列ストアインデックスオブジェクトによるメモリプールの使用量に関する情報を出力する:SQL Server動的管理ビューレファレンス(110)
「Microsoft SQL Server」が稼働するデータベースシステムを運用する管理者に向け、「動的管理ビュー」の活用を軸にしたトラブル対策のためのノウハウを紹介していきます。今回は、列ストアインデックスオブジェクトによるメモリプールの使用量に関する情報の出力について解説します。
本連載では、「Microsoft SQL Server(以下、SQL Server)」で使用可能な動的管理ビューについて、動作概要や出力内容などを紹介していきます。今回は動的管理ビュー「sys.dm_column_store_object_pool」における、列ストアインデックスオブジェクトによるメモリプールの使用量に関する情報の出力について解説します。対応バージョンは、SQL Server 2016以降、Azure SQL Database、Azure SQL Managed Instanceです。
概要
SQL Serverでは列ストアインデックスを使用して、列指向データ形式を使用したデータの格納や取得、管理が可能です。従来のインデックスである行ストア形式のインデックスは、データをシークして特定の値を検索するクエリや、狭い範囲の値でのクエリを実行する場合に最適なパフォーマンスを発揮します。列ストアインデックスは、大規模のテーブルで大量のデータをスキャンする分析クエリを実行するときに、パフォーマンスが高くなります。
「sys.dm_column_store_object_pool」では、列ストアインデックスオブジェクトによるメモリプールの使用量に関する情報を出力します。
出力内容
列名 | データ型 | 説明 |
---|---|---|
database_id | int | データベースのID |
object_id | int | テーブルのオブジェクトID |
index_id | int | 列ストアインデックスのID |
partition_number | bigint | インデックス内のパーティション番号 |
column_id | int | 列ストアインデックスの列のID |
row_group_id | int | 行グループのID |
object_type | smallint | オブジェクトのタイプ。次のいずれかになる 「1」=COLUMN_SEGMENT 「2」=COLUMN_SEGMENT_PRIMARY_DICTIONARY 「3」=COLUMN_SEGMENT_SECONDARY_DICTIONARY 「4」=COLUMN_SEGMENT_BULKINSERT_DICTIONARY 「5」=COLUMN_SEGMENT_DELETE_BITMAP |
object_type_desc | nvarchar(60) | オブジェクトのタイプの説明。次のいずれかになる COLUMN_SEGMENT PRIMARY_DICTIONARY SECONDARY_DICTIONARY BULKINSERT_DICTIONARY DELETE_BITMAP |
access_count | int | オブジェクトへのアクセス数 |
memory_used_in_bytes | bigint | オブジェクトによって使用されるメモリサイズ |
object_load_time | datetime | オブジェクトがオブジェクトプールに取り込まれた時刻 |
動作例
列ストアインデックスを作成した直後に「sys.dm_column_store_object_pool」を実行すると、メモリプールが使用されていないため、何も情報が出力されませんでした(図1)。
列ストアインデックスを使用したクエリの実行後に「sys.dm_column_store_object_pool」を実行すると、オブジェクトによるメモリプールの使用状況に関する情報が出力されました(図2)。
「object_id」列と「memory_used_in_bytes」列を確認することで、列ストアインデックスごとのメモリ使用量を確認できます。インデックスの再構築やSQL Serverの再起動などを実行すると、メモリの使用状況が変化するため注意が必要です。
※本Tipsは、Azure SQL Database(Single Database)での実行を想定して解説しています。
筆者紹介
椎名 武史(しいな たけし)
BIPROGY株式会社(ビプロジー)所属。Microsoft MVP for Data Platform(2017〜)。入社以来 SQL Serverの評価/設計/構築/教育などに携わりながらも、主にサポート業務に従事。SQL Serverのトラブル対応で社長賞の表彰を受けた経験も持つ。休日は学生時代の仲間と市民駅伝に参加し、銭湯で汗を流してから飲み会へと流れる。
伊東 敏章(いとう としあき)
BIPROGY株式会社(ビプロジー)所属。入社以来SQL Server一筋で評価/設計/構築/教育などに携わりながらも、主にサポート業務に従事。社内のプログラミングコンテストで4回の優勝経験も持つ。趣味は輪行で週末は自転車を持っての旅行。目標は色々な日本百選を制覇すること。
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