転職動機1位は不動の「より良い給料」ながらも景気懸念で職場環境は急速に変化 Stack Overflowが技術者意識調査:技術者の4人に3人が転職に前向き
Q&Aサイト「Stack Overflow」は、開発者など技術者の勤務先と仕事に関する欲求、ニーズ、期待について調査した結果を発表した。
Stack Exchangeが運営する開発者向けQ&Aサイト「Stack Overflow」は2022年12月15日(米国時間)、開発者など技術者の勤務先と仕事に関する欲求、ニーズ、期待について調査した結果を発表した。
調査は2022年10月に行われ、2200人超の技術者が回答した。Stack Overflowは、「転職に前向きな技術者の割合」「転職を検討する動機」「転職先候補の調査方法」「現職にとどまる理由」「現在の仕事での不満点」という構成で主な調査結果を紹介している。
米国では最近、テレワークやハイブリッドワークの普及が進んでいる他、退職や転職が活発化しており、その一方で「静かな退職」(Quiet quitting。仕事への熱意が低く、必要最低限の仕事しか行わない)という働き方や考え方も広がっている。Stack Overflowは、景気への懸念が高まり、大規模なレイオフに踏み切るIT企業が増える中、技術者の職場は急速に変化していると述べている。
転職に前向きな技術者の割合
現在積極的に仕事を探している技術者の割合と、新しい仕事の機会に前向きな技術者の割合は、合計で74%に達している。2021年調査でも、これらの割合の合計は74%だった。
仕事を探している割合が高いのは若い開発者で、20〜24歳が27%、25〜34歳が21%となっている。これに対して35〜44歳は17%、45〜54歳は12%にとどまる。
Stack Overflowは次のように、技術者がこれまでに就いた仕事の数を年齢層別にまとめた表も示している。
転職を検討する動機
回答者の半数以上(54%)が、「より良い給与」が、新しい仕事の機会を検討する最大の動機だと答えている。
また、経験豊富な開発者は、新しい仕事の機会を検討する上で、「成長やリーダーシップの機会」よりも、「より良い給与」を重視していることも分かった。例えば、35〜44歳では57%対37%、25〜34歳では62%対38%で、仕事の機会を検討する動機として、「より良い給与」を挙げた人の割合が多かった。
さらに、チーム内での役割が違っても、「より良い給与」が最大の動機であることに変わりはなかった。「個人貢献者」は61%、「マネジャー」は58%が、「より良い給与」を挙げた。
地域別に見ると、英国、欧州連合(EU)、中南米の開発者では、「新しい技術に携わりたい」という欲求が、転職理由の2位を占めた。
転職先候補の調査方法
開発者は、将来の転職先候補を口コミで見つけることが最も多い。全体の46%が、「個人的なネットワークを利用している」と答えている。どの年齢層でも、また個人貢献者、マネジャーの両方で、この回答率は一貫して高い。
求職者の割合が最も高い25〜34歳では、口コミに次いで企業レビュー(41%)、他のメディア(34%)、企業メディア(33%)もよく利用されている。
また、求職者が応募書類を出す段階になると、全ての年齢層で、第三者サイトの企業レビューを利用する割合が高くなる(55%)。
一方、回答者の多くは、別のオファーがあったとき(31%)、採用プロセスが長引いたとき(25%)、面接が散漫だったとき(34%)に、求職活動を途中で取りやめていることも明らかになった。
現職にとどまる理由
技術者が現職にとどまることを納得する理由としては、「柔軟性」(58%)、「給与」(54%)、「学習機会」(54%)を挙げる人が多かった。当然のことながら、マネジャーは個人貢献者よりも、「リーダーシップの機会」を挙げた割合が高かった(マネジャーは37%、個人貢献者は27%)。
地域別では、米国とカナダの回答者は「給与」を最も重視し(62%)、EU/英国の回答者は、「柔軟性」を最も重視している(68%)。
また回答者は、現在または将来の勤務先として、企業に魅力を感じる要因として、「開発者体験の重視」(42%)、「販売している製品やソリューション」(35%)、「チーム外の個人からの学習」(34%)を挙げている。新しい仕事を探している割合が高い25〜34歳の年齢層は、他の年齢層と比べて、「開発者体験」(47%)や「販売している製品やソリューション」(39%)をより重視している。
現在の仕事での不満点
逆に、現在の仕事での不満点としては、「始業時刻と終業時刻が固定されている」(46%)、「オフィス勤務を求められている」(44%)、「自分の仕事に自信を持てるリソースがない」(43%)を挙げる回答者が多かった。
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