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生成AIでイノベーションリサーチの投資リストや新規事業の市場性を調査、Valuer Holdingが日本上陸新ベンダー/新製品じろじろウオッチ(5)

デンマークの企業Valuer Holding A/Sは2023年1月、世界中のイノベーション事例をAIによって生成し、投資・協業リストの作成や新規事業の市場性を調査するサービス「ValuerAI」の提供を開始した。

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 世界中のイノベーション事例をAIによって生成し、投資・協業リストの作成や新規事業の市場性を調査するプラットフォームを提供するデンマークの企業Valuer Holding A/S(本社コペンハーゲン。以下、バリュワー)が、2023年1月に日本市場でのサービスを開始した。

 イノベーションリサーチとは、投資先や協業相手の候補となる、革新的な技術を持つスタートアップを調査すること。これまでのイノベーションリサーチには多大な労力と時間がかかっていたが、これをAIによる自然言語処理(NLP:Natural Language Processing)で解決する「ValuerAI」を提供する。

ジェネレーティブAIによって、膨大なデータからの調査結果を生成

 従来のイノベーションリサーチは、キーワードやタグによって整理されたデータベースが必要だった。この場合、Web検索と同様に、必要としない情報がヒットしてしまうため、人手を使って本当に欲しい情報を整理しなければならない。その一方で、世界中のスタートアップによるイノベーションは続々と登場している。イノベーションリサーチは何週間もかかる難しい仕事だ。

 ValuerAIは、この問題を解決するため、調査の目的や記述された内容の背景を理解する自然言語処理を活用した、生成AI(ジェネレーティブAI)プラットフォームを提供する。生成AIとは、膨大なデータから、ユーザーが求める内容の文章から画像や文章を組み合わせることができる仕組み。ValuerAIは世界中のスタートアップの技術やビジネスモデル、主要製品や価値などの概要を短期間でまとめることができる。

 ValuerAIのデータベースには創業間もない企業から20年の企業まで、93万社を超える企業の情報が含まれている。その事業概要やイノベーションの特徴を、4000万以上の客観的なデータポイントから集め、自然言語解析をして整理している。このデータベースには、企業の技術、特許、使用される市場や用途などの情報が日々蓄積されている。

 例えば、誰もが知っている企業の名前や、「こんな事業をしている企業」といった記述、あるいは特許の要約、テクノロジーの概要、詳細といった情報から、ValuerAIは的確な結果を出力する。企業だけでなく業界の概要や動向の分析も可能。有望な企業が見つかったら、その詳細情報にアクセスできる。より詳しい情報を得たい場合は、アナリストチームによるカスタムオーダーのレポートも提供可能だ。レポートによって、協業相手の調査や、これから展開する新しい事業戦略の参考にすることができる。

 情報収集をValuerAIに任せることで、リサーチ担当者は考えることや判断に集中できる。的確な情報によって、効率化やコスト削減だけでなく、判断の質の向上に貢献することも目指しているという。活用事例には飲料メーカーによる地域の飲食業界動向レポート、自動車メーカーによるサブスクリプション・ビジネスモデルの動向調査、国際会計事務所が顧客に提出するレポート、石油会社が持つ知財の活用方法調査などが挙げられる。

 バリュワーの創業者でありチーフグロースオフィサーのDennis Poulsen氏は、「日本におけるイノベーションに貢献できることになり、うれしく思います。このプラットフォームで、スタートアップ、投資家、事業会社など、多くのプロフェッショナルの方に貢献することを楽しみにしています」とコメントしている。

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