「洪水で工場が停止したらどうする?」といった“物理的リスク”を分析するサービスを提供開始 PwC Japanグループ:注目される「気候変動への取り組み」
PwC Japanグループは「物理的リスク」が財務に与える影響を分析するサービスの提供を始めた。気候変動の影響による異常気象や自然災害などによって顕在化するリスクを明確にすることで、効果的な対策ができるという。
PwC Japanグループは2022年10月31日、「物理的リスク」が財務に与える影響を分析するサービスの提供を始めた。物理的リスクとは、気候変動が企業に与える影響のうち、洪水や台風など直接的な被害を及ぼすもののこと。
近年は「SDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)」「カーボンニュートラル」など気候変動に関するキーワードが注目されており、「(その企業に)どのような物理的リスクがあるのか」「物理的リスクにどのような対策を立てているか」といった情報を開示することは企業の価値や信頼性の向上にもつながる重要な要素となっている。
だがPwC Japanグループによると、物理的リスクを定量的に把握するには高い専門知識が必要で、「多くの企業ではそうした分析を容易に実施できる状況にはない」という。同社が提供するサービスはこうした課題を解決するのが目的だ。
「広く浅く」「狭く深く」の2つのニーズに対応
PwC Japanグループが新たに提供するサービスは2つのニーズに対応している。1つは「簡易的に幅広く影響(物理的リスク)を分析したい」という「トップダウンアプローチ」。もう1つは「重要な拠点に絞って詳細に影響を分析したい」という「ボトムアップアプローチ」だ。
トップダウンアプローチは専用ツールによって、マクロ統計を基にした各国あるいは各地域の平均的な被災率を算出し、その結果を基に企業に対する影響を試算する。
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