時間を厳守すること、誠実であること、清潔に仕事をすること、高い品質を維持すること 私を魅了した日本の価値観:Go AbekawaのGo Global!〜Shoaib Shaikh(後)(2/2 ページ)
グローバルに活躍するエンジニアを紹介する本連載。今回もソフトウェアエンジニアのShoaib Shaikh(ショエブ・シェーク)さんにお話を伺う。大学に入るまで「日本で働くなんて考えたこともなかった」という同氏は、どういういきさつで日本企業に就職したのか。
日本に恩返しをしたい
阿部川 日本企業とはいえ、海外でお仕事されていましたよね。日本に来たきっかけは何だったのですか。
ショエブさん 偶然、といってもいいかもしれません。インドで3年間携わっていたeコマースのプロジェクトに幾つかの問題があり、その問題を解決するために2カ月だけという約束で来日したのです。ところがそこから現在に至るまで、インドに戻っていません。2カ月たった後は、あと1カ月、もう1カ月……と1カ月ずつ、期間が延長されました(笑)。まあ、ここまで続けば、ここで仕事をするかという気になってきました(笑)。
阿部川 それだけショエブさんが優秀で離したくなかったのでしょう(笑)。現在はどのようなプロジェクトに携わっているのですか。
ショエブさん NTTデータ先端技術に移り、「ServiceNow」を用いたHR(人事)関連のプロジェクトです。従来HRは、申請や承認などの多くの関連業務をオフィスソフトで対応するといったアナログなやり方に頼っていました。それらのワークフローをデジタル化できないか、究極的には、HRの全てのプロセスをデジタル化し、従業員との関わりをより質の高いものにできないか、というプロジェクトになっています。
※編集注:取材時(2022年8月)の状況
阿部川 将来的にはどのようなお仕事をしたいと考えていますか。例えば10年後にはショエブさんは何をしているでしょう。
ショエブさん 10年は長いといえば長いのですが、今から10年前を思い起こすと、それほど遠くありませんね(笑)。将来はITソリューションアーキテクトのようなことやっていたいですね。システム全体の問題を解決する仕事です。そういう仕事で会社の成長に貢献したいです。同時に良きリーダーにもなりたいと思っています。
将来的には、まだどうすればいいのか正直分かりませんが、日本全体の技術に貢献したいし、日本の方々にとって良いことができればいいなあ、と考えています。
阿部川 なぜ、そう思うのですか。
ショエブさん 私はたくさんのことを日本から学びました。その恩返しをしないといけない、といつも思っています。具体的にはまだどうすればいいのか分かりませんが、少なくとも私の周りの方々には何かお返ししたいと思っています。
阿部川 きっと多くの恩返しや貢献ができると思いますし、それはきっとインドの方々に対しても、特にIT業界の人に対して、新しい影響を及ぼすでしょう。IT分野は世界中つながっていますから。
インタビューを終えて 〜Go’s thinking aloud〜
真っすぐな人だった。時間厳守、丁寧、清潔、高品質、優れた技術――どれも日本から学んだといってくれた。並べると気恥ずかしいが、確かに日本が世界に誇る文化のキーワードだ。
私たちはもっと胸を張って、この文化を「世界に問う」ことをしてもいいのではないか。これらを守り続けることが良い世界を作るのだと。一方で変わり続けることも大事だ。日本とインドのエンジニアがそれぞれの文化の枠で、いや枠を超えて、共同で1つのプロジェクトを紡いでいく。その方法は、私たちの日々の価値観をも変えてゆく。いわく、「変わらないために変わり続ける」。
阿部川久広(Hisahiro Go Abekawa)
アイティメディア 事業開発局 グローバルビジネス戦略室、情報経営イノベーション専門職大学(iU)教授、インタビュアー、作家、翻訳家
コンサルタントを経て、アップル、ディズニーなどでマーケティングの要職を歴任。大学在学時から通訳、翻訳も行い、CNNニュースキャスターを2年間務めた。現在情報経営イノベーション専門職大学教授も兼務。神戸大学経営学部非常勤講師、立教大学大学院MBAコース非常勤講師、フェローアカデミー翻訳学校講師。英語やコミュニケーション、プレゼンテーションのトレーナーとして講座、講演を行う他、作家、翻訳家としても活躍中。
編集部から
「Go Global!」では、GO阿部川と対談してくださるエンジニアを募集しています。国境を越えて活躍するエンジニア(35歳まで)、グローバル企業のCEOやCTOなど、ぜひご一報ください。取材の確約はいたしかねますが、インタビュー候補として検討させていただきます。取材はオンライン、英語もしくは日本語で行います。
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