開発者の仕事はどう変わる? デジタルイノベーション予測のトップ10発表:データと分析、パートナーシップなど多角的な観点から予測
IDCは、デジタルイノベーションの未来に関する予測のトップ10を発表した。デジタルイノベーションの開発と実装を大規模に展開できるかどうかで企業の明暗が分かれると予想している。
調査会社のIDCは2022年11月15日(米国時間)、デジタルイノベーションの未来に関する予測のトップ10を発表した。
IDCは、デジタルイノベーションの開発と実装を大規模に展開できるかどうかで、企業の明暗が分かれると予想している。デジタルイノベーションを実現した企業が、市場リーダーとして台頭するだろうと述べている。
デジタルイノベーションを起こす上では、データとデータアナリティクスの役割がますます重要になるとの見方を示している。適切なデータセットを取得して、適切な分析によって重要な洞察を導き出し、望ましい能力を構築した企業が、目指すビジネス成果を達成するという。
実際、IDCの2021年8月の調査「Future of Intelligence Survey」によると、優れたエンタープライズインテリジェンスを持つ企業におけるイノベーションの速度は、エンタープライズインテリジェンスが不十分な企業よりも平均2.5倍速かった。だが、データとアナリティクスの方程式を正しく理解するには、パートナーシップ、厳密さ、効率、倫理が必要であり、IDCによるデジタルイノベーションの未来予測では、これらの分野を全て取り上げていると、同社は説明している。
「新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的大流行)を受けて、企業がデジタルイノベーションに軸足を移さなかったとしても、インフレから戦争まで、現在の数多くの逆風がそうさせるだろう」と、IDCのFuture of Digital Innovation担当リサーチディレクターを務めるナンシー・ゴーリング氏は述べている。
「各業種の勝者と敗者は、デジタルイノベーションを大規模に、そして倫理的に、持続可能な形で、繰り返し実現する能力によって決まるだろう」(ゴーリング氏)
「開発者がイノベーションに費やす時間の割合が急増」など、10の予測を発表
デジタルイノベーションの未来に関するIDCの予測トップ10は以下の通り。
- 予測1:2024年までに各業種の上位5社は、景気後退やサプライチェーンの混乱などといった世界的な危機から脱却するために、技術を活用してイノベーションを起こした企業になる
- 予測2:2026年までに企業の10%が、これまでにない商品やサービスの開発、顧客体験の向上、市場シェアの拡大を目的に、消費者にインセンティブを与え、消費者が非公開にしていたデータの共有を受けることに成功する
- 予測3:2024年までに企業の35%が、ユニークなデータセットからインテリジェンスを引き出す革新的なアルゴリズムを構築することで、新しい商品や価格モデルを実現し、新しい顧客層を開拓することに成功する
- 予測4:2028年までに新たな効率化により、開発者がイノベーションに費やす時間の割合が、開発関連業務の25%から75%に増加する
- 予測5:2028年までに、同じ商品の一般バージョンと“スマート”バージョンを販売する企業では、スマート商品から経常的に発生する売上高が、売上高全体の65%を占めるようになる
- 予測6:2026年までに市場リーダーの75%が、反復的イノベーションの継続を支える体系的、構造的なデジタルイノベーションプログラムおよび投資を実施するようになり、成長、大規模展開、アジリティ(俊敏性)、レジリエンス(強靭《きょうじん》性、回復力)を実現する
- 予測7:2026年までに、ビジネスパートナーとデータを共有し、そのデータセット全体を新たな売り上げの創出に活用する企業は、そうでない企業よりも10%速いペースで売上高を伸ばす
- 予測8:2025年までにG2000(Forbes Global 2000)企業のCEOの85%が、イノベーション活動(開発者の効率やビジネス成果を含む)に関するデータ主導の洞察を提供するようシニアリーダーに求めるようになる
- 予測9:2027年には、デジタルイノベーションへの貢献に週10時間以上を充てる非技術系社員の割合が、現在の5%から45%に増加する
- 予測10:2028年には、15社の大企業がデジタル技術を利用して顧客体験を操作することで、アップグレードや買い替えを促進し、話題になる
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