フルテキストインデックスの作成に関する情報を出力する:SQL Server動的管理ビューレファレンス(99)
「Microsoft SQL Server」が稼働するデータベースシステムを運用する管理者に向け、「動的管理ビュー」の活用を軸にしたトラブル対策のためのノウハウを紹介していきます。今回は、フルテキストインデックスの作成に関する情報の出力について解説します。
本連載では、「Microsoft SQL Server(以下、SQL Server)」で使用可能な動的管理ビューについて、動作概要や出力内容などを紹介していきます。今回は動的管理ビュー「sys.dm_fts_index_population」における、フルテキストインデックスの作成に関する情報の出力について解説します。対応バージョンは、SQL Server(サポートされている全てのバージョン)です。
概要
SQL Serverではフルテキスト検索の機能を使用して、英語や日本語など、特定の言語の規則に基づいた言語検索を実行できます。フルテキスト関数を使用して大量のテキストデータを対象としたテキスト検索をする場合、全文検索を行うLIKE句と比較して高速に実行できます。フルテキスト検索ではフォーマットされたバイナリデータ(Microsoft Wordドキュメントなど)を対象とすることもできます。
フルテキスト検索を使用するには、SQL Serverインスタンスに「検索のためのフルテキスト抽出とセマンティック抽出」機能を追加する必要があります。また、データベースにフルテキストカタログを作成し、対象のテーブルに対してフルテキストインデックスを作成する必要があります。
「sys.dm_fts_index_population」では、フルテキストインデックスの作成に関する情報を出力します。
出力内容
列名 | データ型 | 説明 |
---|---|---|
database_id | int | データベースのID |
catalog_id | int | フルテキストカタログのID |
table_id | int | フルテキストインデックスが設定されたテーブルのID |
memory_address | varbinary (8) | 内部データ構造のメモリアドレス |
population_type | int | 作成の種類。次のいずれかになる 1 2 3 4 |
population_type_description | nvarchar(120) | 作成の種類の説明。次のいずれかになる FULL INCREMENTAL MANUAL AUTO |
is_clustered_index_scan | bit | クラスタ化インデックスのスキャンが行われるかどうかを示す |
range_count | int | 並列化された範囲の数 |
completed_range_count | int | 処理が完了した範囲の数 |
outstanding_batch_count | int | 未処理のバッチの数 |
status | int | 作成の状態。次のいずれかになる 3 5 7 11 12 |
status_description | nvarchar(120) | 作成の状態の説明。次のいずれかになる Starting Processing normally Has stopped processing Population aborted Processing a semantic similarity extraction |
completion_type | int | 完了の種類 |
completion_type_description | nvarchar(120) | 完了の種類の説明 |
worker_count | int | ワーカーの数。この値は常に「0」 |
queued_population_type | int | 次に作成が行われる場合の作成の種類 |
queued_population_type_description | nvarchar(120) | 次に作成が行われる場合の作成の種類の説明 |
start_time | datetime | 作成が開始された時刻 |
incremental_timestamp | timestamp | 完全作成の開始タイムスタンプ |
動作例
フルテキストカタログが設定されているSQL Serverで、フルテキストインデックスを作成しながら「sys.dm_fts_index_population」を実行すると、フルテキストインデックスの作成に関する情報が出力されました(図1)。
作成の種類により「population_type」や「population_type_description」が異なり、状況により「status」や「status_description」が異なります。作成が完了すると対象行は表示されなくなります。
※本Tipsは、「Windows Server 2019」上に「SQL Server 2019」をインストールした環境を想定して解説しています。
筆者紹介
椎名 武史(しいな たけし)
BIPROGY株式会社(ビプロジー)所属。Microsoft MVP for Data Platform(2017〜)。入社以来 SQL Serverの評価/設計/構築/教育などに携わりながらも、主にサポート業務に従事。SQL Serverのトラブル対応で社長賞の表彰を受けた経験も持つ。休日は学生時代の仲間と市民駅伝に参加し、銭湯で汗を流してから飲み会へと流れる。
伊東 敏章(いとう としあき)
BIPROGY株式会社(ビプロジー)所属。入社以来SQL Server一筋で評価/設計/構築/教育などに携わりながらも、主にサポート業務に従事。社内のプログラミングコンテストで4回の優勝経験も持つ。趣味は輪行で週末は自転車を持っての旅行。目標は色々な日本百選を制覇すること。
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