リモートデスクトップ接続で端末間の「ファイルコピーが極端に遅いとき」の改善法:その知識、ホントに正しい? Windowsにまつわる都市伝説(196)
リモートデスクトップ接続は、ドライブやクリップボードの共有により、接続元と接続先でファイルを相互にやりとりできて便利です。しかし、大きなサイズのファイルをコピーしようとすると、極端に時間がかかったり、リモートデスクトップ接続のセッションが切断されてしまったりしたといった経験はないでしょうか。今回はそんなトラブルの改善方法を教えます。
リモートデスクトップ接続は端末間のファイルのやりとりが便利だけど……
「リモートデスクトップ接続」は、Windows端末間、あるいはWindows、Linux、macOSの端末間で、デスクトップへの対話的なリモート接続と端末間のファイル共有やクリップボード共有などを実現する便利な機能です。
WindowsのPro以上のエディションおよびWindows Serverは標準でサーバ機能を備え、Windows ServerのServer Coreを除く全てのWindowsは「リモートデスクトップ接続クライアント」(Mstsc.exe)を標準搭載しているため、最も良く利用される組み合わせだと思います。インターネットを介して安全に接続し、デスクトップの操作やファイルのやりとりに利用できるのも便利です。
ただしその場合、リモートデスクトッププロトコル(RDP)のTCPポート「3389」への直接的な接続許可は、ユーザー名/パスワードを突破されれば侵入を許してしまう、あるいはRDP自身の既知/未知の脆弱(ぜいじゃく)性を悪用されるなど、セキュリティリスクが高いため、お勧めしません。追加的な接続セキュリティの強化(ファイアウォールによる接続元IPアドレスの制限、リモートデスクトップWebアクセスやゲートウェイによるアクセス制限、Azure ADアプリケーションプロキシによる追加の認証など)と組み合わせることが重要です。
リモートデスクトップ接続を社内や家庭内のローカルネットワークで利用している場合、端末間のファイルのやりとりが、通常のWindowsネットワークにおけるファイル共有と比較して時間がかかると感じた経験はないでしょうか。特に、GB(ギガバイト)単位の巨大なファイルを扱う場合にそれが顕著です(画面1、画面2)。場合によっては、リモートデスクトップ接続のセッションが応答しなくなったり、切断されてしまったりすることも筆者には経験があります。
ドライブ共有はSMB接続にあらず?
Windowsネットワーク標準のファイル共有プロトコル「SMB(Server Message Block)」と比べて、リモートデスクトップ接続でのファイルのやりとりに時間がかかるのは、当然と言えば当然のことです。なぜなら、ドライブやクリップボードの共有はRDPに含まれる機能であり、SMBは利用されていないからです。全ての通信は、画面転送やキーボード/マウス操作の送受信と同様に、RDPのTCPまたはUDPポート「3389」の接続を通して行われます。
関連記事
- Windows 11も利用可能な「Windows 365」が正式にサービスをスタート、その中身は?
Microsoftは、「Windows 365 Cloud PC」のサービスを正式に開始しました。Windows 365 Cloud PCは、Windows 10とWindows 11(2021年後半リリース予定)に正式に対応した、新しいながら技術的には実績のある「サービスとしてのデスクトップ」です。 - 「Windows 11」の登場予告で、WindowsとWindows Server周辺は大混乱?
2021年6月後半、「Windows 11」の突然の発表により、WindowsとWindows Serverのこれからについて、Internet Explorerの今後について、誤解や混乱が生じているようです。ちょっと整理してみましょう。なお、本稿には開発中のビルドに関する情報が含まれます。正式リリース時は状況が変わっている可能性があることにご注意ください。つまり、“話半分”で聞いてください。 - VPN、Windows 365、Azure Virtual Desktop……リモートアクセス環境はどれを選べばよい?――Microsoftのリモートアクセステクノロジーまとめ
コロナ禍の中、企業はテレワーク(リモートワーク)の導入と継続を求められ、それが長期化しています。既にテレワーク環境を整備した企業でも、セキュリティの強化や運用コストの面から定期的に見直すべきです。今回は、Windows/Windows Serverの標準機能、Microsoft Azureのサービスとして利用可能なリモートアクセス環境を簡単にまとめました。 - Windows Server 2022が正式リリース 企業のクラウド/サーバ利用環境はどう変わる?
Microsoftは2021年後半にリリース予定としていた次期LTSC版Windows Serverの「Windows Server 2022」の正式リリースを2021年9月1日(米国時間)に発表しました。製品の完成であるGA(Generally Available)リリースは8月18日(米国時間)であり、製品版のISOイメージや評価版、コンテナイメージもこの日から利用可能になっています。Microsoftは2021年6月からPreview評価版を提供を開始し、現在は完成版の評価版に差し替えられましたが、OSビルドはPreview評価版の「20234」から変更はないため、8月までの品質更新プログラムをインストールすることでGA環境になります(新しい評価版のISOイメージのOSビルドは20234.169)。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.