Azureの「ストレージアカウント(クラシック)」が間もなく廃止! 利用者は早めの対応を:Microsoft Azure最新機能フォローアップ(167)
Microsoftは2022年3月末、Azureストレージの「ストレージアカウント(クラシック)」利用者に対し、サービスの廃止予定を通知しました。完全に廃止されるまでにはまだ余裕がありますが、既存環境への影響を評価した上で、Azureリソースマネージャータイプの「ストレージアカウント」に移行してください。
「ストレージアカウント(クラシック)」の使用の有無を確認
「ストレージアカウント(クラシック)」は、Microsoft Azure初期のレガシーな「Azure Service Management(ASM)」デプロイタイプに基づいたリソースです。Azureでは標準となってもう長い、新しいデプロイタイプの「Azureリソースマネージャー(ARM)」へのサービス移行は既に終えていますが、ASMのサポートも継続してきました。本連載の第133回に紹介したように、ASMデプロイタイプの「仮想マシン(クラシック)」は「2023年3月」に完全にサービスを終了します。
Microsoftは2021年8月、「ストレージアカウント(クラシック)」のサービスを「2024年8月31日」に廃止することを発表しています(画面1)。利用者に対しては、2022年3月末にそのことと、2022年8月1日以降に「ストレージアカウント(クラシック)」の新規デプロイができなくなることが電子メールなどで通知されました。
新規デプロイの廃止は既にデプロイ済みの「ストレージアカウント(クラシック)」リソースには影響しませんが、「ストレージアカウント(クラシック)」のサービスの提供は「2024年8月31日」に完全に終了します。
現在、「ストレージアカウント(クラシック)」を利用している場合は、2024年8月31日までにARMデプロイタイプの「ストレージアカウント」に移行するか、「ストレージアカウント(クラシック)」に依存するサービスの利用停止と併せてリソースを削除する必要があります。
なお、本連載第133回で紹介した「仮想マシン(クラシック)」のARMへ移行しても、仮想ディスク(VHD)をはじめとする記憶域リソースは「ストレージアカウント(クラシック)」に配置されたままであることに注意してください。
「ストレージアカウント(クラシック)」を利用中であるかどうかは、Azureポータルの「ストレージアカウント」ブレードの一覧を見れば一目瞭然です。ARMタイプの「ストレージアカウント」は多色のカラーアイコンで表示され、「ストレージアカウント」の種類で識別できます。一方、「ストレージアカウント(クラシック)」は水色のカラーアイコンで表示され、「microsoft.classicstorage」から始まる種類で識別できます(画面2)。
Azureポータルを使用して簡単にARMに移行可能
「ストレージアカウント(クラシック)」ページの「設定」下にある「ARMへの移行」を開くと、ストレージアカウントのASMからARMへの移行を簡単な手順で実施できるメニューが表示されます(画面3)。
このページで「検証」→「準備」の順にクリックし、問題がないようであれば「はい」と入力して「コミット」をクリックすると、自動的に移行処理が行われます(画面4)。
念のため、このストレージアカウントに依存するリソース(仮想マシンなど)が実行中であれば停止した上で実施すればよいでしょう。移行により、リソースグループは「旧リソースグループ名」から「旧リソースグループ名-Migrated」に変更されますが、ストレージアカウントの名前やURLはそのまま維持されるので、依存するリソースには影響はないはずです(画面5)。なお、移行を実施すると、以前の「ストレージアカウント(クラシック)」のリソースおよびリソースグループ(他にリソースが残っていない場合)は削除されます。
正常な移行完了を確認!
「ストレージアカウント(クラシック)」に依存していたリソース(仮想マシンなど)を起動して、移行による影響がないことを確認しましょう。仮想マシンの場合、移行直後はストレージアカウントの種類が「不明」となりましたが、仮想マシンを起動した後は、正しく認識されるようになりました(画面6)。
筆者紹介
山市 良(やまいち りょう)
岩手県花巻市在住。Microsoft MVP 2009 to 2022(Cloud and Datacenter Management)。SIer、IT出版社、中堅企業のシステム管理者を経て、フリーのテクニカルライターに。Microsoft製品、テクノロジーを中心に、IT雑誌、Webサイトへの記事の寄稿、ドキュメント作成、事例取材などを手掛ける。個人ブログは『山市良のえぬなんとかわーるど』。近著は『Windows版Docker&Windowsコンテナーテクノロジ入門』(日経BP社)、『ITプロフェッショナル向けWindowsトラブル解決 コマンド&テクニック集』(日経BP社)。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- Windows 11一般提供開始、企業での導入/展開時に注意すべきポイントは?
MicrosoftはWindowsデスクトップOSの最新バージョンである「Windows 11」を正式にリリースし、Windows 11対応ハードウェアを搭載したWindows 10デバイスに対して、無料アップグレードの段階的なロールアウトを開始しました。 - Windows 11登場! 11で変わること、思ったほど変わらないこと
新しいWindows OS「Windows 11」の正式出荷が2021年10月5日に開始された。Windows 10からの無償アップグレードが可能であるため、どのような新機能が実装されたのか気になる人も多いのではないだろうか。そこで、本稿ではWindows 11の新機能、削除された機能などを簡単にまとめてみた。 - 買って、試して分かったWindows 365(契約・セットアップ編)
Microsoftからクラウド上でWindows 10が動く「クラウドPC」の利用可能なサブスクリプションサービス「Windows 365」の提供が開始された。早速、サブスクリプションを契約し、クラウドPCの設定を行ってみた。契約からセットアップまでで見えてきた便利な点、不便な点などをまとめてみた。 - いよいよ完全終了へ。Internet Explorer(IE)サポート終了スケジュール
長らくWindows OSに標準装備されてきたInternet Explorer(IE)。その「寿命」は各種サポートの終了時期に左右される。Windows OSごとにIEのサポート終了時期を分かりやすく図示しつつ、見えてきた「終わり」について解説する。