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エンジニアの現場から長く離れたいま、悩んでいること仕事が「つまんない」ままでいいの?(95)(3/3 ページ)

本連載「仕事が「つまんない」ままでいいの?」を、2015年から8年間書き続けてきました。しかし最近、課題感を持つようになりました。連載を続けるか否か、その本心をお話しします。

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周囲の若い世代と接しながら思うこと

 このようなお話をすると、「現場で活躍していないおじさんの意見などいらない」といった気持ちを抱く方もいらっしゃるかもしれません。それは、そうですよね。エンジニアだったら「エンジニアとして活躍している人」の意見を聞きたいはず。そう思われるのも当然です。

 一方で、最近、年齢を重ねることが「必ずしも悪いことばかりではない」とも思っています。なぜなら、年齢を重ねてきたからこそ分かる、感じる、言えることがあるような気がするからです。

 ボクはいまサイボウズの中で、入社2年目の若手社員や20代中盤のメンバー、また、20代後半から30代前半のこれからリーダーを担う人たちと一緒に仕事をしています。海外出身のメンバーもいます。ボクが若かったころと比べると、みんなホント優秀だし、「すごいなぁ」と思うことも数知れません。

 だけど、どんなに優れた人たちでも、仕事をしていると、その年齢によって、あるいは、役割によって、さまざまな悩みを抱えることがあります。その際に、年齢を重ねていると「その年代のときって、○○で悩むよね」とか、「そうそう、キャリアを積んでくると、未来に対して不安を抱くよね」とか、「リーダーになると、リーダーの悩みがあるよね」といった、それぞれの年代で抱える悩みや課題に対して、理解ができる。

 また、ボクの娘は大学生ですが、娘の悩みを聞いていると「若さ故に焦る気持ち」とか、「周囲と比較するから生じる悩み」といったことを、客観的な視点で感じることがあります。

 こういった「その世代で抱える課題感」は、年齢が近かったり、その経験がなかったりするとなかなか分からないし、気付けない。それぞれの年代で抱える悩みや課題に寄り添えるのは、過去にその年代を過ごし、同じような課題に悩み、でも何とかしようともがいてきたからなのかもしれません。

もしも、連載を続けるなら

 冒頭の話に戻りますが、この連載が100回を迎えるに当たり、今後どうしようか悩んでいます。状況によってはやめるかもしれません。続けることに対する執着はありません。というより、書き続けるのって、結構大変なんですよ(笑)。

 でももし連載を続けるなら、年齢を生かした形で、読者の皆さんに寄り添うことができたらいいなと思っています。「技術的なTips」みたいなことは、ボクには伝えることができないけれど、さまざまな課題を抱えている人に対して、客観的な視点を提示することなら、できるかもしれません。

 また、「これからの働き方、生き方」という視点なら、何かしらお役に立てるかもしれません。

 ここからはボクがイメージしている未来感なのですが、恐らくこれからの働き方は、いままでとは変わっていくのだろうなと思っています。人生100年時代といわれるいま、これまでの、学校→就職→老後というモデルだけでは、生きづらくなるように感じます。人口も減っていますしね。

 幸いなことに、ボクは、複数の組織に所属し、自分でも法人を経営しながら、地方と都市部を行ったり来たりする働き方をしています。このような「複数のコミュニティー」があると、1つの会社や学校に依存しなくてもよくなるので、比較的安心、安全な気持ちで働くことができています。

 だからといって、多くの人がすぐにこういった働き方ができるか? といったら、そうではないかもしれません。でも、人生100年時代を踏まえると、今後は1つの組織「だけ」に依存し、人生をささげるような働き方ではなく、何らかの形で、自立・自律できるような働き方にシフトしていく、そのための準備をしていく必要がありそうです。このような「これからの働き方、生き方」の視点なら、いま、まさに実践しているので、何かしらお役に立てるかもしれません。

 というわけで、連載100回目を節目に、今後どうしていくかはまだ決めていませんが、もうしばらく、考えてみたいと思います。

筆者プロフィール

竹内義晴

しごとのみらい理事長 竹内義晴

「仕事」の中で起こる問題を、コミュニケーションとコミュニティーの力で解決するコミュニケーショントレーナー。企業研修や、コミュニケーション心理学のトレーニングを行う他、ビジネスパーソンのコーチング、カウンセリングに従事している。

著書「Z世代・さとり世代の上司になったら読む本 引っ張ってもついてこない時代の「個性」に寄り添うマネジメント(翔泳社)」「感情スイッチを切りかえれば、すべての仕事がうまくいく。(すばる舎)」「うまく伝わらない人のためのコミュニケーション改善マニュアル(秀和システム)」「職場がツライを変える会話のチカラ(こう書房)」「イラッとしたときのあたまとこころの整理術(ベストブック)」「『じぶん設計図』で人生を思いのままにデザインする。(秀和システム)」など。


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