Azure SQL Databaseサーバで実行されたデータベース操作の一覧を出力する:SQL Server動的管理ビューレファレンス(108)
「Microsoft SQL Server」が稼働するデータベースシステムを運用する管理者に向け、「動的管理ビュー」の活用を軸にしたトラブル対策のためのノウハウを紹介していきます。今回は、Azure SQL Databaseサーバで実行されたデータベース操作の一覧を出力する方法について解説します。
本連載では、「Microsoft SQL Server(以下、SQL Server)」で使用可能な動的管理ビューについて、動作概要や出力内容などを紹介していきます。今回は動的管理ビュー「sys.dm_operation_status」における、Azure SQL Databaseサーバで実行されたデータベース操作の一覧を出力する方法について解説します。対応バージョンは、Azure SQL Database Azure SQL Managed Instanceです。
概要
Azure SQL Databaseを作成するには、先にSQL Databaseサーバを作成して、SQL Databaseサーバ内にSQL Databaseを作成する必要があります。
「sys.dm_operation_status」動的管理ビューを使用すると、データベースの作成や削除、サービスレベル、パフォーマンスレベルの変更などの、SQL Databaseサーバに対して実行された下記の操作の一覧と、操作のステータスについての情報を出力できます。
- データベースの作成
- データベースのコピー
- データベースの変更
- パフォーマンスレベルの変更
- データベースのサービス層の変更
- Geoレプリケーションの構成
- Geoレプリケーションの削除
- データベースの復元
- データベースの削除
出力内容
列名 | データ型 | 説明 |
---|---|---|
session_activity_id | uniqueidentifier | 操作のID |
resource_type | int | 操作が実行されるリソースの種類 「0」=SQL Database |
resource_type_desc | nvarchar(2048) | 操作が実行される対象のリソースの種類の説明 |
major_resource_id | sql_variant | 操作が実行される対象のSQL Database名 |
minor_resource_id | sql_variant | 内部使用専用 |
operation | nvarchar(60) | CREATEやALTERなど、SQL Databaseに対して実行される操作の種類 |
state | tinyint | 操作の状態 「0」=保留 「1」=実行中 「2」=完了 「3」=失敗 「4」=取り消し |
state_desc | nvarchar(120) | 操作の状態の説明 PENDING=操作はリソースまたはクオータが利用可能になるのを待機 IN_PROGRESS=操作が開始され、進行中 COMPLETED=操作が正常に完了 FAILED=操作が失敗 CANCELLED=ユーザーの要求によって操作が停止 |
percent_complete | int | 操作が完了した割合(%) 値は連続しておらず、有効な値は以下の一覧 「0」=操作は開始されていない 「50」=操作が進行中 「100」=操作の完了 |
error_code | int | 失敗した操作中に発生したエラーを示すコード 操作が正常に完了した場合は「0」 |
error_desc | nvarchar(2048) | 失敗した操作中に発生したエラーの説明 |
error_severity | int | 失敗した操作中に発生したエラーの重大度レベル |
error_state | int | 将来利用するために予約されている |
start_time | datetime | 操作が開始されたタイムスタンプ |
last_modify_time | datetime | 実行に時間のかかる操作において、レコードが最後に更新されたときのタイムスタンプ 操作が正常に完了した場合、操作が完了したときのタイムスタンプ |
動作例
準備として、SQL Databaseを作成し(図1)、Geoレプリケーションを構成しました。
SQL Server Management Studio(SSMS)で、SQL Databaseサーバのmasterデータベースに接続し、「sys.dm_operation_status」動的管理ビューを出力します(図2)。
「Operation」列には、「CREATE DATABASE」と「CREATE CONTINUOUS DATABASE COPY」が記録されていました。今回実施したことは、SQL Databaseの作成とGeoレプリケーションの構築でしたので、「CREATE CONTINUOUS DATABASE COPY」はGeoレプリケーションの構成により出力されていそうです。「start_time」などのタイムスタンプは、UTC時刻で出力されていました。操作のパラメーターに関連しそうな情報はないようです。
次に、接続先のデータベースを変更し、ユーザーデータベースに接続して「sys.dm_operation_status」動的管理ビューを実行してみたところ、結果が出力されませんでした(図3)。
なお、この動的管理ビューの情報は約1時間しか保持されないようですので、長期的な履歴情報が必要な場合には、Azureアクティビティーログを利用する必要があるようです。
※本Tipsは、Azure SQL Database(Single Database)での実行を想定して解説しています。
筆者紹介
椎名 武史(しいな たけし)
BIPROGY株式会社(ビプロジー)所属。Microsoft MVP for Data Platform(2017〜)。入社以来 SQL Serverの評価/設計/構築/教育などに携わりながらも、主にサポート業務に従事。SQL Serverのトラブル対応で社長賞の表彰を受けた経験も持つ。休日は学生時代の仲間と市民駅伝に参加し、銭湯で汗を流してから飲み会へと流れる。
伊東 敏章(いとう としあき)
BIPROGY株式会社(ビプロジー)所属。入社以来SQL Server一筋で評価/設計/構築/教育などに携わりながらも、主にサポート業務に従事。社内のプログラミングコンテストで4回の優勝経験も持つ。趣味は輪行で週末は自転車を持っての旅行。目標は色々な日本百選を制覇すること。
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