「エンタープライズインテリジェンス」とは何か? 重要性を示す10の予測:データ分析、活用力を高める上で踏まえるべき重要トレンド
IDCは、エンタープライズインテリジェンスの未来に関する予測のトップ10を発表した。エンタープライズインテリジェンスの成熟度によってビジネス成果が大きく異なることから、今後の重要なトレンドを踏まえて、インテリジェンスの強化に取り組むことを企業に勧めている。
調査会社のIDCは2022年12月5日(米国時間)、2023年以降のエンタープライズインテリジェンスの未来に関する予測のトップ10を発表した。
IDCによると、同社のエンタープライズインテリジェンスベンチマーク調査は、エンタープライズインテリジェンスの成熟度によって、ビジネス成果が大きく異なることを示している。エンタープライズインテリジェンスのパフォーマンスが上位4分の1に入る企業は、2020〜2022年に売上高が大幅に伸びている可能性が2.7倍高く、新しい商品、サービス、体験、その他のイニシアチブの市場投入期間を短縮している可能性が3.6倍高いという。
エンタープライズインテリジェンスのパフォーマンスを高めるには、多くの場合、投資と行動を複数のレベルで協調して進める必要があると、IDCは述べている。これらのレベルには、データプラットフォーム(オープン性、柔軟性、スケーラビリティ、接続性を高める)、パイプラインとプロセス(データをより効果的に一貫して処理し、すぐに洞察が得られるようにする)、ツール(アナリティクスと洞察を構築、提供する)、意思決定を行い、行動を起こすプロセスおよび文化が含まれる。
IDCは、エンタープライズインテリジェンスに投資する企業は、デジタル世界で同業他社よりも高いレジリエンス(強靭《きょうじん》性、回復力)、アジリティ(俊敏性)、革新性、ダイナミズムを発揮するだろうとの見方を示している。
「エンタープライズインテリジェンスにより、企業はあらゆるマクロ経済状況下で成功できる。今回発表した予測では、今後1〜5年間に起こると予想される重要なトレンドを挙げている。企業の経営幹部はこれらのトレンドを踏まえて、エンタープライズインテリジェンスの強化に取り組むべきだ」と、IDCのFuture of Intelligence担当リサーチディレクターを務めるチャンダナ・ゴパル氏は述べている。
IDCは、エンタープライズインテリジェンスの4つの主要分野(データ文化、情報合成、情報提供、集合学習)における今後の重要なトレンドを次のように予測している。
予測1
エンタープライズインテリジェンスを強化した企業は2024年までに、組織的な対応を行う時間が5倍に増え、その結果として、新しい機会の活用による先行者利益の獲得を継続できるようになる。
予測2
2025年末までに、G2000企業(世界トップ企業2000)の用心深いCxO(最高責任者レベル)の役員は、エンタープライズインテリジェンスとマーケットインテリジェンスへの投資を40%増やし、景気後退への対処とディスラプション(創造的破壊)の克服に役立てる。
予測3
2024年末までに、ビデオ監視技術を使用する企業の30%が、ビデオデータアナリティクスを利用して、監視を必要とする業務上の意思決定をサポートするようになる。
予測4
2024年までにG2000企業の80%が、サプライチェーンの途絶などの外部脅威によってもたらされる現地業務への脅威/機会に関するインテリジェンスへの投資を拡大する。
予測5
2026年までにG2000企業の30%が、エンタープライズインテリジェンスの目標達成に失敗する。データ文化を育成する取り組みにおいて、信頼できる機能を中心に据えないためだ。
予測6
2025年までにG1000企業の90%が、リアルタイムインテリジェンスを利用するようになる。イベントストリーミング技術を活用し、顧客体験などの成果を向上させる狙いだ。
予測7
2027年までに大企業の66%が、データに固有のリスクを測定し、セキュリティ対策とスクリーニングによってリスクを低減できるデータ制御プレーン技術への大規模な投資を行う。
予測8
2025年末までにG2000企業の50%以上が、データの検知と自動修正にAIを使用しない場合、制裁に直面する。環境の複雑さや激しい変動の増大、リソース不足の深刻化が背景にある。
予測9
2028年までにG1000企業の70%が、データに関するリテラシー獲得とアップスキリングを促進する正式なプログラムを導入する。エンタープライズインテリジェンスのスキルに対する需要の高まりに直面し、従業員の期待に応えるためだ。
予測10
2026年までにG1000企業の30%が、AIインフラ投資を性能集約型コンピューティングの分野でも行う。HPC(ハイパフォーマンスコンピューティング)によるシミュレーションを利用して極めて複雑な問題を解決し、成果を高めるためだ。
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