PolyBaseデータ移動サービスのワーカー情報を出力する:SQL Server動的管理ビューレファレンス(54)
「Microsoft SQL Server」が稼働するデータベースシステムを運用する管理者に向け、「動的管理ビュー」の活用を軸にしたトラブル対策のためのノウハウを紹介していきます。今回は、PolyBaseデータ移動サービスのワーカー情報の出力について解説します。
本連載では、「Microsoft SQL Server(以下、SQL Server)」で使用可能な動的管理ビューについて、動作概要や出力内容などを紹介していきます。今回は動的管理ビュー「sys.dm_exec_dms_workers」における、PolyBaseデータ移動サービス(DMS)のワーカー情報の出力について解説します。対応バージョンは、SQL Server 2016以降です。
概要
PolyBase機能を使用した外部データソーステーブルを含むクエリの実行では、クエリはSQL Serverによって自動的に複数のステップに分割され、外部データを参照するクエリの一部はPolyBaseエンジンに渡されます。
PolyBaseエンジンは外部データに対するクエリを解析してクエリプラン(DMSプラン)を生成し、作業を実行するためにコンピューティングノード上のDMSに配布します。DMSは配布されたDMSプランを実行し、外部データソースとのデータ転送を行います。
「sys.dm_exec_dms_workers」動的管理ビューを使用することで、DMSプランを実行するワーカーに関する情報を確認できます。
実行されたPolyBaseクエリに関する情報を確認できる「sys.dm_exec_distributed_requests」動的管理ビューや、分割されたステップの情報を出力できる「sys.dm_exec_distributed_request_steps」動的管理ビュー、各ノードへ配布されたクエリの情報を出力できる「sys.dm_exec_distributed_sql_requests」動的管理ビューなどと組み合わせることで、詳細にPolyBaseクエリの実行状況を追跡できます。
出力内容
列名 | データ型 | 説明 |
---|---|---|
execution_id | nvarchar(32) | このワーカーが含まれるクエリ要求のID |
step_index | int | このワーカーが含まれるクエリステップのID |
dms_step_index | int | このワーカーが実行するDMSプランのステップID |
compute_node_id | int | このワーカーが実行されているノード |
distribution_id | int | |
type | nvarchar(32) | このワーカースレッドの種類 |
status | nvarchar(32) | このワーカーが実行するステップのステータス |
bytes_per_sec | bigint | |
bytes_processed | bigint | このワーカーによって処理された合計バイト数 |
rows_processed | bigint | |
start_time | datetime | ステップの実行を開始した時刻 |
end_time | datetime | ステップの実行が完了、キャンセルまたは失敗した時刻 |
total_elapsed_time | int | ステップが実行されている合計時間(ミリ秒) |
cpu_time | bigint | |
query_time | int | |
buffers_available | int | |
dms_cpid | int | |
sql_spid | int | |
error_id | nvarchar(36) | |
source_info | nvarchar(4000) | |
destination_info | nvarchar(4000) | |
command | nvarchar(4000) |
動作例
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