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リソースガバナーの外部リソースプールの情報を出力するSQL Server動的管理ビューレファレンス(155)

「Microsoft SQL Server」が稼働するデータベースシステムを運用する管理者に向け、「動的管理ビュー」の活用を軸にしたトラブル対策のためのノウハウを紹介していきます。今回は、リソースガバナーの外部リソースプールの情報を出力する方法について解説します。

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SQL Server動的管理ビュー一覧

 本連載では、「Microsoft SQL Server(以下、SQL Server)」で使用可能な動的管理ビューについて、動作概要や出力内容などを紹介していきます。今回は動的管理ビュー「sys.dm_resource_governor_external_resource_pools」における、リソースガバナーの外部リソースプールの情報を出力する方法について解説します。対応バージョンは、SQL Server 2016(13.x)以降です。

概要

 SQL Serverでは、リソースガバナーの機能を使用してワークロードが使用するシステムリソースの消費を管理することができます。

 リソースガバナーでは、アプリケーションからの要求をワークロードグループに割り当てることで、使用できるCPU時間やメモリ量に対して制限を設定したり、ワークロードグループが属するリソースプールに使用できるCPU時間やメモリ量の割合、I/O要求のスループットの制限を設定したりすることができます。

 「sys.dm_resource_governor_external_resource_pools」動的管理ビューでは、外部リソースプールと呼ばれる「R」スクリプトの実行などの、SQL Serverエンジンの外部プロセスを使用して実行されるワークロードが割り当てられるリソースプールについて、状態や統計、構成などの情報を出力することが可能です。

出力内容

列名 データ型 説明
external_pool_id int リソースプールのID
name sysname 共有リソースの名前
pool_version int 内部バージョン番号
max_cpu_percent int CPUの競合がある場合に、リソースプールの全ての要求で許容される最大平均CPU帯域幅の現在の構成
max_processes int 同時外部プロセスの最大数。既定値は「0」で、無制限であることを示す
max_memory_percent int このリソースプール内の要求で使用できる合計サーバメモリの割合の現在の構成
statistics_start_time datetime このプールの統計がリセットされた時刻
peak_memory_kb bigint リソースプールに使用されるメモリの最大量(KB単位)
write_io_count int リソースガバナーの統計がリセットされてから発行された書き込みI/Oの合計
read_io_count int リソースガバナーの統計がリセットされてから発行された読み取りI/Oの合計
total_cpu_kernel_ms bigint リソースガバナーの統計がリセットされてからの累積CPUユーザーカーネル時間(ミリ秒単位)
total_cpu_user_ms bigint リソースガバナーの統計がリセットされてからの累積CPUユーザー時間(ミリ秒単位)
active_processes_count int 要求の時点で実行されている外部プロセスの数

動作例

 まず、リソースガバナーは既定の構成では無効のため、リソースガバナーを有効化する前に「sys.dm_resource_governor_external_resource_pool」動的管理ビューを出力してみました。リソースガバナーを有効化していない状態でも、「default」外部リソースプールの情報が出力されました。(図1)。

図1
図1 リソースガバナーを有効化する前に出力したところ

 次に、外部リソースプールを2つ作成し、リソースガバナーを有効化した後に「sys.dm_resource_governor_external_resource_pool」動的管理ビューを実行しました(図2)。

図2
図2 リソースガバナーを有効化した後に出力したところ

 既定の外部リソースプールである「default」と、作成した2つの外部リソースプールの情報が出力されました。出力結果の「max_memory_percent」列の値などから、外部リソースプールの構成に関する情報を確認できました。

 次に、外部リソースプールで実行されるRスクリプトをいくつか実行した後に、もう一度「sys.dm_resource_governor_external_resource_pool」動的管理ビューを出力しました(図3)。

図3
図3 Rスクリプトの実行後に出力したところ

 「Total_cpu_user_ms」列など、実行統計に関する情報が更新されていることが分かります。

 なお、動作例を確認した環境では、Rの「Machine Learning Services」がインストールされています。Machine Learning Servicesをインストールしていない環境でも「sys.dm_resource_governor_external_resource_pool」動的管理ビューを出力したところ、外部リソースプールの情報は「default」外部リソースプールも含め、出力されませんでした。

図4
図4 Machine Learning Servicesがインストールされていない環境で出力したところ

※本Tipsは、「Windows Server 2019」上に「SQL Server 2019」をインストールした環境を想定して解説しています。

筆者紹介

椎名 武史(しいな たけし)

BIPROGY株式会社(ビプロジー)所属。Microsoft MVP for Data Platform(2017〜)。入社以来 SQL Serverの評価/設計/構築/教育などに携わりながらも、主にサポート業務に従事。SQL Serverのトラブル対応で社長賞の表彰を受けた経験も持つ。休日は学生時代の仲間と市民駅伝に参加し、銭湯で汗を流してから飲み会へと流れる。

伊東 敏章(いとう としあき)

BIPROGY株式会社(ビプロジー)所属。入社以来SQL Server一筋で評価/設計/構築/教育などに携わりながらも、主にサポート業務に従事。社内のプログラミングコンテストで4回の優勝経験も持つ。趣味は輪行で週末は自転車を持っての旅行。目標は色々な日本百選を制覇すること。


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