クエリを最後に実行した際の実際の実行プランを出力する:SQL Server動的管理ビューレファレンス(70)
「Microsoft SQL Server」が稼働するデータベースシステムを運用する管理者に向け、「動的管理ビュー」の活用を軸にしたトラブル対策のためのノウハウを紹介していきます。今回は、クエリを最後に実行した際の実行プランの出力について解説します。
本連載では、「Microsoft SQL Server(以下、SQL Server)」で使用可能な動的管理ビューについて、動作概要や出力内容などを紹介していきます。今回は動的管理ビュー「sys.dm_exec_query_stats」における、クエリを最後に実行した際の実行プランの出力について解説します。対応バージョンは、SQL Server(サポートされている全てのバージョン)です。
概要
SQL Serverでは、クエリは実行前にクエリオプティマイザーによってコンパイルされ、実行プランが作成されます。実行プランには、クエリ実行に必要なデータ抽出や結合、フィルタリングなどの処理を行う順序や方法が含まれており、作成された実行プランは次回以降の実行時のためにキャッシュされます。
実行プランには、コンパイル時に作成される、統計情報などを元にして計算されたデータ量などの推定情報が含まれる推定実行プランと、クエリ実行完了時に作成される、推定実行プランの情報に加えて、クエリ実行時の実際のリソース使用状況やデータ行数、ランタイム警告などの情報が含まれる実際の実行プランがあります。
実際の実行プランには、クエリ実行時に実際に読み込まれたテーブルやインデックスの行数や、演算子によって処理された行数、実行回数などの情報が含まれています。そのため、クエリのパフォーマンスの分析などに非常に役立つ情報となっています。
SQL Server 2017以前までは、実際の実行プランを確認するには、クエリの実行前にサーバトレースや拡張イベントなどの記録を開始しておき、実際にクエリを実行したタイミングを含めて資料を採取する必要がありました。
SQL Server 2019では、事前にトレースフラグ「2451」またはデータベースの構成で「LAST_QUERY_PLAN_STATS」オプションを有効化しておくことで、新しく実装された「sys.dm_exec_query_plan_stats」動的管理関数を使用して、以前のバージョンまでは事前に資料採取を開始しておかなければ確認できなかった実際の実行プランを、クエリの実行完了後に確認できるようになりました。
構文と引数
構文 sys.dm_exec_query_plan_stats(plan_handle)
列名 | データ型 | 説明 |
---|---|---|
plan_handle | varbinary(64) | 実行プランを一意に識別する識別子 実行プランがプランキャッシュ内に存在するか、現在実行されている必要がある 次の動的管理オブジェクトから取得できる ・sys.dm_exec_cached_plans(Transact-SQL) ・sys.dm_exec_query_stats(Transact-SQL) ・sys.dm_exec_requests(Transact-SQL) ・sys.dm_exec_procedure_stats(Transact-SQL) ・sys.dm_exec_trigger_stats(Transact-SQL) |
出力内容
列名 | データ型 | 説明 |
---|---|---|
dbid | smallint | ステートメントがコンパイルされたデータベースのID |
objectid | int | この実行プランのオブジェクトのID アドホックおよび準備されたバッチでは「NULL」 |
number | smallint | 番号付きストアドプロシージャを表す整数 アドホックおよび準備されたバッチでは「NULL」 |
encrypted | bit | 対応するストアドプロシージャが暗号化されているかどうか 「0」=暗号化されていない 「1」=暗号化されている |
query_plan | xml | この実行プランが最後に実行されたときのXML形式の実際のプラン表示 アドホックバッチやストアドプロシージャの呼び出し、ユーザー定義関数の呼び出しに含まれているTransact-SQLステートメントごとに1つのプランが生成される |
動作例
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