。
関連記事
- カインズのCTOに、俺はなる!
グローバルに活躍するエンジニアを紹介する本連載。今回もカインズの崔国(サイ・コク)氏にお話を伺う。英語も覚えたいし、MBAも取りたい。やりたいことが止まらない崔氏は次に何を望むのか - ガートナーが「DX成功の鍵を握る5つの役割」を発表
ガートナー ジャパンは、DXの推進に必要となる5つの役割を発表した。自社の目的に合った人材を育てることをゴールに据えると、効果的な人材育成を短期間で実行できるようになるという - DX以前の「要件」とDX時代の「ユーザーストーリー」、その最大の違いとは
ユーザー企業におけるDXは、Web系企業やスタートアップで使われる手法とは違うアプローチが必要だ。SOMPOホールディングスの内製開発事例を基にデジタル開発の在り方を学ぶ。第1回は「DX時代の『ユーザーストーリー』はこれまでの要件定義と何が違うか」について - 中間管理職はDXに悲観的? ABBYYジャパンがDXに関する調査結果発表
ABBYYジャパンは、DXプロジェクトの影響やビジネスで直面している課題、コロナ禍において自動化技術が果たす役割などに関する調査の結果を発表した。それによると日本の最高責任者と中間管理職の間にDXに関する深刻な認識の差があること分かった - アジャイル開発を外部委託するときの契約事項をまとめた「情報システム・モデル取引・契約書」を改訂 IPA
IPAは、アジャイル開発版「情報システム・モデル取引・契約書」を改訂した。厚生労働省の「『労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準』(37号告示)に関する疑義応答集(第3集)」に関する情報を追加した
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.