ボクは「デスク」で仕事のオンオフを切り替える:Go AbekawaのGo Global!〜Wernich Baumgarten(前)(2/2 ページ)
グローバルに活躍するエンジニアを紹介する本連載。今回は八楽でAIプロダクトの開発をしているWernich Baumgarten(バーニック・バウムガートン)さんにお話を伺う。海外に憧れる南アフリカの少年が「行くならこの国しかない」と日本を選んだきっかけとは。
コンピュータサイエンスを学びつつ、日本に思いをはせる日々
阿部川 大学はどちらでしたか。
バーニックさん ケープタウンから車で40分くらいのところにあるステレンボッシュ大学に入りました。南アフリカの中でも、著名な総合大学の一つだと思います。やりたいことを学べる学科は全てありました。私の専門はコンピュータサイエンスでしたが、数学もよく学びました。学士は3年で、その後は修士には進学せず仕事をしようと思いました。
阿部川 大学卒業後は南アフリカで仕事を?
バーニックさん 2018年の12月に卒業し、故郷でビジネスソフトウェアをカスタマイズする仕事をしていました。
阿部川 ある調査によると、アフリカの中で一番ソフトウェアエンジニアが多いのは南アフリカらしいのですが、バーニックさんの周りでもソフトウェアエンジニアを目指す人は多いですか。
バーニックさん 南アフリカは比較的ITに対する関心や需要が高い市場で、多くの企業がプログラミングやエンジニアリングをなりわいにしています。具体的な数字は見たことはありませんが、南アフリカが一番多いというのは納得できます。コンピュータサイエンスやプログラミングは南アフリカの大学では一般的な教科で、現在も毎年多くの学生が履修していますから、ソフトウェアエンジニアの数はどんどん増加していると思います。
エンジニアが多いということは競争も激しいのだろうと思ったのですが、聞けば「エンジニアよりも仕事の数の方が断然多いので、多くのエンジニアが仕事を得られる環境です」とのこと。日本でも似たような話は聞きますが、日本の場合は「人材不足」となぜかネガティブに聞こえてしまうんですよね……。
阿部川 その後、八楽でのお仕事を始めます。きっかけは何だったのでしょうか。
バーニックさん 学生のころから「卒業したら日本に行きたい」という思いがあり、それが徐々に強くなっていました。そこで仕事の合間にオンラインで日本での仕事を探していて(八楽を)見つけました。南アフリカで数カ月、リモートで働きながら手続きなどを行い、翌年(2019年)の6月か7月に来日しました。ですから幸運にも、来日した時点ですぐに仕事ができました。
阿部川 なぜ他の国ではなく、日本だったのでしょうか。
バーニックさん 子どものころから海外に行ったり旅行したりすることに憧れていました。特にアジアの文化は私たちのものとは全く違うので、憧れていました。
日本を知ったきっかけはアニメやビデオゲームです。一番影響を受けたのは「君の名は。」でした。あの映画を見たことで、日本のことをより深く知りたいという気持ちが湧き上がりました。その後、文化や言語を学び、知れば知るほど日本に興味が湧いてきて、「行くならこの国しかない」と思うようになりました。
デスクの価値は
阿部川 コロナ禍ですからお仕事は基本テレワークですか?
バーニックさん はい、そうです。ただ最初の6カ月ぐらいは毎日出社できました。入社直後に物理的にメンバーと会えたのは、大変ラッキーだったと思います。今は完全にテレワークですが、これは自然な変化だと思っています。オフィスで仕事をしていたときから「Slack」などのオンラインコミュニケーションツールを多用していましたから、在宅(ホームオフィス)になってもそこは変わりません。
ただ、リモートで仕事していると「オン」と「オフ」の切り替えが難しいという問題はあります。仕事でデスクから1日中離れられなかったりしますから、ヘルスケアへの配慮が必要だと感じています。
阿部川 スイッチオフするために、どのような工夫をしていますか。
バーニックさん 「仕事専用のデスク」を用意しています。仕事はこのデスクでしかしないことにしています。
コロナ禍以前は家で仕事をするなんて考えてもなかったので、気軽にくつろげるように最小限の家具しか置いていませんでした。そんな環境で仕事をするのはとても大変でしたが、この「デスク戦略」のおかげでうまく切り替えができるようになりました。
幼いころからコンピュータの素養に溢(あふ)れたバーニックさん。アニメから日本を知り、来日して仕事をするまでそれほど時間はかからなかった。後編はコロナ禍という未曾有(みぞう)の危機に遭遇しながらも新しい働き方で成果を出すバーニックさんの今後のビジョンについて聞いた。
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